夢ノコリ

hachijam

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凍える夢

1.

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(あれ、確か、今って夏じゃなかったっけ)

そう思いながら寒さに震えていた。もっと暖かい格好をするべきだったと思ったけど、気が付いたら、真冬の格好をしていた。フード付きで、フワフワしたもの。雪の中でも大丈夫な格好をイメージすると、そんな格好になった。気持ち的にはだいぶ暖かくなった気がしたけど、それでもまだ寒かった。何でこんなに凍えているんだろうか。その理由は分からなかった。風が強い訳でも、雪が降っているなんて事も無い。暖かい格好もしている。でも、とにかく寒いんだと思った。体を震わせてどうにか気合で頑張ろうと思っていると、目の前に髪の長い女の子が現れた。僕とは違いちっとも寒そうでは無く、格好も半袖で夏の格好と言う感じだ。

「寒そうだね」

女の子が笑って言う。馬鹿にされているようにも感じたけど、寒さに耐えられる気もしなかったので

「寒い」

と答えた。心なしか声が震えている気がする。

「でも、寒くないよ」

女の子は言う。

確かに女の子は全く寒くなさそうだ。無理している様子も無かった。僕だけがただひたすら寒いのだろうか。

「どうしたら、暖かくなる?」

女の子がその方法を知っている気がした。

「うーん…」

少し考えて、それから、僕の方をじっと見て、

「分からない」

と、にこやかに言った。その言い方は何の嫌味も感じられずに、そうだよなと思ってしまった。だって、僕だけが寒いんだから、僕がどうにかしなければ、解決できないと思った。

(ストーブがあれば良い。ストーブ、ストーブ…)

そんな事をふと思ったら目の前にストーブが現れた。これだったら、温まるはずだ。そう思い、手をストーブに近づける。一瞬、ほんの一瞬だけ、温かさを感じた気がしたけど、それはすぐにどっかに行ってしまったようだ。ストーブはそこにあるのにちっとも温かくなかった。

何か他の暖房とイメージするけど、ストーブでこれだったら、もっと強力な物をイメージしないとダメだ。でも、そんなのは浮かばなかった。

(あー、何かダメだ)

そう半分諦めて、力を抜いたら、急にさっきよりも寒さを感じなくなった。

(あれ?)

と、思った。だったら、もういっそ、寒さを受け入れてやるというくらいの気持ちで脱力する。そうすると、不思議と寒さは全く感じなくなってくる。

「少しは寒くなくなった?」

「あっ、うん」

女の子の問いに答えたけど、どうしてそうなったのかは良く分からなかった。最初の寒さは何だったんだろうと思っていたところで目が覚めた。
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