夢ノコリ

hachijam

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暑い夢

6.

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「だったら、プールで泳いで来ればよかったのに」

やっぱり、意地悪な事を言うなと思う。多分、いや、間違いなく、分かって言ってるなと思う。僕が何か言っても、また、意地悪な事を言ってきそうな気がする。だから黙っていた。そんな僕を少し不思議そうな表情で見つめる。何か言うと思っていたのだろう。そうはいくかとか思う。ふんとか、言ってやりたい気分だったけど、子供じみている気がして止めた。すでにそういう態度をしているのが子供じみている気もしたけど、そこは気にしない事にする。でも、

「分かった。ふてくされているんだ」

と言われてしまった。急に恥ずかしくなって、腹立たしくなって、大きな声を上げようとしたけど、その前に

「しっ」

と言われてしまう。もごもごと言葉にならない声になる。

「そうだ。暇だったら、おしゃべりでもしようか?」

「おしゃべり?何を?」

「うーん。何だろう。何かしゃべりたいことある?」

自分から提案して来て、僕に聞くのはどうなんだと思いながら、聞いてみたい事がひとつ浮かんだ。でも、恥ずかしい気がする。聞いていいんだろうか。

「何かありそうだね」

女の子は見透かしたように言う。

「あー、えー、っと、そう、友達の話なんだけど」

何だ、その言い方は。自分で言っていて思う。

「うん」

女の子が頷いたので話を続ける。あくまで友達の話のつもりで。

「知り合いの女の子に映画に誘われたんだって」

「うんうん」

「で、それがどういう意味なのかって、相談されたんだけど、どう思う?」

ちゃんと伝わっただろうか。不安に思いながら様子を伺う。

「へー、そんな話があるんだ」

「いや、友達の話だよ」

明らかにばれているのに、それでも僕はそう言う。

「その女の子の事をキミは知っているの?」

「あ、うん。知っている」

「良い子?」

「あ、うん。良い子だと思う」

そう言い切れるほど知っているんだろうか。

「キミはどう思ったの?」

質問で返してきた。それは僕が聞きたい事だ。でも、あくまで友達の話だ。自分なりに考えないとまずいのかもしれない。

「好意があるんじゃないかって」

「本当に?」

「あ、いや、分からないけど」

「その友達は?」

「えっ?」

「その子のこと、どう思っているの?」

「どうなんだろう。はっきりと分からないから戸惑っているんだと思う」

「嬉しい?」

「えっ?」

「映画に誘われて嬉しい?」

「えっ…。そうだと思うよ」

「キミもそう思う?」

「いや、だから…」

「どう?」

「…嬉しいとは思うよ。でも、それが何か理由があるのかなと思って…」

「理由が必要?」

「えっ」

「友達を映画に誘うのに理由が必要?」

それは確信めいた問いかけのようにも思えた。
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