夢ノコリ

ヒーローになる夢

２．

どういう夢なんだろうと思いながら、夢の日記帳に内容を書く。

ヒーローになる夢
着ぐるみのオオカミの怪人
人質になる赤岡さん
助けに来るもう一人のヒーロー三ヶ嶋君
三ヶ嶋君の活躍でオオカミ怪人を倒す
格好良く去る三ヶ嶋君
見送る赤岡さん

具体的な個人名を書くとちょっとドキッとしてしまう。この日記帳を誰かに見られたら恥ずかしいなと思ってしまう。今まで、あまり考えていなかったけど、しまうところとか考えた方が良いかもしれないと少しだけ思った。それにしてもどうしてそんな夢を見たのだろうか。きっと充とかに言わせると意識しているからだと言われそうだ。でも、意識しているとしたら何を意識しているのだろうか。僕が赤岡さんに好意を持っていて、それを三ヶ嶋君に奪われるのを恐れているのだろうか。はっきりとそうとも違うとも言いきれないのがもどかしかった。考えても仕方のない事と思いつつ、もやもやした気持ちだけが残った。こんな気持ちでデート、そう呼んで良いのか定かではないが、に行っても大丈夫なのかなと少し不安に思った。

その日の天気はうす曇りだった。天気予報を見ていたら、そろそろ梅雨入りしそうだと言っていた。一日こういう天気が続くみたいだった。お出かけ日和と言う感じでは無かったけど、室内の水族館だったら、あまり関係なさそうだった。そこまで考えていたのかなと思う。こういうデートに相応しい格好と言うのも良く分からず、結局は普段、大学に行くのとそう変わらない格好になる。一応、一番、気に入っている服装にはしてみた。

待ち合わせは水族館の最寄り駅でさすがに遅刻する事は出来ない。かと言って、あまり早すぎて張り切っていると思われるのも嫌だなと思う。電車の時間を再度確認した。

約束を決めた後、赤岡さんと連絡を取っていない。だから、詳しい事は良く分かっていなかった。全部、任せておいて良いのかなと思いつつ、いろいろと調べておいた方が良いのかなと思ったりした。でも、何を調べておけばいいのか分からず、とりあえず、行く予定の水族館の情報だけはチェックしておいた。見どころはアシカのショーとクラゲらしい。自分なりにプランとかも考えてみた。

時計を見ると、まだちょっと早い時間だったが、これ以上、もやもやした気分でいるのも嫌なので、家を出る事にした。どういう一日になるのか、ちょっと心配になる気持ちがありながら、何だかんだで楽しみにしている自分がそこにいた。