竜探しのお話

hachijam

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4章.竜の研究者

30.

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「さて、帰るよ」

まだ、緊張感が漂っている中、リアリがそう呟く。成り行きに呆然としていたホウミが戸惑っていると、

「早く準備しろ」

と厳しい声が飛んだ。すぐにホウミは我に返ったように、残りの作業をして、すぐに帰れる準備をした。

「あんたは…」

また怒りだしそうなファムを無視すると、準備が整ったのを見届けたリアリは、洞窟から脱出するための呪文を唱える。ファムの文句が言い終わる前にサントたちは、ロットフートの洞窟の入り口まで戻っていた。

「…」

ロットフートの洞窟の入り口に戻ったリアリは、何も言わず、何かを考えているように研究所へと戻っていった。

「何なんだあれは?」

ファムは怒るというよりも呆れるように言った。

「すいません」

ホウミが頭を下げるが、ホウミに頭を下げられても仕方ないと思う。

「でも、あれは何だったんですかね?」

ラテアが言う。

「まさか、また、あいつが仕掛けた事じゃないよな。まさか、あんたもグルなのか?」

ファムは疑うようにホウミを睨んだ。

「いいえ、私は知らないです。あんなの見た事も無いです」

釈然としない気持ちのまま、サントたちは研究所に取ってきた鉱石を運ぶと、バナの家へと戻った。

朝に見たよりも更にやつれていたバナに対して、ロットフートの洞窟であった事を説明する。

サントたちはリアリが何かを秘密していて自分たちを利用しているのではと考えていた。バナはそれを完全に否定する事は出来ないと言いながらも、そんな面倒な手順をリアリが踏むかについては疑問に思っていた。リアリだったら、もっと直接的に目的を言って実験を手伝うように言ったのではないかと考えているようだった。

そう言われてしまうと何も言えなくなってしまうサントたちだったが、洞窟で起こった事については腑に落ちていなかった。何を企んでいるのか、その不信感は募っていた。

「みなさんが洞窟に向かっている間、実験の中身を確認しました。

バナはそう疲れたように言った。

「これが成功すれば、確かに魔法生物が誕生するかもしれません」

興奮を隠しきれないようにバナは言う。

「それで危険性は?」

その様子に研究者と言うのはどうしようもないのかと呆れたようにファムが尋ねた。

「全くないとは言い切れません。でも、危険な状態になったら私が責任を持って止めます。それが僕の役割です」

バナは決意したように言う。その決意にサントも協力を約束する。ただ、自分たちが知らない何かがあるのではという疑念が無くなる事は無かった。
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