夢ノコリ

hachijam

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カギを失くした夢

4.

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もしかしたら、赤岡さんに会えるのではと言う予感が少しだけあった。前に大学に向かう途中に電車で出会った日と同じ曜日だったからだ。同じ時間の電車では無かったので、その確率が高くなっているとは言い難かったけど、何となく当たる気がした。実際の所、そういう予感が当たる確率というのはどれくらいなんだろう。結構、当たるような気もするけど、会わなかったらそういう予感がしていたこと自体、忘れたり、うやむやしてしまう事が多い気がする。それでも、当たると感じるのは、そういう偶然があって、それがやっぱり印象的だからなんだと思う。そして、その日の予感は当たった。

何となく意識して探していたからかもしれないけど、その姿はすぐに分かった。ちょっとテンションが上がる。でも、すぐに声を掛けて良いのか躊躇した。探していると思われたくなかったからだ。理想とすれば、向こうが気が付いてくれないかなと思う。

(気付け、気付け…)

なんて、念を送ってみたが、その効果は無かった。さて、どうしたものだろう。こういう場合、ちょっと考えてしまうと僕は何も出来なくなってしまう。何にも考えていなくて、見かけたら、話しかけるにしろ、話しかけないにしろ、自然な感じで出来ると思う。でも、今はそうではない。ため息をつきたくなったけど、そのため息で気づかれるのは嫌だなと思い、躊躇する。ますます、ため息をつきたくなる。

そもそも、どうしてそこまで赤岡さんを意識するのか、その理由は簡単だ。充と沢島さんの事を話したいのだ。どういう事になっているのか知っているのか、沢島さんはどういう人なのか、二人は付き合うのかなどなど、だから赤岡さんに会えればいいなと考えていた。そういう点も含めての会えるのではという予感だった。そして、それが現実になった。だったら、話しかければ良い。一応、というか、充と沢島さんの事を話すという分かりやすい理由もあった。そこでふと思う。

(赤岡さんは二人の事を知っているのだろうか)

もし知らなかったら僕が言っていいんだろうか。別に充には話して良いとも、悪いとも言われていない。充の性格だけを考えれば、別に話しても問題ないだろう。でも、僕が赤岡さんに告げる事なんだろうか。そんな事をぐちゃぐちゃと考えると、どうしようもなくなってくる。これだったら、会わなければ良かったのにと、勝手に自分で予感して、勝手に探して、勝手に見つけたのにそんな風に思った。

(でも、まだ気づかれていない)

だったら、このまま知らんぷりしていればいい。何だったら、次の駅で降りて、車両を変えるか、一本後の電車に移っても良いかもしれない。揺れる電車の中でそんな事を思い始めていた時、ふと赤岡さんと視線がぶつかった。どうやら、最初に送った念が通じてしまったらしい。
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