夢ノコリ

hachijam

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筋肉痛になる夢

3.

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普段は昼過ぎからバイトに入る事が多いので、朝からと言うのは珍しい。どことなく、いつもと違った雰囲気がする。何となく緊張感があるというか、静けさが漂っていた。とりあえず、いつもと同じように第二倉庫に向かったけど、ドアのカギが閉まっていて開いていなかった。

これまで朝に僕が来る時と言うのは、繁忙期だったので、僕が来る前に誰か、大概は下山さん、がいたけど、今日はまだ誰も来ていないようだった。誰か来るのを待った方が良いのか、それともカギを取りに行った方が少し悩む。会社の入り口は開いていたから、事務の方に行けば、誰かいるはずだ。どこにカギがあるのかは良く分かっていなかったけど、事務に行けば分かるだろうと思った。でも、単純に面倒だし、カギを開けたとして、誰もいない倉庫で待っているのもどうなんだろう。でも、ここで待っているのも暇だという感じで悩む。

時間を見たら、バイトの開始時間までにはまだ少しあった。もう少しだけ、待って誰も来なかったら、事務に行こうという、無難な判断をする。結局、時間まで誰も来ず、このまま待っていたら、遅刻になってしまうかもと思って、事務に行く事にした。下山さんも普段はこんなギリギリなんだろうかと少し思って、そう言えば、今日から下山さんが休みだから、バイトに入ってくれないかと頼まれた事を思い出した。だったら、本当にギリギリまで誰も来ないのではと思う。もっと早く思い出してカギを取りに行くべきだったのかとその時思った。どうやら、一週間はカギ当番になりそうだなと思ったりした。

事務に行くと社員の人がいた。挨拶して、第二倉庫が開いていないと言うと、カギを貸してくれた。何で下山さんが来ないで、僕がカギを受け取りに来たのか疑問だったようだけど、僕が今日から下山さんはお休みみたいですよと言うと、ああ、そうか今日からかと言っていた。あまりにも普段、自然に下山さんがいるから、いない事が不思議に思えるのだろう。僕も同じ感じだった。簡単なカギの扱いの注意点を聞かされて、カギ当番になるのは決定かもしれないと思った。

第二倉庫に戻り、受け取ったカギでドアを開けて中に入った。当然だけど、誰もいなくて静まり返っていた。誰かがいたら怖いのだが、誰もいないと思うとそれもまた怖いと思う。普段もひとりになる瞬間はあるから、そう感じるのはちょっと考えると不思議だなと思いつつ、でも、独特の静けさを感じてしまった。単純に慣れていないという事かもしれない。とりあえず、作業がすぐに出来るように準備をしようと思った。
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