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中学時代の夢
3.
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確かにそうかもしれない。割り切れない数字だから、割り切らず、余りが出ても仕方ないのかなと思う。でも、それだと僕が思い描いている模様は刻めない事になる。それを諦めるのは悔しい気がしていた。僕はどうしていいのか分からずに、考え込んでしまった。
他の人はどうしているんだろうと思って見てみたら、それぞれ、下書きは終えているみたいで、掘り始めようとしていた。充はいち早く掘り始めていて、一気に終わってしまうのではと言う感じだった。
赤岡さんは何を掘るのだろうかと思った。さっきまで考えている様子だった。僕はさっき言われた事が気になり、どんなものを書いているのか気になっていた。いちゃもんを付けてやろうという気持ちが少しあったのかもしれない。
僕がのぞき込もうとすると、それに気が付いて途端に隠そうとする。思わずニヤッとしてしまう。無理に見ようとすると怒られそうだったので、そ知らぬふりをしながらチラチラと伺った。
僕の思惑に気が付いたのか、このままでは作業が出来ないと思ったのか、観念するように、しぶしぶと隠すのを止める赤岡さん。僕はちょっと勝ち誇ったような気分で、そこに何が描かれているのかを見た。
そこに描かれていたのは、4本の鍵だった。アンティークな古めの鍵と言う感じだった。頭の部分は、トランプのマーク、スペード、ダイヤ、クラブ、ハートがデザインされていた。リアルに描かれてひとつひとつがその場にあるようだった。ただ、そのリアルさよりも、それがそのオルゴールにピッタリと当てはまっている感じがして驚いてしまった。何の答えなのかは分からなかったけど、これが正解だと思ってしまった。すでに何かを言ってやろうという気分は無くなってしまった。
「その鍵は何の鍵なの?」
僕が無意識で言ったのはそんな事だった。
「私の心の扉を開ける鍵」
「えっ」
その答えを聞いて、ドキッとしてしまった。
「なんて、冗談」
赤岡さんはいたずらっぽく笑っていた。僕はまだちょっとだけドキドキしていた。
「たぶん、何でもないよ。ただ、思いついただけだから」
それはきっと本当の事だと思うのだけど、それでも僕はそこに何か意味があるのではと思ってしまった。
チャイムの音が鳴り、休み時間となった。
僕はひとり、まだ何を掘ったら良いのか決まらずにいた。相変わらず、計算できない数字に悩まされていた。
「考え過ぎなんだよ、いつも」
赤岡さんは、もう一度、そう言うと席を立ちあがった。
他の人はどうしているんだろうと思って見てみたら、それぞれ、下書きは終えているみたいで、掘り始めようとしていた。充はいち早く掘り始めていて、一気に終わってしまうのではと言う感じだった。
赤岡さんは何を掘るのだろうかと思った。さっきまで考えている様子だった。僕はさっき言われた事が気になり、どんなものを書いているのか気になっていた。いちゃもんを付けてやろうという気持ちが少しあったのかもしれない。
僕がのぞき込もうとすると、それに気が付いて途端に隠そうとする。思わずニヤッとしてしまう。無理に見ようとすると怒られそうだったので、そ知らぬふりをしながらチラチラと伺った。
僕の思惑に気が付いたのか、このままでは作業が出来ないと思ったのか、観念するように、しぶしぶと隠すのを止める赤岡さん。僕はちょっと勝ち誇ったような気分で、そこに何が描かれているのかを見た。
そこに描かれていたのは、4本の鍵だった。アンティークな古めの鍵と言う感じだった。頭の部分は、トランプのマーク、スペード、ダイヤ、クラブ、ハートがデザインされていた。リアルに描かれてひとつひとつがその場にあるようだった。ただ、そのリアルさよりも、それがそのオルゴールにピッタリと当てはまっている感じがして驚いてしまった。何の答えなのかは分からなかったけど、これが正解だと思ってしまった。すでに何かを言ってやろうという気分は無くなってしまった。
「その鍵は何の鍵なの?」
僕が無意識で言ったのはそんな事だった。
「私の心の扉を開ける鍵」
「えっ」
その答えを聞いて、ドキッとしてしまった。
「なんて、冗談」
赤岡さんはいたずらっぽく笑っていた。僕はまだちょっとだけドキドキしていた。
「たぶん、何でもないよ。ただ、思いついただけだから」
それはきっと本当の事だと思うのだけど、それでも僕はそこに何か意味があるのではと思ってしまった。
チャイムの音が鳴り、休み時間となった。
僕はひとり、まだ何を掘ったら良いのか決まらずにいた。相変わらず、計算できない数字に悩まされていた。
「考え過ぎなんだよ、いつも」
赤岡さんは、もう一度、そう言うと席を立ちあがった。
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