竜探しのお話

hachijam

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4章.竜の研究者

28.

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「あんたも手伝ったらどうだい」

リアリのその態度に頭に来たファムが言った。リアリは目を開くとファムの方をじっと見た。

「…。だから、…」

そう言いかけたファムに対して、黙れと言うように、口に指を立てる。

「…なんだよ。分かったよ。仕事しますよ」

呆れたように、ふてくされたようにファムが言う。

「黙れ、静かにしろ」

今度は、はっきりとリアリが言う。

「何を…」

と怒りを露わにしたファムだったが、すぐに異変に気が付いた。奥の通路から、何か唸り声のような、音が聞こえてきたのだ。しかも、複数の通路から、複数の音がしたのである。瞬時に戦闘態勢に入るファム。サントもその様子ですぐに異変に気が付いた。

「さて、仕事だよ」

リアリは座りながら少し面白そうに言った。

リラとラテアはホウミを守るように音の正体を探った。

「マナウルフ?」

銀色の姿をした魔物を見て、ホウミが言った。

「厄介だね」

ファムは槍を構えていた。マナウルフは魔力を持った狼の魔物である。魔力を持った鉱物を食べる事で、その力を得ていると言われている。魔力により、素早さが強化され、硬い体毛を持つ事でも知られている。しかも、それだけでなく、群れて行動するのが最も厄介な所だった。案の定、一匹ではなく、二匹、三匹と姿を現した。

マナウルフの体が銀色に輝く。

「来るよ」

並んだサントに向かって声を掛けるファム、その声を合図にしたように、マナウルフが三匹同時に襲い掛かって来た。

ファムは無理に攻撃を避けようとはせずに、槍の先をマナウルフに向けて、一直線に突いた。硬い体毛によって攻撃は弾かれそうになるが、そのまま、貫く。マナウルフは危険を察したのか、致命傷を避けるように体を翻す。ファムは逃がさないように槍を回転させると柄の部分で強く叩いた。うめき声を上げて倒れるマナウルフにそのまま一撃を加えて止めを刺す。

サントの所には二匹のマナウルフが向かっていた。サントの今の力量からすれば、マナウルフと対等に戦う事は可能だと思えたが、二匹同時となると難しいとファムは考え、すぐに加勢に向かった。

サントは二匹同時に襲ってきたマナウルフに対して、両方を同時に相手にする事を瞬時に諦めた。今の状況を考えれば、一番危険な状況に陥っているのは自分で、ファムならマナウルフ一匹ならてこずる事は無いだろう。リアリも全く問題なく対処するだろうし、ホウミが戦いと言う意味では一番慣れていないが、ラテア、リラが守っている事を考えれば、そこまで気にする必要はないと思った。そうであれば、二匹を無理に止める必要はなく、一匹だけに集中すれば良いと判断したのだ。

サントは最初に襲ってきた方の攻撃を受ける体勢を見せながら、直前で交わすと次に来る攻撃を予見して剣を振るった。二匹目のマナウルフは、その攻撃を予想しなかったようで、避ける事も無く直撃を喰らう。最初の一匹は反撃をしてくるのを予想していたように距離を取ったが、サントが相手をしなかった事で、意表を突かれたように立ち尽くした。

その瞬間を逃さず、ファムが加勢に来た。サントはファムが来るのを確認すると、自身で攻撃を加えたマナウルフに対して、追撃を加える。最初の攻撃で受けたダメージが大きかったためかマナウルフの動きは鈍く、サントは確実に止めを刺した。

ほぼ同時にファムが残りの一匹を倒す。
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