夢ノコリ

hachijam

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旅行の前の日の夢

12.

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充は何となく僕と三ヶ嶋君に状況を説明するタイミングを失ったようで、何となくよそよそしい雰囲気だったのはそういうのが理由だったようだ。充の性格から言えば、そういうのを自慢げに語りそうだなと思ったりするけど、案外と律儀な性格でもあり、守らないといけない所はしっかりと守るというのも、ある意味で充らしいとは思った。

僕たちと充でお互いに探り合っていたというと、大げさかもしれないけど、そういう感じだったのかもしれない。加えて、課題提出前と言う事もあって、何となくバタバタした感じも、そういう雰囲気に拍車を掛けたのかなと思った。

気になる続きはこんな感じだった。

前回の食事のときは、約束してからすぐだったし、流れがあったので、特別に意識する事は無かった。でも、その時は急にちょっと意識するような感じになったそうだ。ただ、やっぱり相談というのが何なのかは気になっていた。

充本人が言うのもどうなんだろうと思うが、充はパッと見た時に、気軽に話しかける事は出来そうだし、楽しい話を出来る雰囲気は持っている。でも、一度食事に行ったとは言え、そこまでお互いを知らない時に相談を持ち掛けられるような雰囲気を持っているとは思えなかったからだ。

それには僕と三ヶ嶋君も激しく同意した。恐らく僕たち三人の中で相談するのに適していると思われるのは三ヶ嶋君だろう。ある程度、親しくなれば悩み事によっては充と言う選択肢もあるかもしれないけど、最初の選択肢に充が出てくるというのは、恐らく充自身も不思議に思ったに違いない。

そして、約束の時間に待ち合わせて、またご飯を食べに行ったそうだ。会話はその前の時と同じ様にたわいのない事が中心だった。会話自体は楽しかったが、ますます相談の事が気になっていた。別にこのままでも良いかなと思った充だったけど、やっぱり、はっきりさせたいと思い

「相談があるって言ってたけど…」

と、切り出したそうだ。充の言葉に一種運だけ躊躇した沢島さんだったが、覚悟を決めたように言葉を発した。充の話だと次のような展開になったらしい。

「思い切って言うんですけど、好きになっちゃったみたいなんです」

「は?」

「今、彼女さんとかいますか?」

「いないです」

「好きな人とかいますか?」

「特別にどうこうというのは…」

「だったら、好きになっても良いですか?」

「えっ、あっ、ハイ」

「嬉しい…」

何だその流れ、僕はそう思う。充の妄想なのではと疑いたくなってしまった。
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