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冬

５．

僕と彼女の何とも言えない、微妙なおみくじの結果。学業の所には要するにもっと頑張って勉強しろと書かれていて、苦笑いしてしまった。初詣に来てお参りしている場合じゃないのかもしれないと思った。

恋愛のとこも気になっていた。僕のには待ち人来ずと書かれていて、彼女の方には難しと書かれていた。一応、吉が付いているのに厳しい事が書いてあると思う。

お正月のおみくじは悪いのは出ないなんて話を聞いた事があった気がするけど、現実はそんなものかなと思った。無理に初詣に誘って悪かったかなと少しだけ思ったけど、彼女の笑っている顔を見ていたら、そんな事はないと思った。

おみくじを木に結ぼうとしたら、彼女は持ってかえると言ったので、僕もそうする事にした。小だろうが、末だろうが吉だからきっと縁起がいいはずだよと言う彼女の言葉に説得力はあまり感じなかったけど、真面目に勉強しろと言う戒めだと思えば、手元にあった方が良いと思った。何より彼女と一緒に引いたおみくじが手元にあるというのは、ちょっと嬉しいと思った。

彼女の事を心配していたんだけど、この様子だったら大丈夫だろう。もしかしたら、余計なお節介だったのかもしれない。何もしないでも彼女だったら、自分で乗り越えていたのかもしれないと思った。でも、帰り際、ありがとうとポツリと言われて、誘って良かったと思った。僕が彼女に与えた影響なんてほんの僅かだろう。もしかしたら、受験勉強の邪魔をしてしまったのかもしれない。でも、それでも、この日のこの選択は間違っていないと思いたい。それがどんな結果に終わったとしても。

彼女の嬉しさが僕の心に響いてきた気がする。それがたぶん、僕がするべき事だったんだろうと思えたから。

初詣が終わると、僕の緊張の糸が切れてしまった気がする。年が明けるまでは必死に勉強していた気がする。そこからも勉強をしなかったわけではない。でも、何となく集中力が無くなっていた。同じだけ勉強してもなぜか捗らなかった。その理由と言うのが分からなくて困る。

不安だから、自信が無いから、受験が近づいてきているから、そのすべてが正解なんだけど、どこかちょっとずつ違っているような気がした。年明け、学校が始まる。すぐにセンター試験が控えているから、授業はまともに行われない。

さすがにここまで来ると、学校で残って勉強して行こうという事にもならなかった。そして、センター試験の日になってしまう。