夢ノコリ

hachijam

文字の大きさ
220 / 275
雨が降りそうな夢

3.

しおりを挟む
そして、五分が経過した。赤岡さんの姿はまだ見えなかった。こういう場合、どうしたら良いだろうか。すぐに連絡したらせっかちだと思われるだろうか。五分ぐらいの遅刻なら気にしないで待っている方が良いんだろうか。でも、十分経ったら、十五分経ったら、そこまで待つべきなのか、それともすぐにでも連絡した方が良いのか。遅れてくるというのを想定していなかったので焦る。

もしかして、時間を間違えていたのか、いや、大丈夫なはずだ。場所もこの間と同じだから、間違えるはずなんてないし。約束が今日じゃなかったとか、明日と言っていたのが、明後日だったとか、そう言われると自信は無い。日にちで確認していなかった。

赤岡さんが勘違いしている可能性もある。途端に不安になった。それだったら、すぐにでも連絡した方が良いんだろうか。待て待て、とりあえず、五分だけ待とう。それで来なかったら考えよう。そう思ってからの五分は長く感じる。

一秒ごとと言ったら、大げさだけど、そんな感じで時計を確認している自分がいた。そして、五分が過ぎて、どうしようかと思う。後五分だけ、すぐにそう思う。そうだ、十分ぐらいなら遅れる場合もあるだろう。出がけに何かあったのかもしれない。もしかして、事故とかに巻き込まれていたりしないだろうか。そんな事も思ったけど、周りが騒がしい様子も無かった。

赤岡さんの家はどこだったかなと思う。何となくの場所は分かっていたけど、正確には浮かばなかった。様子を見に行った方が良いか。でも、入れ違いになったら、そんな事をいろいろと考えていたら、今度は五分があっという間に経過していた。

どうしようかなと相変わらず迷っていたら、目の前に男の子が立っているのに気が付いた。じっとこちらを見ている。知り合いだろうか。地元だから、近所の家の子とかだろうかと思うけど、心当りが無かった。何か自分が変な格好をしているのかと思った。慌てて確認するのもどうかと思い。視線に気づかないふりをした。

こちらをじっと見ている。何か用事なのかなと思う。でも、今はそれを気にしている余裕はなかった。時計を確認するが、男の子の事は気になって、チラッと見てしまう。もしかして、迷子だろうか。それだったら、話しかけた方が良いか。でも、話しかけて不審者だと思われないだろうか。そんなことまで思う。赤岡さんが入れば、二人で話しかけられるので、怪しまれない気もするし、場合によっては駅員さんを呼びに行く手もあるなと考えていたら、

「あー、いた。良かったー」

と聞いた事がある声が聞こえてきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鷹鷲高校執事科

三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。 東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。 物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。 各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。 表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

処理中です...