夢ノコリ

hachijam

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文句を言われる夢

7.

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その声に反応して、沢島さんが僕の方を向く。その瞬間、必死に我慢してきた感情がこぼれてしまったように、涙がつーっと頬を伝った。あれ、何か余計な事をしてしまった。そう思った瞬間、沢島さんの目から涙がボロボロとこぼれる。泣くのを我慢しているような表情だけど、涙は止まらないみたいだ。

「…」

僕は言葉を続けられなくて黙ってしまう。充の方をチラッと見たら、何泣かしているんだよと怖い顔をしている。僕のせいなのか、確かに僕の一言が最終的な理由かもしれないけど、こんな状況に陥ったのは僕のせいじゃないだろう。

ちょっとイラッとしてしまい、

「申し訳ないんだけど、状況を説明してくれない」

と怒ったような口調で言ってしまった。その言葉で、今度は沢島さんがキョトンとした表情になる。それで涙が止まったみたいだ。ちょっとホッとしたけど、こうなると僕の怒りの矛先を充にぶつけるしかない。

「…」

黙って睨む。沢島さんもまた怒りを思い出したのか、睨んでいた。

「ええっと、ごめん」

また、充が謝って、僕はため息をついてしまう。沢島さんもそれにつられるようにため息をついた。

充の態度に呆れて、さっきまでとは、違って少し落ち着いた雰囲気になったみたいだ。良くも悪くも謝り続けた充の作戦勝ちなのだろうか。勝っているのかは良く分からないけど。

「で、何?どうするの?」

今度はさっきよりも幾分柔らかに聞いている気がする。

「うーん」

でも、充の答えははっきりしなかった。

「結局、はっきりしないんだね」

「そうは言ってもなあ」

と、充は僕を見ながら言う。何度も言うようだけど、僕は詳しい事情を分かっていない。それを知っているくせに僕の方を見てくる、充はなんなんだろう。

「どう思います?」

今度は沢島さんが聞いてくる。沢島さんも僕が事情を知っているとは思っていないはずだ。なのに聞いてくる。意地悪だなと思うけど、充の性格を考えれば、

「沢島さんが正しいと思うよ」

と言うのが正解なような気がする。

「ほら、こう言ってるよ」

沢島さんは自信満々に言う。

「そうか、うん。じゃあ、仕方ないか」

しぶしぶという感じで充が言う。

「仕方ないの?だったら、止める?」

「いや、そういう意味じゃないよ。羽田も良いって言っているからな。それだったら、…」

「それだったら?」

「…ぜひ、お願いします」

充がそう言う。話は良く分からないままだけど、充が妥協したようだ。と言うか、妥協する事は決まっていて、それを演出するために僕を利用したのではないかと思う。そう言う奴だ。そう思う。
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