夢ノコリ

hachijam

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踏切を待つ夢

3.

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倉庫管理と言うのが僕がしているバイトだ。小さな運送会社の倉庫で荷物の仕分けや整理、在庫管理などをやっている。

仕事は忙しい時とそうでない時がはっきりと分かれていて、忙しい時には本当に忙しく無駄話も一切できないほどテキパキと働く必要があり、反対に暇な時は本当に暇でただのんびりとお茶を飲みながら世間話をしているだけで終わってしまう事もある。

時給はそれほど高くはない。でも、特別に安いという訳でもなかった。忙しい時が続くともっと時給を上げて欲しいと思う事もあるが、暇な時は本当にこれでお金をもらってもいいのだろうかと思う事もあるので、平均すればそんなものだろうという気もする。同じようなバイトだとずっと忙しくて時給が高い所もあるけど、それはきつそうだし、バイトをする理由がほどほどの遊興費を稼ぎたいと言う軽いものだった僕にとってはこのぐらいで丁度良いと思っていた。

その日は、そのバイトには珍しく、ほどほどに忙しかった。午前中に予定外の荷物が来て、忙しかったらしく、その残りが午後にも影響していた。ただ、日曜の午後は割と暇な事が多く、その日も、そんな感じだったので、午前の残りの作業が片付けば落ち着きそうだった。ちゃんと時給分、働くぞと言う気分になる。

小さな運送会社なので、人手は多くはない。ドライバーは片手で数えられるほどだったし、倉庫管理のバイトは基本的には2人か3人でやる。忙しい時が続きそうな時には、応援として社員の家族がバイトでやってくるみたいな感じで急場をしのぐという感じだ。今日はリーダーとも呼ばれている下山さんと一緒だった。

下山さんは僕より7歳年上で、いわゆるフリーターらしい。らしいというのは、下山さん本人はフリーターと言っているが、実質、正社員のようにこの運送会社で働いているからだ。週2日の休みで、それ以外は決められた時間に来て、ここで働いている。契約の形は良く分からないけど、それは正社員と同じなのではと僕は思ってしまう。正社員になればいいのにと社長や他のドライバーに言われているみたいだったが、それはかたくなに拒んでいるみたいだ。

下山さんは淡々と仕事をするタイプで、仕事がある時には、必要な事以外は一切無駄話をしない。2時間ぐらい黙々と働いて、ようやくひと段落してホッとする。丁度、休憩にも丁度良い時間だった。午後は案の定、特別に忙しくなりそうな気配は無かった。このまま、落ち着きそうだなんて事を話しながら、休憩時間を過ごした。
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