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何かを思い出す夢
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「それでワタシに聞きたい事があるんでしょ?」
そう髪の長い女の子が言った。その通りだと思う。
「…」
でも、なんて言ったら良いんだろう。言葉が出て来ない。
「?」
そんな僕の様子を見ていると、女の子は首を傾げて、僕の方をじっと見ている。僕が何を聞きたいのかまでは分かっていないのだろうか。
「僕が何を聞きたいのかは分かってるよね?」
なので、そんな風に聞いてみた。
「キミが何を聞きたいのか?そうだなー」
女の子は楽しそうに考える。
「うーん。ワタシの事?」
それはそうだろう。僕は頷く。
「本当に?」
もう一度頷く。
「本当に本当?」
何度も頷く。
「本当かなー」
疑わしそうに聞く。ちょっとしつこいだろう。
「本当だってば」
思わず大きな声になる。女の子はちょっとびっくりしたように止まってしまう。
「そんなに大きな声を出さなくても」
少しふてくされたようにも感じる。慌てて
「ごめん」
と言ってしまう。少し気まずい空気が流れる。
「それで何?」
女の子がそう聞いてくる。さっきまではと違って、ちょっと抑えた感じだ。それで何か聞きづらくなってしまった。
「本当は聞きたい事なんてないんじゃないの?」
女の子が言う。そんな事は無いと言いかけて、何を僕は聞きたいんだろうと思った。女の子の事だ。でも、女の子の何が知りたいんだろう。名前、赤岡さんとの関係、僕との関係。たくさんありそうで、そうでも無い気がする。
「いや、ある…」
自信なさげに僕は答えた。うん、まずは名前を聞けば間違いない。
「ええっと、君の名前は?」
ようやく、それを言葉に出来た。
「えっ」
女の子は驚く。
「ワタシの名前。知らなかったの?嘘でしょ?冗談でしょ?」
僕が恐れていた展開だ。
「いや、あの、そうじゃなくて」
女の子の言う通りなんだけど、僕はそう言って誤魔化そうとした。
「あー、もう。信じられない。だからなんだ」
女の子の怒りは収まらないようだ。
「ごめん」
いろいろ言い訳したかったけど、これ以上は無理だと思って僕は謝る。
「…何で謝るの?」
女の子が言う。
「君の名前が分からなかったから」
「それだけ?」
女の子の言い方が冷たく感じる。何を言われているんだろう。こっちはせっかく謝っているのに。
「本当に悪いと思っている?」
それを言われると、はっきりと返事できない。何で聞いても無い、名前を僕が知っていると思っているのか、逆に聞いてみたくなる。でも、それを言うと、更に怒られそうだとも思う。
「理由が分からなくて謝られてもね」
何だか、最近、似たような事を言われた気がする。何で僕は謝ってしまったんだろう。
そう髪の長い女の子が言った。その通りだと思う。
「…」
でも、なんて言ったら良いんだろう。言葉が出て来ない。
「?」
そんな僕の様子を見ていると、女の子は首を傾げて、僕の方をじっと見ている。僕が何を聞きたいのかまでは分かっていないのだろうか。
「僕が何を聞きたいのかは分かってるよね?」
なので、そんな風に聞いてみた。
「キミが何を聞きたいのか?そうだなー」
女の子は楽しそうに考える。
「うーん。ワタシの事?」
それはそうだろう。僕は頷く。
「本当に?」
もう一度頷く。
「本当に本当?」
何度も頷く。
「本当かなー」
疑わしそうに聞く。ちょっとしつこいだろう。
「本当だってば」
思わず大きな声になる。女の子はちょっとびっくりしたように止まってしまう。
「そんなに大きな声を出さなくても」
少しふてくされたようにも感じる。慌てて
「ごめん」
と言ってしまう。少し気まずい空気が流れる。
「それで何?」
女の子がそう聞いてくる。さっきまではと違って、ちょっと抑えた感じだ。それで何か聞きづらくなってしまった。
「本当は聞きたい事なんてないんじゃないの?」
女の子が言う。そんな事は無いと言いかけて、何を僕は聞きたいんだろうと思った。女の子の事だ。でも、女の子の何が知りたいんだろう。名前、赤岡さんとの関係、僕との関係。たくさんありそうで、そうでも無い気がする。
「いや、ある…」
自信なさげに僕は答えた。うん、まずは名前を聞けば間違いない。
「ええっと、君の名前は?」
ようやく、それを言葉に出来た。
「えっ」
女の子は驚く。
「ワタシの名前。知らなかったの?嘘でしょ?冗談でしょ?」
僕が恐れていた展開だ。
「いや、あの、そうじゃなくて」
女の子の言う通りなんだけど、僕はそう言って誤魔化そうとした。
「あー、もう。信じられない。だからなんだ」
女の子の怒りは収まらないようだ。
「ごめん」
いろいろ言い訳したかったけど、これ以上は無理だと思って僕は謝る。
「…何で謝るの?」
女の子が言う。
「君の名前が分からなかったから」
「それだけ?」
女の子の言い方が冷たく感じる。何を言われているんだろう。こっちはせっかく謝っているのに。
「本当に悪いと思っている?」
それを言われると、はっきりと返事できない。何で聞いても無い、名前を僕が知っていると思っているのか、逆に聞いてみたくなる。でも、それを言うと、更に怒られそうだとも思う。
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何だか、最近、似たような事を言われた気がする。何で僕は謝ってしまったんだろう。
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