夢ノコリ

hachijam

文字の大きさ
245 / 275
文句を言われる夢

8.

しおりを挟む
充の返事を聞くと、嬉しそうな表情を沢島さんが浮かべる。こんな嬉しそうな顔をするんだなと思ってしまう。沢島さんは別の用事があるからと、さっさと帰ってしまう。

「まあ、そうだよな。仕方ないよな」

満更でもない表情を浮かべる。結局、何だったんだろう。怒りたいやら、呆れるやら、何か僕の感情は複雑だったけど、とにかく、無事に事はすんだのかなと思う。そう考えれば、ホッとするというところだろうか。でも、そうはいかなかった。

「じゃあ、これ書いて」

そう言って、一枚の紙を取り出した。そこには、ミスター学園祭の文字が。何だこれは。じっくりと見て、それが学園祭のチラシだと気が付く。大学名を見ると、沢島さんたちが通っているところのようだ。そこのミスター学園祭を募集しているという事のようだ。そのチラシがどうしたというのだろうか。まさか、

「出るの?」

「そう。お前と一緒にな。だから、書いて」

サラッと言う。どういう事なんだと思う。

「え?だって、岬ちゃんが正しいって言っていたじゃん」

何となく話の流れが見えて来たけど、そんな話は聞いていないというか、ワザと言っていなかったのは明白だ。この野郎と思う。

「…」

なので、反論せずに睨んでみた。

「だって、しょうがないだろう。頼まれたんだから」

ふてくされたように言う。そもそも、ふてくされたいのはこっちだ。話が進まないので、とにかく、事情を説明しろと言う。しぶしぶと言う感じだったけど、ようやく事情が話せるとホッとしているようでもあった。

何でも、沢島さんは学園祭の実行委員なんだそうだ。その学園祭で今年の目玉として、ミスター学園祭を決めるコンテストをやる事に決めたそうだ。普通、学園祭だから、その大学の中でミスターを選ぶべきなんだけど、思ったよりも参加者が集まっていないらしい。そこで、学生の推薦があれば、他の大学でも良いという条件に変えたのだそうだ。

それでも、なかなか人が集まらず、充が参加を頼まれたという事のようだ。でも、充はそんなのは嫌だと断わったら、喧嘩になってしまったらしい。沢島さんは実行委員として、学園祭に張り切っているのに、それを馬鹿にしたような事を勢いで言ってしまったようだ。そこはさすがに言い過ぎたと思って、謝ろうと思ったけど、そうなると、ミスター学園祭に出るくらいの事を言わないと許してもらえないと思ったようだ。

そこで、自分だけでは嫌と言う事で、僕を巻き込んだようだ。人数が足りていないという事もあって、沢島さんもそれは丁度良いと思ったらしい。何だ、この二人はと思う。まんまと罠にはめられた気がする。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鷹鷲高校執事科

三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。 東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。 物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。 各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。 表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

処理中です...