竜探しのお話

hachijam

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6章.隠された都市

39.

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「交渉は決裂ですか?」

ファクネティが言う。そもそも、交渉になっているのかも怪しい物だと、サントは思った。

「じゃあ、せめて、私たちの邪魔をしないでいただけませんか?」

少し低姿勢でファクネティが言う。

「あんたたちのやる事次第だよ」

ファムは言う。

「真っ当に生きろ、なんて説教するつもりはないけど、襲撃を企んでいると知って、それを邪魔しない訳が無いじゃないか。むしろ、あんたたちが私たちの邪魔をしているんだよ」

「ふむ。やはり、手厳しいですね。もう少し交渉の余地があると思ったのですが…」

「どこでそんな判断をしたんだ。それがそもそもおかしいだろう」

サントが言う。

「そうですか。もっと、現実的な対応をしてくれるものだと、それはこちらの勘違いと言うところでしょうか。じゃあ、どうしますかね」

その声に反応したように、アフタと呼ばれた男が構えた。でも、ファクネティは視線でそれを止めさせる。

「分かりました。ちょっと、様子を見させてもらいましょう」

「様子を?」

「実際にあなたたちにあって、とても、興味を覚えました。少し時間を置いて、話し合えば、また違った理解の仕方が出来ると思いまして」

「それは無いと思うけど」

ファムが嫌味のように言うが、ファクネティは気にせず続ける。

「次回は、他のお仲間にもお会い出来たら、光栄です。竜と言うのも私は実際に見てみたい」

それで、ファクネティとのやり取りは終わった。結局、コトは無事に返され、サントもファムも無事に帰る事が出来た。意識が朦朧としていたコトも屋敷から出ると少し落ち着いたようで、時間が経ったら、元に戻った。

サントとファム、そして、コトは、リラの所に向かった。リラはコトがなかなか戻ってこない事を心配して、自ら、コトを探しに行こうとしていた。もし、あの場面にリラがいたらどうなっていただろう。交渉がまとまったとは思えないが、コトの姿を見た途端、力を暴走させて、あの屋敷をめちゃくちゃにしていたかもしれない。それはそれで、一気に物事が片付いて良かったかもしれないと一瞬思ったサントだったが、それはあまりにも安直な考えだと反省した。



「あのまま、帰してしまってよろしかったのですか」

ネカスイマが言う。

「ああ、いろいろと思いついた事があったからな」

ファクネティの答えに、ネカスイマは沈黙する。

「考えていたよりも、面白い物が見つかるのかもしれないな。この街に隠されている闇は想像も出来ないくらい深いのかもしれない」

そういうと、ネカスイマに指示を与える。ネカスイマは黙って頭を下げると、その場を後にした。
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