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嘘をつく夢
2.
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僕は逃げるように、その場を去る。と、何かにつまづく。辛うじて転ぶ事は無かったけど、足元にあった、積み木を崩してしまう。お城のような形に積まれていたけど、ガラガラと音を立てて崩れてしまった。やばいと思って、元に戻そうとしたら、人の気配を感じた。振り返ってみると、充が立っていた。
「どうした?」
そう聞いてくる。僕は積み木の事を言おうかと思ったけど、
「ううん。何でも無い」
と答えてしまう。僕の様子がおかしかったことに充は気が付いたようで、
「もしかして、積み木崩しちゃった?」
と聞いてくる。正直に答えた方が良さそうだと思いつつ、
「知らない。来た時には崩れていたよ」
なんて言ってしまう。
「そうなんだ」
やっぱり、疑われている気がする。悪気があって、壊したわけじゃない。嘘をつかないで、正直に答えた方が良い。それで許してもらえるはずだ。そう思うけど、
「風か何かで崩れたんじゃない」
なんて事を言ってしまう。
「そうかもね」
気付いている気がする。
「結構、凄い城が出来たんだけどな」
やっぱり、城だったんだなと思う。でも、今度は言葉でばれないように、何も言わないでいた。
「ほんと、ほんと、頑張ったんだけどな」
いつの間にか、三ヶ嶋君も現れて言う。やっぱり、謝った方が良い、
「あの…」
そう言いかけたけど、その声に反応して僕の方に向けた二人の視線を感じると、何も言えなくなってしまった。
そして、僕から視線を逸らすと、
「何がショックって言うと、やっぱり、嘘つかれた事だよなー」
と充が、
「そうだよな。正直に言ってくれればいいのに」
と三ヶ嶋君が言って、僕は絶えられなくなって、その場から走り出した。何で嘘ついてしまったんだろう。そう思いながら、走っていた。
目を覚まして、夢だと分かりホッとする。どうでもいいような事でついた嘘で酷い目にあうなんてのは良くある話なのかもしれない。
嘘をつく夢
ケーキを食べて誤魔化そうとする
積み木を崩して誤魔化そうとする
と書きながら思っていた。
今、ついている嘘と言うのがあるんだろうか。間違いや勘違いで結果的に嘘になってしまう事もある。そういうのも含めたら、嘘はついていないと言えない気もする。でも、多分、今はそれほど大きな嘘はついていないと思う。多分、そう思う。
まだ、寝起きではっきりしない意識の中、何かをぼんやりと考えている。それが何なのか、良く分からないけど、大事な何かを忘れているような気もした。それがはっきりしなくて、何だか気分が沈んだままだった。
「どうした?」
そう聞いてくる。僕は積み木の事を言おうかと思ったけど、
「ううん。何でも無い」
と答えてしまう。僕の様子がおかしかったことに充は気が付いたようで、
「もしかして、積み木崩しちゃった?」
と聞いてくる。正直に答えた方が良さそうだと思いつつ、
「知らない。来た時には崩れていたよ」
なんて言ってしまう。
「そうなんだ」
やっぱり、疑われている気がする。悪気があって、壊したわけじゃない。嘘をつかないで、正直に答えた方が良い。それで許してもらえるはずだ。そう思うけど、
「風か何かで崩れたんじゃない」
なんて事を言ってしまう。
「そうかもね」
気付いている気がする。
「結構、凄い城が出来たんだけどな」
やっぱり、城だったんだなと思う。でも、今度は言葉でばれないように、何も言わないでいた。
「ほんと、ほんと、頑張ったんだけどな」
いつの間にか、三ヶ嶋君も現れて言う。やっぱり、謝った方が良い、
「あの…」
そう言いかけたけど、その声に反応して僕の方に向けた二人の視線を感じると、何も言えなくなってしまった。
そして、僕から視線を逸らすと、
「何がショックって言うと、やっぱり、嘘つかれた事だよなー」
と充が、
「そうだよな。正直に言ってくれればいいのに」
と三ヶ嶋君が言って、僕は絶えられなくなって、その場から走り出した。何で嘘ついてしまったんだろう。そう思いながら、走っていた。
目を覚まして、夢だと分かりホッとする。どうでもいいような事でついた嘘で酷い目にあうなんてのは良くある話なのかもしれない。
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ケーキを食べて誤魔化そうとする
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今、ついている嘘と言うのがあるんだろうか。間違いや勘違いで結果的に嘘になってしまう事もある。そういうのも含めたら、嘘はついていないと言えない気もする。でも、多分、今はそれほど大きな嘘はついていないと思う。多分、そう思う。
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