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旅行の前の日の夢
8.
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講義が始まる直前になって、充が教室に入ってきた。走ってきたようで息を切らせていた。僕と三ヶ嶋君を見つけて、近づいてくると、僕の隣に座った。
「課題どうした?」
と三ヶ嶋君が僕に聞いた時と同じように話しかけた。
「超大作が完成しました」
おちゃらけたようにそう言うと、見せつけるように課題を取り出した。何となくいつもの充と言う事にホッとした自分がそこにいた。自分の気のせいかもしれないけど、ここ何日かはどこかよそよそしい雰囲気があった気がするけど、そういうのを感じる事が無かった。
だから、僕もいつもと同じようなノリで
「はいはい」
と軽くいなすような返事をする事が出来た。ちなみに三ヶ嶋君は軽く流していた。
講義が終わり無事に課題を提出した。成績に反映されるのは、課題の中身なので、その評価が出ないと本当の意味では終わった事にはならないけど、提出してしまった以上、どうにもならないので、そういうことは意識しないことにした。
何だかんだでやっぱりひとつやるべき事が終われば開放感は感じる。打ち上げと言うほど大袈裟な物では無いけど、帰りにハンバーグ屋に行くことが自然に決まった。丁度良いタイミングで、ようやく僕は充と話が出来ると思った。
何かひとつ物事がつっかえると途端に色んな事がつっかえたりするのだけど、逆にひとつ何かが解決されると、一気に全てが解決するというように感じた。本当にそうなるのかは分からないけど、その時の僕はそんな風に思っていた。
残りの講義は惰性で受けたという感じだった。それはたぶん、課題を提出した多くの人が感じていた事だと思う。退屈な講義がいつも以上に退屈に感じてしまった。僕も急に疲労感を感じる。やっぱり、睡眠時間が足りていなかったのかなと思う。一度切れた緊張の糸を戻すのは難しかったし、そもそも戻す気も起きなかった。こんなんだったら家に帰って寝た方が良いと思ったけど、ほどほど真面目の性格の僕はそういう事は当然出来ず、帰りに食事に行くという約束もあったのでどうにかこうにか頑張る事にした。
頑張ったからという訳ではなく、時間が経過したからという分かりやすい理由で、講義は終わった。普段以上に疲労感があったけど、ちょっと気合を入れ直す。特別に張り切る必要があるのかというのも謎だったりするけど、せっかくなら気になっている事が全て解決する日であってくれたらいいなとも思っていた。
全てだと大げさだから、一部で良いかと頭の中で修正して、僕たちはハンバーグ屋に向かった。
「課題どうした?」
と三ヶ嶋君が僕に聞いた時と同じように話しかけた。
「超大作が完成しました」
おちゃらけたようにそう言うと、見せつけるように課題を取り出した。何となくいつもの充と言う事にホッとした自分がそこにいた。自分の気のせいかもしれないけど、ここ何日かはどこかよそよそしい雰囲気があった気がするけど、そういうのを感じる事が無かった。
だから、僕もいつもと同じようなノリで
「はいはい」
と軽くいなすような返事をする事が出来た。ちなみに三ヶ嶋君は軽く流していた。
講義が終わり無事に課題を提出した。成績に反映されるのは、課題の中身なので、その評価が出ないと本当の意味では終わった事にはならないけど、提出してしまった以上、どうにもならないので、そういうことは意識しないことにした。
何だかんだでやっぱりひとつやるべき事が終われば開放感は感じる。打ち上げと言うほど大袈裟な物では無いけど、帰りにハンバーグ屋に行くことが自然に決まった。丁度良いタイミングで、ようやく僕は充と話が出来ると思った。
何かひとつ物事がつっかえると途端に色んな事がつっかえたりするのだけど、逆にひとつ何かが解決されると、一気に全てが解決するというように感じた。本当にそうなるのかは分からないけど、その時の僕はそんな風に思っていた。
残りの講義は惰性で受けたという感じだった。それはたぶん、課題を提出した多くの人が感じていた事だと思う。退屈な講義がいつも以上に退屈に感じてしまった。僕も急に疲労感を感じる。やっぱり、睡眠時間が足りていなかったのかなと思う。一度切れた緊張の糸を戻すのは難しかったし、そもそも戻す気も起きなかった。こんなんだったら家に帰って寝た方が良いと思ったけど、ほどほど真面目の性格の僕はそういう事は当然出来ず、帰りに食事に行くという約束もあったのでどうにかこうにか頑張る事にした。
頑張ったからという訳ではなく、時間が経過したからという分かりやすい理由で、講義は終わった。普段以上に疲労感があったけど、ちょっと気合を入れ直す。特別に張り切る必要があるのかというのも謎だったりするけど、せっかくなら気になっている事が全て解決する日であってくれたらいいなとも思っていた。
全てだと大げさだから、一部で良いかと頭の中で修正して、僕たちはハンバーグ屋に向かった。
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