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雨が降りそうな夢
9.
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ケーキを食べて一服したところで、赤岡さんが何やら取り出した。さっき、博物館のお土産のところで買っていた物のようだ。中身を取り出して、僕と勇君に渡す。それは恐竜がキャラクター化したキーホルダーだった。勇君はブラキオサウルスと言う大きな恐竜で、僕はトリケラトプスだった。赤岡さんは自分のも買っていて、プテラノドンだった。僕が言っていた好きな恐竜を覚えていたんだなと思って少し嬉しくなった。
今日の記念とお礼の意味も込めてのプレゼントだったようで、ありがたくいただいておくことにした。付けるカギは思いつかなかったけど、鞄にでも付けたら良いかなと思った。勇君は赤岡さんの選んだブラキオサウルスに渋いと言っていたが、言っている意味を理解しているのかは良く分からなかった。ただ、嬉しそうにはしていた。全くのお揃いという訳ではないけど、同じもの、しかも、共通の思い出を持った上でのと考えると、特別な物に感じてしまう。
帰りの電車は帰宅ラッシュの時間帯で、そこそこ混んでいた。席が二つだけ空いていて、赤岡さんと勇君が座る。勇君は何だかんだで疲れていたようで、席に座った途端、赤岡さんにより掛かって寝てしまった。その姿を見ると、微笑ましい物を見ている気分になる。
「今日はありがとうね」
と赤岡さんに言われる。
「いえいえ、こちらこそ、楽しませていただきました」
と少しおどけて言ってみた。赤岡さんがニコニコと笑ってくれた。何かようやく二人きりで話せているなと思った。もし、予定通り、映画に行っていたらどうなっていたんだろう。今の状況を考えると、想像できないなと思う。そう考えると、悪くない選択肢だったのかもしれない。そう言えばと気になっていた事を思い出した。
「何の映画を見に行く予定だったの?」
と聞いてみる。
「えっ、あれ、言ってなかった?」
赤岡さんは驚いたように言う。
「うん、聞いていない…と思う」
その表情を見て、言われたのに聞き逃していたのかもしれないと少し思う。
「ええっと」
そう言うと、少し照れたように言う。別に恥ずかしくはないと思うけど、改めて言うとなるとそういうものだろうか。その映画は、海外のヒーロー物と言う感じのアクション映画だった。少し意外だった気がする。
「あっ、驚いてる。そんなに意外?」
「そんな事は無いよ」
表情に出ていたのだろうか。
「そうだよね。美加と岬を誘ってもダメだったから」
それで僕が映画に誘われた理由が分かった。ホッとしたような、ガッカリしたような、でも、その相手に僕を選んだことは嬉しい気分にもなる。
今日の記念とお礼の意味も込めてのプレゼントだったようで、ありがたくいただいておくことにした。付けるカギは思いつかなかったけど、鞄にでも付けたら良いかなと思った。勇君は赤岡さんの選んだブラキオサウルスに渋いと言っていたが、言っている意味を理解しているのかは良く分からなかった。ただ、嬉しそうにはしていた。全くのお揃いという訳ではないけど、同じもの、しかも、共通の思い出を持った上でのと考えると、特別な物に感じてしまう。
帰りの電車は帰宅ラッシュの時間帯で、そこそこ混んでいた。席が二つだけ空いていて、赤岡さんと勇君が座る。勇君は何だかんだで疲れていたようで、席に座った途端、赤岡さんにより掛かって寝てしまった。その姿を見ると、微笑ましい物を見ている気分になる。
「今日はありがとうね」
と赤岡さんに言われる。
「いえいえ、こちらこそ、楽しませていただきました」
と少しおどけて言ってみた。赤岡さんがニコニコと笑ってくれた。何かようやく二人きりで話せているなと思った。もし、予定通り、映画に行っていたらどうなっていたんだろう。今の状況を考えると、想像できないなと思う。そう考えると、悪くない選択肢だったのかもしれない。そう言えばと気になっていた事を思い出した。
「何の映画を見に行く予定だったの?」
と聞いてみる。
「えっ、あれ、言ってなかった?」
赤岡さんは驚いたように言う。
「うん、聞いていない…と思う」
その表情を見て、言われたのに聞き逃していたのかもしれないと少し思う。
「ええっと」
そう言うと、少し照れたように言う。別に恥ずかしくはないと思うけど、改めて言うとなるとそういうものだろうか。その映画は、海外のヒーロー物と言う感じのアクション映画だった。少し意外だった気がする。
「あっ、驚いてる。そんなに意外?」
「そんな事は無いよ」
表情に出ていたのだろうか。
「そうだよね。美加と岬を誘ってもダメだったから」
それで僕が映画に誘われた理由が分かった。ホッとしたような、ガッカリしたような、でも、その相手に僕を選んだことは嬉しい気分にもなる。
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