夢ノコリ

hachijam

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嘘をつく夢

3.

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「何か、ごめんね」

会って早々、赤岡さんに謝られて恐縮する。確かに誰かに謝ってもらいたいような状況だけど、その相手は赤岡さんではない気がする。少し、夢の記憶が残っていたので、赤岡さんに謝られると訳が分からない後ろめたさも感じる。

「まあ、仕方ないよ。充のせいだから」

そう言いながら、僕は苦笑いする。充が言っていた通り、沢島さんから赤岡さんにミスター学園祭の事で話が行き、赤岡さんと約束して会う事になったのは、九月に入ってすぐだった。

「小浜君は仕方ないにしても、羽田君と三ヶ嶋君にも、お願いするとは思わなかった。しかも、私も美加も巻き込まれているし…」

どうやら赤岡さんはミスター学園祭の事で、人が集まらずに困っているという事情は知っていたようだった。ただ、僕と三ヶ嶋君が頼まれるとは考えていなかったようで、更に自分が巻き込まれるのも想定外だったようだ。でも、僕がお願いされた以上、赤岡さんが断るという選択肢も無くなったようで、困っている友達を助けたいと協力したい気持ちがありつつも、どうしたら良いのかで困っているという感じのようだ。

被害者と言うと、言い方が適切じゃないかもしれないけど、巻き込まれた立場である赤岡さんを責める訳にもいかなかった。何度も仕方ないと呟いて、ため息をして、その度にお互いの表情が苦くなる気がした。

「まあ、人数合わせだから、そんなに難しく考えなくてもいいんじゃない」

そう言って、場を和ませようとするが、赤岡さんの表情は変わらない。

「そうだけど、あまりにいい加減だと、コンテストが失敗しちゃうかもしれないでしょ。それじゃ、岬に悪いし」

真面目だなと思う。確かに頼まれた以上は、ある程度はちゃんとしないといけないのかもしれない。無責任に感じていた自分がちょっと恥ずかしくなる。とは言え、具体的にミスター学園祭に向けて何をやるんだろう。オシャレに気を遣ったりするのか。そんなのは想像もつかない。

「とりあえず、これを書けって言われた」

そう言って、赤岡さんが取り出したのは、申込用紙だった。何枚かあり、名前だけ書けばいいという感じでは無いようだ。本格的だなと思う。頼まれたのは良いけど、僕は具体的な事は何も聞かされていなかった。赤岡さんは、その辺のレクチャーも受けているようで、実は僕よりも大変なのではと思ったりしてしまった。だったら、少し真面目に協力しないといけないのかもしれない。ほんの少しだけ、そう思った。
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