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踏切を待つ夢
4.
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「そう言えば、第一倉庫の話、聞いてる?」
下山さんが聞いてきた。
「いや、特に聞いてませんけど」
僕は少し考えて答えた。
「前、建て替えの話あったの覚えていない?」
「そう言えば、そんな話ありましたね。でも、その話って無くなったみたいな事、言ってませんでしたっけ?」
言われて少し思い出した。
「建て直すかどうかはまだ分からないみたいだけど、中身の確認だけはしておくかって話が出てるみたい」
普段、僕が働いているのは第二倉庫で、第一倉庫は別にある倉庫だ。今ではほとんど使われる事はなく、僕も数えるほどしか中に入った事が無い。会社の創業時に使われていた倉庫で大きさもそれほど広くはない。会社の経営が順調になり始めたのと同時に第二倉庫が作られ、それからは第二倉庫がメインとなっている。
第一倉庫は仕事では使われる事が無くなり、代わりに保管庫となっていた。保管庫と言っても実質的にはいらない物をしまっておくだけで、先代の社長の趣味で集めた物が大量にあるなんて言われていたが、詳細までは僕は知らなかった。この第一倉庫、壊す壊さないの話題が定期的に出るらしい。僕も一度聞いている。大概、景気が良い時に出るみたいで、建て替えて事業を拡大みたいな話になるそうだ。でも、そこまで良い状態が続かず、結局、うやむやになるのだという。
「そうなんですか」
僕は薄暗い第一倉庫の荷物がたくさん詰まった状態を思い出した。
「そうそう、だから暇な時に、一度、見ておけだって」
「何見るんですかね?」
「良く分からんけど、この後、時間ありそうだし、とりあえず、どんな感じだか様子見に行こうかなと思ってるんだけど、どうする?」
何故だか、分からないけど、下山さんはたまにこうやって、どうするか尋ねてくる事がある。仕事だったら、一言、やれとか、やるぞと言えばいいのでは思うのだが、最初に決まっている事以外の事だとその傾向は強くなる気がする。
「あっ、はい。一緒に行きます」
僕はそう答える事を期待されているだろうなと思いながら答えた。
「じゃあ、休憩終わったら行こう」
下山さんは安心したようにそう言うと立ち上がった。どうやら、休憩は終わりらしい。僕も慌てて立ち上がると、下山さんの後についていった。暇な残りの時間を過ごすよりは、何が出てくるのか分からない、第一倉庫の中を調べる方が面白いかもしれないと思った。何か未知のお宝とか出て来ないかなとちょっと期待している自分もいた。
下山さんが聞いてきた。
「いや、特に聞いてませんけど」
僕は少し考えて答えた。
「前、建て替えの話あったの覚えていない?」
「そう言えば、そんな話ありましたね。でも、その話って無くなったみたいな事、言ってませんでしたっけ?」
言われて少し思い出した。
「建て直すかどうかはまだ分からないみたいだけど、中身の確認だけはしておくかって話が出てるみたい」
普段、僕が働いているのは第二倉庫で、第一倉庫は別にある倉庫だ。今ではほとんど使われる事はなく、僕も数えるほどしか中に入った事が無い。会社の創業時に使われていた倉庫で大きさもそれほど広くはない。会社の経営が順調になり始めたのと同時に第二倉庫が作られ、それからは第二倉庫がメインとなっている。
第一倉庫は仕事では使われる事が無くなり、代わりに保管庫となっていた。保管庫と言っても実質的にはいらない物をしまっておくだけで、先代の社長の趣味で集めた物が大量にあるなんて言われていたが、詳細までは僕は知らなかった。この第一倉庫、壊す壊さないの話題が定期的に出るらしい。僕も一度聞いている。大概、景気が良い時に出るみたいで、建て替えて事業を拡大みたいな話になるそうだ。でも、そこまで良い状態が続かず、結局、うやむやになるのだという。
「そうなんですか」
僕は薄暗い第一倉庫の荷物がたくさん詰まった状態を思い出した。
「そうそう、だから暇な時に、一度、見ておけだって」
「何見るんですかね?」
「良く分からんけど、この後、時間ありそうだし、とりあえず、どんな感じだか様子見に行こうかなと思ってるんだけど、どうする?」
何故だか、分からないけど、下山さんはたまにこうやって、どうするか尋ねてくる事がある。仕事だったら、一言、やれとか、やるぞと言えばいいのでは思うのだが、最初に決まっている事以外の事だとその傾向は強くなる気がする。
「あっ、はい。一緒に行きます」
僕はそう答える事を期待されているだろうなと思いながら答えた。
「じゃあ、休憩終わったら行こう」
下山さんは安心したようにそう言うと立ち上がった。どうやら、休憩は終わりらしい。僕も慌てて立ち上がると、下山さんの後についていった。暇な残りの時間を過ごすよりは、何が出てくるのか分からない、第一倉庫の中を調べる方が面白いかもしれないと思った。何か未知のお宝とか出て来ないかなとちょっと期待している自分もいた。
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