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また遅刻する夢
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二度寝をするとろくなことにはならないというのは多くの人が経験する事だと思う。そして、その時には反省する。でも、またやってしまうというのも多くの人が経験する事だと思う。しかも、後5分、10分と言うのが絶妙な時間で、それだけだったら大丈夫となぜか納得してしまう自分がいる。単に眠気に勝てないという事だけのような気がするが、とにかく後悔する事が多い。
その時、見ていた夢はただ電車に乗っているだけだった。何となく眠いなと思っているだけで、本当に、ただ、ぼーっとしていた。気持ちとしては急がないといけないという焦りの気持ちはあった。ただ、何で焦っているのかは良く分からない。過ぎていく風景を見て、ふと、今何時だろうと思う。そして、起きなきゃないけない時間かもと思う。電車に乗っていて、何で起きなきゃいけないんだと思うんだろうと思っていたら、これは夢なのではと思い当たった。だとすると今、何時だろう。時計が無い事に焦っていたら、目を覚ました。
そして、慌てて時計を見る。すでに30分以上経っていた、あの夢で30分も経っているはずはないという訳の分からない理論を組み立てるが、現実に時計はその時間を指していた。慌てて起き上がる。急がないと遅刻と言う時間だった。
こういう時の僕の行動は素早い。普段はのんびりしていると言われる事もあるのだが、5分も経たずに家を出ていた。それでもギリギリの時間だった。とりあえず、駅まで走る事にした。寝起きで運動不足の大学生には走るのはとても辛い。でも、遅刻したらまずいと言う恐怖に比べればマシだった。
筋肉痛になりそう、足がつりそうなんて事を思いながら必死に走った。どうにかこうにか電車に乗って一息ついた。これで乗り換えが上手くいけばと思う。この時間なら空いているから走っても大丈夫なはずだった。乗り換えがしやすい位置にあるドアに移動する。
ドアが開いた瞬間、ダッシュで走った。そして、タイミングよく来た電車に飛び乗る。息を切らしながらホッとした。後は駅から大学まで必死に走れば、どうにか間に合うと思った。途端に汗が噴き出してくる。もう六月なので、これだけ一生懸命走れば汗も出てくるという感じだった。
ちょっと落ち着いて来たら、寝癖とか大丈夫とか気になってきた。鏡なんてのを見る余裕も無かった。一応、格好としては大丈夫そうだ。髪の毛が多少ぐちゃぐちゃな気がするが、まあ、これぐらいなら良いだろうと思う。周囲も気になった。いきなり電車に飛び込んできた僕を見て、怪訝な表情を浮かべている人もいたが、僕と視線が合いそうになるとすぐに視線をそらした。
ドアがしまり電車が走り出す。ふーっと息を吐いてドアに寄りかかった僕の視線に入ったのは、少しおかしそうに口元を抑えている赤岡さんの姿だった。
その時、見ていた夢はただ電車に乗っているだけだった。何となく眠いなと思っているだけで、本当に、ただ、ぼーっとしていた。気持ちとしては急がないといけないという焦りの気持ちはあった。ただ、何で焦っているのかは良く分からない。過ぎていく風景を見て、ふと、今何時だろうと思う。そして、起きなきゃないけない時間かもと思う。電車に乗っていて、何で起きなきゃいけないんだと思うんだろうと思っていたら、これは夢なのではと思い当たった。だとすると今、何時だろう。時計が無い事に焦っていたら、目を覚ました。
そして、慌てて時計を見る。すでに30分以上経っていた、あの夢で30分も経っているはずはないという訳の分からない理論を組み立てるが、現実に時計はその時間を指していた。慌てて起き上がる。急がないと遅刻と言う時間だった。
こういう時の僕の行動は素早い。普段はのんびりしていると言われる事もあるのだが、5分も経たずに家を出ていた。それでもギリギリの時間だった。とりあえず、駅まで走る事にした。寝起きで運動不足の大学生には走るのはとても辛い。でも、遅刻したらまずいと言う恐怖に比べればマシだった。
筋肉痛になりそう、足がつりそうなんて事を思いながら必死に走った。どうにかこうにか電車に乗って一息ついた。これで乗り換えが上手くいけばと思う。この時間なら空いているから走っても大丈夫なはずだった。乗り換えがしやすい位置にあるドアに移動する。
ドアが開いた瞬間、ダッシュで走った。そして、タイミングよく来た電車に飛び乗る。息を切らしながらホッとした。後は駅から大学まで必死に走れば、どうにか間に合うと思った。途端に汗が噴き出してくる。もう六月なので、これだけ一生懸命走れば汗も出てくるという感じだった。
ちょっと落ち着いて来たら、寝癖とか大丈夫とか気になってきた。鏡なんてのを見る余裕も無かった。一応、格好としては大丈夫そうだ。髪の毛が多少ぐちゃぐちゃな気がするが、まあ、これぐらいなら良いだろうと思う。周囲も気になった。いきなり電車に飛び込んできた僕を見て、怪訝な表情を浮かべている人もいたが、僕と視線が合いそうになるとすぐに視線をそらした。
ドアがしまり電車が走り出す。ふーっと息を吐いてドアに寄りかかった僕の視線に入ったのは、少しおかしそうに口元を抑えている赤岡さんの姿だった。
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