竜探しのお話

hachijam

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2章.付与師

7.

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月見の水を受け取ったマイットは、その中に魔封じの石を浸した。そして、軽く呪文を唱える。魔封じの石の中から煙のようなものが少しずつ出てきた。しばらく、そのままにしてその煙のようなものが出なくなって来たのを確認すると、マイットは魔封じの石を取り出した。さっきよりも透明度が増し、はっきりした翠色になっていた。

「じゃあ、後はラテア、お前に任せるから」

そう言って、純度の高まった小さな翠色の魔法石をラテアに渡した。

「ええっと」

魔封じの石を受け取ったラテアはどうしていいのか戸惑っていた。

「一から十まで説明しないと分からないのか。付与師としての仕事だよ。その子の力は見ただろ。この魔封じの石を使って、その子に似合う腕輪を作ってあげなさい」

「えっああ、そういう事ですね。分かりました。なるほど…」

そうブツブツと言いながら、奥の部屋へと向かった。納得した表情のラテアに対して、サンテとリラは困惑した表情を浮かべる。

「さて、少し時間もある事だし、お話をしようか。竜探しのお二人。しかも、マコトノモノとマガモノなんだね」

そうマイットは言った。

「あんた、只者じゃないね」

そこに姿を現したのはテテだった。

「おやおや、竜の魂の子がこんな老いぼれの前に姿を現すとはね、珍しい事もあるんだ」

そうは言ったがマイットは実際には驚いた様子は無かった。

「偉大な魔法使いで占い師で予言者と言うのは間違っていないみたいだね」

テテは姿を現していなかっただけで、ラテアとの会話は聞いていたようだった。

「別に自分から名乗っている訳ではないよ。まあ、否定はしないが」

「何が目的なんだい?」

「目的?難しい事を言う子だね。私はただ困っている子を助けようと思っただけだよ」

「でも、ここに来るように仕向けただろ」

「それは誤解だな」

「誤解?」

「そう、私はここに君たちが来ることを知った。そして、君たちの困りごとに気づいた。だから、手助けしようと思っただけだよ」

「どういう事ですか?」

話にだんだんついていけなくなっていたリラが尋ねた。

「私は占い師で予言者だからね。君たちがここに来る事は分かっていたよ。あのパスの村の男、ダイタの代わりに来ることはね。でも、あの男が魔物に襲われたのは私のせいではないし、怪我をしたのも私のせいでもない。ただ、少し利用はさせてもらったよ」

「それがあの荷物?」

「まあ、そうだね。元々は違う物だったけど、君たちが来る事になったから、あれを頼んだんだ。丁度、今日で良かったよ。月見の水が手に入る日と言うのも限られているからね」

何だか全てはマイットの思い通りに進んでいたようで、あまり良い気分では無いとサントは思った。
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