竜探しのお話

hachijam

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6章.隠された都市

16.

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「それで準備はどうなった?」

豪華な椅子に座っている男、ファクネティ・トオは尋ねた。

「七、八割かと」

横に立っている参謀のネカスイマが答える。

「そうか。なら、今晩実行だな」

「よろしいのですか。万端と言える状況ではありませんよ」

ネカスイマが淡々と答える。

「いつも言っているだろ…」

「完ぺきな計画など無い…ですか」

「良く分かっているじゃないか」

「…」

ネカスイマは何も言わず頭を下げる。

「アフタの方は?」

「お気に召さないかもしれませんが完ぺきに準備が整っております」

「嫌味を言うな」

ファクネティは笑って答える。

「別に完ぺきにやってもらっては困るとは言っていないだろう。だいたい、…」

「それでいかがいたしますか」

「ふっ、計画は今日実行する。アフタの方はお前に任せる」

言葉を遮られたことを不快に思いながらも、ファクネティは言った。これまでは、ただの準備だ。いよいよ、本番になる。もう後戻りは出来ない。ファクネティはそう強く思った。



「親方、新入りです」

そう言って案内されたのは、いかにもと言う工房だった。いかめしい親方と言うのに相応しい表情、格好をしてそこにいたのはヌラ・ホコだった。

「そいつは使えるのか?」

「さぁ、ドンゴさんからの紹介みたいです。好きに使って良いって言ってましたよ。ダメなら首にしてくれとも言ってました」

そんな事まで言っていたのかと思って、ラテアはぞっとした。しかも、それを面と向かって言うとは思わなかった。これまでファムから聞いていたアリアドットの姿とは違っていると思った。どちらかと言えば、ラテアが良く知っている雰囲気ではある。少し安心するとともに、その厳しさも思い知らされる気がした。

「名前は?」

ぶっきらぼうに言う。

「ラテア・ツードです」

「ヌラ・ホコだ。よろしく」

ぶっきらぼうに挨拶すると、手を差し出してきた。ラテアも手を出して握手をしようとしたら、手首を掴まれた。そして、じっくりと手を見られる。

「まあ、そこそこは役に立ちそうだな」

「手を見て分かるんですか」

「…あぁ?」

ラテアの問いかけに面倒くさそうに言う。

「いや、何でもないです」

そう答える。ラテアの目に入ったヌラの手はかなり年季が入っていて、誰が見ても職人と言うのが分かりそうな手だった。

腕は確かみたいだが、自分はここでやっていけるのか、不安に思う。いや、自分の目的は情報を集める事だ。でも、本当に出来るのか、やっぱり不安に思ってしまった。

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