夢ノコリ

hachijam

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怒られる夢

1.

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「だからダメなんだよ」

と、大きな声が響いた。僕は正座をしたまま、下を向いている。

「そもそもね…」

と、説教が続いていくが、後の言葉は頭の中に入ってこなかった。

(うるさいな…)

と、ただそれだけを思っていた。そもそも、何で怒られているのか良く分からなかった。ただ、心当りが全く無いかと言われるとそうでもない、それがちょっとややこしい所だ。特に普段の生活の事だったら、何も言い訳できないなと思う。

(でも…)

ここまで大きな声で怒られるほどの悪い事をしたのかと考えると、そこまでの事をやった記憶は無かった。自分が知らない内に人を怒らせてしまったのかなとも思うけど、そうだとすると、尚更、理由は分からなかった。

「何だ、その顔は…」

と、また怒られる。たぶん、不満そうな顔をしていたんだと思う。それはちょっと自覚がある。何しろ、怒られている理由が分かっていないからだ。

「…」

僕は黙って神妙な顔をしようと努力する。

「分かればいいんだ。だからな…」

とりあえず、表情には納得してくれたみたいだ。でも、怒られている状況は全く変わらなかった。適当にやり過ごせば、そのまますぐに終わるかと思ったけど、そうではないようでうんざりしてしまう。

「…だから、その顔は何なんだ」

途端に表情の変化を見抜かれてしまう。

「何か言いたい事があるのか?」

「…」

「あるんだったら、はっきり言え」

ここではっきり言ったら、また怒られるんだろうなと思いながら、何も言わないでもまだ怒られるんだろうなと思った。どっちでも怒られるのなら、言いたい事を言って少しでもスッキリした気分になる方が良いのか、そういう労力は疲れるので黙ったままの方が良いのか考えてしまう。

「あのだったら言いますけど…」

結局、僕自身の怒りと言うのが我慢できなくて何か言いたくなってしまった。でも、そこで言葉が詰まってしまった。自分が何を言いたいのか良く分からない、でも、何か言いたい、訳が分からない感情が高まっていて、何だか涙目になるのを感じる。

「ああー、もうどうしろっていうんだ」

半分、涙声のようになりながら、僕は絶叫していた。



実際に声を出していたのか、よくわからないけど、起きた時には、何だか涙目だった。何か理不尽な怒りを感じているという、何とも言えない気分で、寝起きとしては最悪な感じだった。何か、心の奥底で怒られるのを覚悟している事があるのだろうか、そんな事を思った。

心当りはある気がしたけど、はっきりした物が何かというのは、やっぱり、良く分からなかった。
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