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踏切を待つ夢
6.
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その小さな木箱はいかにも手作りというような彫り物がされていた。しかも、職人さんが手掛けたというほど立派な物では無く、小学生の子供が学校で作ったみたいな手作り感が溢れていた。先代の社長が保管していたとしたら、今の社長の子供時代の物だろうか。そんな事を思った。
気になって、思わず手に取ってしまう。降り積もった埃を少し払ってみた。自分も昔、こんなのを学校の授業で作った事があるなと思った。それは確かオルゴールだった気がする。開けると音が流れる物だった。それと同じかもしれない。そんな事を思って蓋を開けてみた。期待していた音は流れず、その箱はただの手作りの箱だった。それでも僕は驚かずにはいられなかった。そこに小さな金色のカギが入っていたからだ。
「それはそこにあるから、見ればきっと分かるから」
すぐに夢の中で女の子が言っていた事を思い出した。このカギがそのカギなんだろうか。
「何?良い物でも見つかった?」
下山さんが僕の驚いた顔を見て言う。
「いや、何か入っているかなと思ってみたら、カギが入っていたんで、何のカギかなと思って」
言い訳になっているのかならないのか、分からないような答え方をする。
「何だろうな。何かお宝に繋がるのか?」
下山さんは箱を覗くと、そのカギを手に取った。箱から取り出して、明かりの下に出すと更にはっきりと金色のカギだと分かった。
「カギが無いと困りそうだけどな。このカギで開きそうな物とか無いの?」
と、何かカギが付いている物が無いのか、探し始めた。僕もひょっとしたらあるかもしれないと思って、ちょっと探してみた。でも、それらしいものは何も見つからなかった。結局、そのカギが何なのかは分からず、箱の中に戻し、元のように棚に置いた。
「まあ、とりあえずはこんな感じかな」
ざっくりと倉庫の中を確認して、下山さんが言った。気が付いたら、バイトの終了時刻に近づいていた。
とりあえず、入り口にある物を片づけないとどうにもならない。入口にある物は無駄な物がほとんどなので、そのまま廃棄しても問題が無いと思う。中にある物は捨てていいかどうかが分からないと片づけようがない。それをひとつひとつやろうとすると時間が掛かりそう。それが、この日、下山さんと僕が第一倉庫を見て出した結論だった。
その結論とは別に僕は金色のカギの事が気になっていた。あの箱と金色のカギは捨てられてしまうのだろうか。あの金色のカギはどこのカギなんだろうか。そして、あの金色のカギは僕の夢の中で出てきた女の子が探していたカギだったのだろうか。
その答えはどこにあるのだろうか。
気になって、思わず手に取ってしまう。降り積もった埃を少し払ってみた。自分も昔、こんなのを学校の授業で作った事があるなと思った。それは確かオルゴールだった気がする。開けると音が流れる物だった。それと同じかもしれない。そんな事を思って蓋を開けてみた。期待していた音は流れず、その箱はただの手作りの箱だった。それでも僕は驚かずにはいられなかった。そこに小さな金色のカギが入っていたからだ。
「それはそこにあるから、見ればきっと分かるから」
すぐに夢の中で女の子が言っていた事を思い出した。このカギがそのカギなんだろうか。
「何?良い物でも見つかった?」
下山さんが僕の驚いた顔を見て言う。
「いや、何か入っているかなと思ってみたら、カギが入っていたんで、何のカギかなと思って」
言い訳になっているのかならないのか、分からないような答え方をする。
「何だろうな。何かお宝に繋がるのか?」
下山さんは箱を覗くと、そのカギを手に取った。箱から取り出して、明かりの下に出すと更にはっきりと金色のカギだと分かった。
「カギが無いと困りそうだけどな。このカギで開きそうな物とか無いの?」
と、何かカギが付いている物が無いのか、探し始めた。僕もひょっとしたらあるかもしれないと思って、ちょっと探してみた。でも、それらしいものは何も見つからなかった。結局、そのカギが何なのかは分からず、箱の中に戻し、元のように棚に置いた。
「まあ、とりあえずはこんな感じかな」
ざっくりと倉庫の中を確認して、下山さんが言った。気が付いたら、バイトの終了時刻に近づいていた。
とりあえず、入り口にある物を片づけないとどうにもならない。入口にある物は無駄な物がほとんどなので、そのまま廃棄しても問題が無いと思う。中にある物は捨てていいかどうかが分からないと片づけようがない。それをひとつひとつやろうとすると時間が掛かりそう。それが、この日、下山さんと僕が第一倉庫を見て出した結論だった。
その結論とは別に僕は金色のカギの事が気になっていた。あの箱と金色のカギは捨てられてしまうのだろうか。あの金色のカギはどこのカギなんだろうか。そして、あの金色のカギは僕の夢の中で出てきた女の子が探していたカギだったのだろうか。
その答えはどこにあるのだろうか。
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