竜探しのお話

hachijam

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3章.槍使い

16.

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「さすが、ダイタさんの紹介する人だけあるね。まさか、黒狐を捕まえるとは思わなかったよ」

報奨金をギルドにもらいに行った時にそう言われた。更に

「ほれ、これであんたも一人前だ」

と、銅色のギルドバッジを進呈された。

ギルドバッジはギルドに認められた証でもある。銅色は一般レベルと言うところで、多くの冒険者が持つものだったが、駆け出しからは一歩前進と言うところではあった。これでどこの町に行ってもギルドで門前払いされる事は無くなる。素直に嬉しいと思う反面、リラやラテア、ファムの助けが無かったらもらえなかったかもしれない、いや、それどころか命すら危なかったかもしれないとも思っていた。マイットが言っていた己自身の力を高めないといけないと言葉の意味を強く感じていた。



「あんたらについていくと面白い事がありそうだな」

その言葉でファムはサントたちと一緒に冒険する事になった。聞けば、腕試しのために冒険をしているのだと言う。

ファムとリラの出会い、ガルトの屋敷でのことを説明されたサントだったが、今ひとつ、どうしてそうなったのかは理解できないでいた。ラテアも納得しているのか良く分からない感じだったが、リラが喜んでいたので、拒否する理由も無かった。ファムに助けられたという事実もあった。

こうして槍使いのファムが新たに仲間になった。



「あの、ひとつ気になったのですが、ファムさんが借金をした理由と言うのは?」

リラは気になっていた事をファムに尋ねた。

「さあな、何だったけな」

とぼけたように言う。

「そう言えば、知り合いの方が私と同じような目にあって騙されたって話を伺いましたけど、その方はその後大丈夫だったんでしょうか?」

リラはもうひとつ気になっていた事も尋ねた。

「…騙されて借金させられて大事な物を取られたらしい」

ファムは言いにくそうに言った。

「そうなんですか。それはお気の毒に…」

「でも、優しいお嬢さんに助けられて無事に大事な物を取り戻したらしい」

「ああ、そうなんですか」

リラはホッとしたように笑った。

「そう、それで、そのお嬢さんと仲間になって、旅に出る事になったみたいだ」

「ああ、それは良かったですね。…ん、あれ?」

「どうした?」

「何かどっかで聞いた事ある話のような気が…」

リラはちょっと困惑した。

「まあ、良いだろ。いろいろあったけど、そこそこ幸せになったという話だ」

「それなら良いんですけど…」

どこか釈然としないままリラは言った。
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