夢ノコリ

hachijam

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凍える夢

7.

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目が覚めたら、お昼を過ぎていた。たっぷりと寝ていたからもう夕方なのかなと思っていたので、思っていたよりも時間が経っていなくて驚く。何で起きたんだろうと思ったけど、その理由が空腹である事に気が付いた。

朝、具合が悪かったから何も口にしていなかったのを思い出す。頭痛は無くなっていた。体のだるさは残っていたが、これは空腹による影響も大きいと思う。朝とは違い、起き上がれないと思うほどのだるさでは無かった。だったら、起きた方が良いと思う。試しに起きてみたら、大丈夫だと実感した。

とりあえず、空腹をどうにかしたい。冷蔵庫を開けてみたら、ゼリーが置いてあった。いくら空腹とは言え、固形の物を食べるのは辛いなと思っていただけに、それはありがたかった。一口食べてみたら、体に染みわたる感じがした。大げさに言えば、生きているのが実感できたという感じだろうか。更に一口と思って食べていたらあっという間に食べ終わってしまった。

空腹はちっとも収まらない感じがしたけど、ここで無理すると大概、酷くなるというのは、これまでの経験から明らかだ。治りかけに油断するとまた酷くなるというのも経験している。だから、大人しくまた横になる事にした。でも、たっぷりと寝てしまったので、全く眠気が無かった。

だからと言って、何かをする気にもなれない。テレビをちょっと付けて見たが、惹かれるようなものはやっていなかった。仕方ないのでテレビを消して、ぼーっとしてみた。何だか、いろんなことがどうでも良くなってくる。何か、ここ一週間、悩んでいた事とか何だったんだろうなと思ったりする。何となく責任を感じて、一生懸命頑張ってきたけど、それは意味があったんだろうかとか思ってしまった。

勝手に自分が頑張らなきゃと思っていたけど、そうでも無かったのかなと思う。いや、そんな事はない。仕事なんだから頑張って当然だと思うところもある。でも、僕がいなくても普通に仕事は回るのだろう。それはそうだ。たかがバイトが休んだくらいで、どうにもならなくなってしまう仕事なんてないだろうと思う。

いや、でも、下山さんが休んだ時は大変だったと思う。だとしたら、人なのだろうか。でも、下山さんが休んでも、大変だったけど、仕事はどうにかなった。瞬間的に滞る事があっても、それは本当に一瞬で気が付いたら何事も無いように物事は進んで行くんだろうなと思った。こんな風に考えてしまうのは、やっぱり、体調が良くないからだろうか。ぼんやりと天井を見ながら、ダラダラといろいろな事を考えてしまう。
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