夢ノコリ

hachijam

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テスト前の夢

1.

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定期的に見る夢のひとつにテスト前の夢がある。テスト勉強をしないで、テストの前の日を迎えるという物だ。とても、分かりやすく不安な気持ちになる夢だ。いくつもパターンがあるけど、今回はテストがある事を知らなかったという設定のようだ、それを前日に指摘されて焦っていた。

ここで開き直って諦めてしまうというパターンもあるのだが、今回の夢ではそうでは無かった。なぜなら、そのテストで赤点を取ったら、卒業出来ないと言われたからだった。周囲の友達はテストの事を知っていたみたいで、万全の対策をしているみたいだった。その中で、僕だけがひとり何の準備もしていなくて途方に暮れていた。

ただ、まだテスト前日で、当日では無い。今から勉強すれば間に合うかもしれないと思っている。今からやるぞと張り切ってみたが、何を勉強して良いのかさっぱりと分からない。周りの人に聞いてみるが、そんなのみんな知っているから、分かるだろと言われてしまった。

とりあえず、机の中を探ってみたら、教科書とノートが出てきた。ちょっとだけ、ホッとしてページをめくったが、教科書もノートも真っ白で何も書かれていなかった。何を勉強したら良いのだろう。そんな事を思っていたら、そもそも、何を勉強していたんだろうと思ってしまった。何も習った記憶が無かった。ますます、焦っていく。大声で叫んで喚き散らしたら、ここから逃げられるか、そんな事を少しだけ思うけど、それをする勇気は無かった。そして、そんな途方に暮れていた僕の前に、その女の子がいた。髪の長い女の子だった。

「困ってる?」

「見れば分かるだろ?」

「分からないよ」

少しおかしそうに言った。確かにその通りだなと僕も思った。

「諦めたら?」

「諦める?」

「だって、もう無理でしょ?」

「でも、卒業できなくなる」

「別にそれでもいいじゃん」

「いや、困るよ」

「何で?」

「…何でだろ」

僕はそこで返事に困ってしまった。いろいろと理由を考えてみる。分かりやすい理由はいくつも浮かんだ。卒業できないとまた勉強しなければいけない。卒業できないと次に進めない。卒業できないと…。でも、それが本当の理由なのかも良く分からなかった。

「止めちゃえ、止めちゃえ」

無責任に女の子が言う。僕は苦笑いを浮かべる。

「だって、本当に大事だったら、ちゃんと勉強しているはずでしょ。そうじゃないってことは、そんなに大事では無いんじゃない?」

それはとても正論で、でも間違っている気もした。

「分かっていても出来ない事もあるんだよ」

もっともらしい反論をしてみた。
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