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記憶喪失と言われる夢
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「あなたは記憶喪失です」
目の前に現れた白衣の男に言われた。
「僕がですが?」
そう言われても心当りが無い。あ、でも、記憶喪失だからそうなのかと納得する。でも、
「名前とか憶えていますよ」
と言う。
「では、お名前は?」
「羽田篤郎です」
すんなりと出てくる。
「やはり、重症ですね」
白衣の男は残念そうに首を振った。間違えているのだろうか、そう言われると自信が無い。やっぱり、記憶喪失なんだろうか。
「生年月日は?」
思い出した日付を言う。
「本当に?」
そう聞き返されると自信が無い。
「そうだと思うんですが…」
「職業は?」
「学生です。大学生…」
答えるけど、疑われているような視線で小さな声になってしまう。
「ふーん。そうですか。何か、覚えている事は?」
「覚えている事ですか?」
「そう、ここに来るまでの間に何があったのか、覚えていませんか?」
全然記憶が無い。突然、ここに来たのだ。何かあったのだろうか。白衣の男がいるという事は、病院だろうか。だったら、事故に遭ったとか、病気で倒れたとかだろうか、でも心当りが無い。しかも、体に異変は感じられなかった。
「そうですか。それは重症ですね。うーん」
白衣の男は考え込んでしまう。
「僕は大丈夫なんでしょうか」
「うーん」
しばらく考えた後、白衣の男が言う。
「大丈夫です。私に任せて下さい」
安心させるように言っているんだろうけど、全く安心できない気がした。
「何か、きっかけがあれば、思い出しますよ」
そして、何枚かの写真を見せてきた。
「これが誰か分かりますか?」
見慣れた顔だ。両親や親戚、そして、友達の顔が並んでいた。
「じゃあ、一枚ずつ名前を言ってください」
一枚一枚、浮かんだ名前を答える。つっかえる事もなく、スラスラと浮かぶし、答える事が出来た。唯一分からなかったのが、バイト先の社長の名前だ。下の名前は当然だけど、苗字も怪しかった。普段、社長としか呼んでいないし、周りで名前を呼ぶ人もいないので、出て来なかった。
何となくは知っている。最初に紹介されたからだ。でも、難しい苗字で、漢字も読み方も複雑だったという記憶だけしか残っていない。そういうのだと、逆にインパクトがあって覚えていそうなんだけど、社長の名前だと思ったからなのか、記憶には残らなかったようだ。
でも、そこでは白衣の男は反応を示さなかった。
そして、最後に五枚の写真を見せられる。いつものメンバーと言う感じだ。
「小浜充、沢島岬、三ヶ嶋徹、加山美加、赤岡みどり…」
並べられた順番に言う。言えてホッとする。と、同時に
「本当に?」
と言われてドキッとする。そこで目が覚めた。
目の前に現れた白衣の男に言われた。
「僕がですが?」
そう言われても心当りが無い。あ、でも、記憶喪失だからそうなのかと納得する。でも、
「名前とか憶えていますよ」
と言う。
「では、お名前は?」
「羽田篤郎です」
すんなりと出てくる。
「やはり、重症ですね」
白衣の男は残念そうに首を振った。間違えているのだろうか、そう言われると自信が無い。やっぱり、記憶喪失なんだろうか。
「生年月日は?」
思い出した日付を言う。
「本当に?」
そう聞き返されると自信が無い。
「そうだと思うんですが…」
「職業は?」
「学生です。大学生…」
答えるけど、疑われているような視線で小さな声になってしまう。
「ふーん。そうですか。何か、覚えている事は?」
「覚えている事ですか?」
「そう、ここに来るまでの間に何があったのか、覚えていませんか?」
全然記憶が無い。突然、ここに来たのだ。何かあったのだろうか。白衣の男がいるという事は、病院だろうか。だったら、事故に遭ったとか、病気で倒れたとかだろうか、でも心当りが無い。しかも、体に異変は感じられなかった。
「そうですか。それは重症ですね。うーん」
白衣の男は考え込んでしまう。
「僕は大丈夫なんでしょうか」
「うーん」
しばらく考えた後、白衣の男が言う。
「大丈夫です。私に任せて下さい」
安心させるように言っているんだろうけど、全く安心できない気がした。
「何か、きっかけがあれば、思い出しますよ」
そして、何枚かの写真を見せてきた。
「これが誰か分かりますか?」
見慣れた顔だ。両親や親戚、そして、友達の顔が並んでいた。
「じゃあ、一枚ずつ名前を言ってください」
一枚一枚、浮かんだ名前を答える。つっかえる事もなく、スラスラと浮かぶし、答える事が出来た。唯一分からなかったのが、バイト先の社長の名前だ。下の名前は当然だけど、苗字も怪しかった。普段、社長としか呼んでいないし、周りで名前を呼ぶ人もいないので、出て来なかった。
何となくは知っている。最初に紹介されたからだ。でも、難しい苗字で、漢字も読み方も複雑だったという記憶だけしか残っていない。そういうのだと、逆にインパクトがあって覚えていそうなんだけど、社長の名前だと思ったからなのか、記憶には残らなかったようだ。
でも、そこでは白衣の男は反応を示さなかった。
そして、最後に五枚の写真を見せられる。いつものメンバーと言う感じだ。
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