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遅刻する夢
7.
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他人の夢の話ほど聞いていて、つまらない物はない。以前、テレビか何かで誰かが言っていたのを思い出していた。その時、僕はその話の中身次第だろうと思っていた。事実、今、僕は図書室で、三ヶ嶋君の夢の話を聞いていて面白かった。もちろん、三ヶ嶋君が話すのが上手いというのもあると思うけど、結局は話の中身が面白いという事だろうと思った。
三ヶ嶋君が見た夢の話とはだいたいこんな感じだ。
夢の中で三ヶ嶋君はファンタジーの世界の勇者だったらしい。お姫様に頼まれて、悪の大魔王に挑むという話だった。美人のお姫様に頼まれたのでウキウキした気分で大魔王に挑む三ヶ嶋君。剣と魔法で大魔王を追い詰めて、とどめを刺そうとしたら、大魔王が正体を現す。それは、三ヶ嶋君の母親だったらしい。
一瞬ひるむ三ヶ嶋君。それに対して、説教を始める三ヶ嶋君の母親。勉強しなさい、女の子にうつつを抜かしているんじゃないと言われる。必死にそれに抗おうとする三ヶ嶋君。そこにお姫様が現れて、だらしないと言われて、愛想を尽かされてしまう。くじけそうになる三ヶ嶋君。でも、ここで負けてはならないと踏ん張る。
と、そこに大魔王の助っ人が現れる。それがさっきの教授で、一言、
「課題は?」
と聞かれたところで目を覚ましたというお話だった。
「どんだけ、母親と課題のプレッシャーを感じてるんだよ」
と充が可笑しそうに言った。それに対して、三ヶ嶋君が言った言葉が印象的だった。
「課題はやらないといけないなと思っていたから、分かるんだけど、母親が出てきたのは良く分からん。別に勉強しろと、これまでそんなに強く言われた事も無かったし、だから、余計に変な夢なんだよ」
「あれだね、今まで表面に出てなかった深層心理が出てきたんだね。分析してみたら、本心が分かるってやつだね」
偉そうに充が続けた。
「どうなんだろ。それにあのお姫様がね」
「何々、気になるあの子が出てきたの?」
「なんかどこかで見た事ある気がするんだけど、思い出せないんだよ」
「おー、それも潜在意識ってやつだ。きっと、気になっているから現れるんだ」
「それならそれで誰か分かりそうなものだけど、そうじゃないのが気になるんだよな」
課題そっちのけで盛り上がる、充と三ヶ嶋君。そんな二人の様子を見て、僕も自分の中に出てきた女の子の事が少し気になっていた。あの子は誰だったんだろう。また、会えるのか、そんな事を考える。
僕がちょっと別の事を考えているのに気が付いた充が言う。
「おい、羽田が呆れてるぞ。課題をやれって顔してる」
そんな事はないと言いかけて、僕は止める。課題はやらなければならないし、僕は自身の夢の事をその時、語ろうとは思わなかったからだ。
三ヶ嶋君が見た夢の話とはだいたいこんな感じだ。
夢の中で三ヶ嶋君はファンタジーの世界の勇者だったらしい。お姫様に頼まれて、悪の大魔王に挑むという話だった。美人のお姫様に頼まれたのでウキウキした気分で大魔王に挑む三ヶ嶋君。剣と魔法で大魔王を追い詰めて、とどめを刺そうとしたら、大魔王が正体を現す。それは、三ヶ嶋君の母親だったらしい。
一瞬ひるむ三ヶ嶋君。それに対して、説教を始める三ヶ嶋君の母親。勉強しなさい、女の子にうつつを抜かしているんじゃないと言われる。必死にそれに抗おうとする三ヶ嶋君。そこにお姫様が現れて、だらしないと言われて、愛想を尽かされてしまう。くじけそうになる三ヶ嶋君。でも、ここで負けてはならないと踏ん張る。
と、そこに大魔王の助っ人が現れる。それがさっきの教授で、一言、
「課題は?」
と聞かれたところで目を覚ましたというお話だった。
「どんだけ、母親と課題のプレッシャーを感じてるんだよ」
と充が可笑しそうに言った。それに対して、三ヶ嶋君が言った言葉が印象的だった。
「課題はやらないといけないなと思っていたから、分かるんだけど、母親が出てきたのは良く分からん。別に勉強しろと、これまでそんなに強く言われた事も無かったし、だから、余計に変な夢なんだよ」
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偉そうに充が続けた。
「どうなんだろ。それにあのお姫様がね」
「何々、気になるあの子が出てきたの?」
「なんかどこかで見た事ある気がするんだけど、思い出せないんだよ」
「おー、それも潜在意識ってやつだ。きっと、気になっているから現れるんだ」
「それならそれで誰か分かりそうなものだけど、そうじゃないのが気になるんだよな」
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