夢ノコリ

hachijam

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嘘をつく夢

4.

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「ええっと」

そう言いながら、申込用紙の中身を確認する。住所、氏名、年齢なんて、基本的なところをまずは埋めていく。そこは全く悩むところでは無い。むしろ、機械的に埋めれる事で、これは友達に頼まれたから、仕方なくやっているんだと思う事が出来た。でも、次に趣味、特技とか、アピールポイントとか、推薦文、そして、写真と言うのがあって、困ってしまった。ここら辺も審査のポイントになるらしい。ちなみに審査の流れとしては、書類選考での一次審査、面接での二次審査、そして、最後に当時に最終審査が行われるそうだ。今書いているのは、一次審査向けの書類と言う事になる。人数合わせなんだから、その辺は適当で良いのではと考えていたのだけど、赤岡さんはそうは考えていないようだ。あくまで真面目に対応しようとしている。素直に友達想いで真面目だなと思うところと、そこまでやるのと言う若干引いている気持ちもあったりする。

「趣味?」

思わずそう言ってしまう。パッと浮かばない。音楽鑑賞とかスポーツ観戦とか無難な事が浮かんでくるけど、じゃあ、どんな音楽が好きなのとか、最近、いつスポーツを見に行ったのかとか言われると答えられない。テレビで見るぐらいで、それを趣味と言って良い事なんだろうか。夢の日記を書いているなんて浮かんだけど、それは人に言うべき趣味じゃない気がする。

こういうの受験の時に何か書いた気がするけど、何を書いたんだろうか。思い出せない。やっぱり、無難な事を書いたのかなと思ったりする。でも、具体的な事は全く思い出せなかった。とりあえず、保留。

「特技?」

また、言葉にしてしまった。これまた、浮かばない。何だろう。こういうのに堂々と書ける事がない自分と言うのが、ガッカリしてしまう。

「難しい?」

赤岡さんにそう聞かれる。

「うーん。改めて聞かれると、趣味とか特技とかなんだろうって思って」

「そうだね。何か部活とかやってれば、分かりやすいのかもしれないけど」

そう言われる。そういうのが今の僕には無い。中学、高校と部活をやってなかった訳じゃないけど、今、趣味とか、特技とか言われると、違う気がする。意外と難しい。これも保留になりそうだ。

「趣味とか、特技はちょっと自分で考えてみるよ」

そう言って、誤魔化す。何だかんだで、無難な事を書きそうな気がするけど、それを今書くのは何だか恥ずかしく感じてしまった。

「そうだね。そこは羽田君が考えた方が良いよ」

赤岡さんも納得してくれた。
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