夢ノコリ

hachijam

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筋肉痛になる夢

4.

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バイトが始まる時間になっても僕以外の人は誰も来なかった。五分ぐらい過ぎて、ちょっと不安に思ってしまった。もしかして、日付間違えた、バイトを頼まれたというのも勘違い、でも、下山さんが今日から休みと言うのは間違いないはずだし、事務に行った時には特別に何も言われなかったから、大丈夫だろう。でも、場所間違えているとか、そう言えば、配送の手伝いがあるかもと言われていたけど、それだったら、違うところに行く必要があるんだろうか。一人で考えていると、余計な事を考えてしまう。

少し落ち着けば、暇な時はこんな感じだなとも思う。いつも下山さんがいるから、暇な時は休憩して、話したりして時間をつぶしているけど、もし、一人だったら、こういう状況になっていてもおかしくはないのかもしれないと思った。そう思って、ちょっと感じていた不安をごまかす事にした。でも、更に十分経って、誰も来ないと不安に思ってしまった。

とりあえず、もう一度、事務に行ってみようかなと思う。普段よりも高い時給を貰う事になっているから、その分は働かないという気持ちもあった。また、事務に行くのが少し面倒だなと思いつつ、このまま待っていて、サボっていると思われるのも嫌だなと思った。よしっと気合を入れて、事務に行こうとして、第二倉庫を出たら、丁度、社長がいた。

「おはようございます」

と軽く頭を下げて挨拶する。

「おはよう。あれ、今日は早いね。…、あっそうか。下山君、今日から休みか」

「…ええ」

社長自ら頼まれたのに、忘れられていたのかと思うと、ちょっと不安になる。バイト代の事は大丈夫なんだろうかと少し気になった。

「あの、誰も来ないんですけど…」

「ん?この時間だと、そうかもね」

時計を見ながら言う。

「ええっと、このまま待っていればいいんですか?それとも、どっかの手伝いした方が良いんですか?」

社長に直接聞くのが正しいのか良く分からなかったけど、そもそも、社長に頼まれてここにいるので、聞いても間違いではないと思った。

「そうだね。基本的にはいつもと同じで倉庫の仕事をしてくればいいよ。急ぎで頼みたい事がある時には、誰か頼みに来ると思うから、その時は指示に従って…」

「はぁ」

気合を入れていた分、ちょっと間が抜けたような返事をしてしまった。

「大丈夫、大丈夫。バイト代の事は分かっているから…」

僕の心配に気が付いたように社長が言う。

「もう少ししたら、誰か行くと思うから、心配しないで」

そう言って、社長は自分の部屋へと向かった。
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