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重い荷物を背負っている夢
5.
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何かぷちっという何かが切れたような音がした気がした。あー、ダメだと思いながら、
「あの、三戸さん社員ですよね」
「ん?そうだよ。知ってるでしょ?」
缶コーヒーを開けながら、三戸さんが答える。その態度も苛立ってしまう。
「道、調べるの、自分でしないんですか?」
八つ当たりしているなと分かっている自分と言うのもいて、何だか嫌な事を言っていると思う。
「そう?俺、調べた方が良い?」
暖簾に腕押し、糠に釘と言うことわざが浮かんできて、こういう時に使うんだなと妙に冷静な自分が現れた。
「いや、良いです。すいません、すぐに調べます」
普段、怒り慣れていない僕はこういう時にワーッという感じで言う事が出来ない。分かりやすく感情をぶつけた方が良いのか、でも、それだと、ただ喧嘩になって収拾がつかなくなる。スポコン物の漫画ならいざ知らず現実の世界でそれをやって、上手くいくケースがあるんだろうか。少なくともそういうのを僕は知らない。だから、これがベストではないけど、ベターな選択ではあると思う。思う事にした。いずれにしろ、今は僕が道を案内しなければどうにもならないと思った。それに集中する。
「…羽田さんってさ。人生大変そうだよね…」
どういう意味で三戸さんが言ったのか分からなかったけど、
「そうだと思います」
と、考えずに答えている僕がいた。
結局、僕は複雑だけど短時間でたどり着ける道で行く気がした。どこかやけになっている感じがあったのかもしれない。複雑な道で三戸さんを困らせてやろうとか、どうせ迷子になって時間がかかっても仕事を任せた方が悪いとか、そういう意地悪な事を考えてもいたりした。でも、運が良いのか悪いのか、迷う事なく目的地にたどり着く事が出来た。意地悪な事を考えても、結局は仕事だからちゃんとやらなければと先に思ってしまう自分と言うのが良いのか悪いのか、やっぱり、良く分からなかった。
配送先に着くと、三戸さんが先にトラックから降りた。これまでにない行動で驚く。今までは基本的には僕に全て任せていて、一人では運べない荷物の時だけ、手伝いをお願いすると協力してくれるという感じだった。
「これでしょ」
三戸さんが荷物を指さす。精密機械と書かれている物で、間違いが無いか、僕はリストと確認した。
「そうです」
「よし、運ぼう。精密機械だから、気を付けてね」
急にベテランの社員のように指示をしてきて、びっくりする。
「はい、そっち持って、行くよ」
驚いている間も無く、指示が続く。三戸さんと僕は協力して荷物を運んでいった。
「あの、三戸さん社員ですよね」
「ん?そうだよ。知ってるでしょ?」
缶コーヒーを開けながら、三戸さんが答える。その態度も苛立ってしまう。
「道、調べるの、自分でしないんですか?」
八つ当たりしているなと分かっている自分と言うのもいて、何だか嫌な事を言っていると思う。
「そう?俺、調べた方が良い?」
暖簾に腕押し、糠に釘と言うことわざが浮かんできて、こういう時に使うんだなと妙に冷静な自分が現れた。
「いや、良いです。すいません、すぐに調べます」
普段、怒り慣れていない僕はこういう時にワーッという感じで言う事が出来ない。分かりやすく感情をぶつけた方が良いのか、でも、それだと、ただ喧嘩になって収拾がつかなくなる。スポコン物の漫画ならいざ知らず現実の世界でそれをやって、上手くいくケースがあるんだろうか。少なくともそういうのを僕は知らない。だから、これがベストではないけど、ベターな選択ではあると思う。思う事にした。いずれにしろ、今は僕が道を案内しなければどうにもならないと思った。それに集中する。
「…羽田さんってさ。人生大変そうだよね…」
どういう意味で三戸さんが言ったのか分からなかったけど、
「そうだと思います」
と、考えずに答えている僕がいた。
結局、僕は複雑だけど短時間でたどり着ける道で行く気がした。どこかやけになっている感じがあったのかもしれない。複雑な道で三戸さんを困らせてやろうとか、どうせ迷子になって時間がかかっても仕事を任せた方が悪いとか、そういう意地悪な事を考えてもいたりした。でも、運が良いのか悪いのか、迷う事なく目的地にたどり着く事が出来た。意地悪な事を考えても、結局は仕事だからちゃんとやらなければと先に思ってしまう自分と言うのが良いのか悪いのか、やっぱり、良く分からなかった。
配送先に着くと、三戸さんが先にトラックから降りた。これまでにない行動で驚く。今までは基本的には僕に全て任せていて、一人では運べない荷物の時だけ、手伝いをお願いすると協力してくれるという感じだった。
「これでしょ」
三戸さんが荷物を指さす。精密機械と書かれている物で、間違いが無いか、僕はリストと確認した。
「そうです」
「よし、運ぼう。精密機械だから、気を付けてね」
急にベテランの社員のように指示をしてきて、びっくりする。
「はい、そっち持って、行くよ」
驚いている間も無く、指示が続く。三戸さんと僕は協力して荷物を運んでいった。
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