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旅行の前の日の夢
9.
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僕と三ヶ嶋君が隣に座り、向き合う席に充が座った。いつもと同じ感じだけど、何となく質問する側と質問される側に自然と分かれたという気もしてきた。僕が気になっているだけかもしれないけど、三ヶ嶋君もその気持ちが強いのではと思ったりした。一方の充の方はそれに気が付いているのかいないのか、良く分からない感じで、課題が終わったからだろうかいつもより、テンションが高い気もした。いつもと同じように注文を済ませると、僕は我慢できなくなった。
「この間さ…」
「ああ、その前にさ。ちょっと良い?」
「えっ、ああ。何?」
僕の質問を遮るように充が言う。予想もしていなかったので、ちょっと戸惑うように言ってしまった。
「実は、岬ちゃんとこの間、偶然会ってさ…」
沢島さんの名前が、充の口から出て来て、ちょっと驚く。充は続ける。
「また、どっかでみんなで行こうって言われたんだけど、どうする?」
三ヶ嶋君と思わず顔を見つめてしまった。
「…そういう事か」
「…そうか」
何となくがっかりしたように僕と三ヶ嶋君が同じタイミングで言った。僕と三ヶ嶋君がそれぞれの頭の中で勝手に想像していただけなんだけど、その質問でその想像とは何か違うのではと感じたのだった。
「ん?どうした、何か変な事言った?」
きょとんとしたのは充の方だった。
「いや、別に」
「そうそう。どこに行くって?」
誤魔化したように言う。少し怪訝な表情を浮かべながら充が続ける。
「結構、話盛り上がっちゃって、この間の時も言ったけど、海とかバーベキューがいいんじゃないという話なんだけど。具体的にどうするって話」
「うーん。個人的にはバーベキューかな。でも、準備とか考えると、海のが楽だったりする?」
「海でバーベキューって選択肢もあるけど、あんまりどっちが良いとか考えた事がない。どっちでも良いと言えばどっちでも良い」
と僕と三ヶ嶋君の答え。二人とも出かける事自体に反対では無かったが、アウトドアに積極的という立場ではないので歯切れの悪い答えだった。
「向こうはなんて言っているの?」
三ヶ嶋君が聞く。
「特別にどっちと言うのも無いみたいで、だからどうするって話。何か、このままだと曖昧で話が決まらなそうだから、とりあえず、どっちかに決めて話を進めないって感じです」
「うーん」
と三ヶ嶋君が考える頭の中でシミュレーションしているのかもしれない。
「今日、今すぐ決めないといけないという事ではないんだけど、その内行こうみたいな約束だと立ち消えになるかもしれないから、決めるなら一気に決めた方がいいんじゃないかと思って」
充は言う。確かにその通りで、そういう点でも反対する気持ちも無かった。ただ、具体的なイメージが浮かんでいないのも事実で、準備とかどうするんだろうというのも気になった。
ちょっと沈黙の時間が続き、その間に頼んでいたメニューが来て、沈黙のまま、食べ始める。そして、しばらく経ってから、
「そうそう、それから、岬ちゃんと付き合う事になるかもしれない」
と充が言った。
「そうなんだ」
「へぇ」
と流れで返事した僕と三ヶ嶋君だったが、その言葉が頭の中に入って理解した時に、食事の手が止まった。
「この間さ…」
「ああ、その前にさ。ちょっと良い?」
「えっ、ああ。何?」
僕の質問を遮るように充が言う。予想もしていなかったので、ちょっと戸惑うように言ってしまった。
「実は、岬ちゃんとこの間、偶然会ってさ…」
沢島さんの名前が、充の口から出て来て、ちょっと驚く。充は続ける。
「また、どっかでみんなで行こうって言われたんだけど、どうする?」
三ヶ嶋君と思わず顔を見つめてしまった。
「…そういう事か」
「…そうか」
何となくがっかりしたように僕と三ヶ嶋君が同じタイミングで言った。僕と三ヶ嶋君がそれぞれの頭の中で勝手に想像していただけなんだけど、その質問でその想像とは何か違うのではと感じたのだった。
「ん?どうした、何か変な事言った?」
きょとんとしたのは充の方だった。
「いや、別に」
「そうそう。どこに行くって?」
誤魔化したように言う。少し怪訝な表情を浮かべながら充が続ける。
「結構、話盛り上がっちゃって、この間の時も言ったけど、海とかバーベキューがいいんじゃないという話なんだけど。具体的にどうするって話」
「うーん。個人的にはバーベキューかな。でも、準備とか考えると、海のが楽だったりする?」
「海でバーベキューって選択肢もあるけど、あんまりどっちが良いとか考えた事がない。どっちでも良いと言えばどっちでも良い」
と僕と三ヶ嶋君の答え。二人とも出かける事自体に反対では無かったが、アウトドアに積極的という立場ではないので歯切れの悪い答えだった。
「向こうはなんて言っているの?」
三ヶ嶋君が聞く。
「特別にどっちと言うのも無いみたいで、だからどうするって話。何か、このままだと曖昧で話が決まらなそうだから、とりあえず、どっちかに決めて話を進めないって感じです」
「うーん」
と三ヶ嶋君が考える頭の中でシミュレーションしているのかもしれない。
「今日、今すぐ決めないといけないという事ではないんだけど、その内行こうみたいな約束だと立ち消えになるかもしれないから、決めるなら一気に決めた方がいいんじゃないかと思って」
充は言う。確かにその通りで、そういう点でも反対する気持ちも無かった。ただ、具体的なイメージが浮かんでいないのも事実で、準備とかどうするんだろうというのも気になった。
ちょっと沈黙の時間が続き、その間に頼んでいたメニューが来て、沈黙のまま、食べ始める。そして、しばらく経ってから、
「そうそう、それから、岬ちゃんと付き合う事になるかもしれない」
と充が言った。
「そうなんだ」
「へぇ」
と流れで返事した僕と三ヶ嶋君だったが、その言葉が頭の中に入って理解した時に、食事の手が止まった。
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