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第5話 全員集合
しおりを挟む待ち合わせ時間はとっくに過ぎた。しかし、私たちは何も気にせず談笑を楽しんでいる。メンバーの遅刻は慣れているし、みんな黙認しているのだ。五年という月日を埋めるように、それぞれの話を聞きあって話し合って、時間はあっという間に過ぎていく。夕日が海を照らし始めると、浜辺から四つの影がこちらに近づいてきた。
「あれ?あれってもしかして!」
「え!今日は随分と早いんじゃない!?」
やはりこういう時に気付くメンバーは、亜月。彼はメンバーのことが大好きだ。しかし、彼のやる気のムラが原因でメンバー内に亀裂をはいることもあった。それでも、彼がメンバーを大好きな事が伝わったため、いつからか彼のやる気のムラに関しては触れない方向になった。
そして、亜月の声に反応を示した要は遅れた登場としても、普段よりは早いと騒いでいる。普段から遅刻するメンバーは、決まっている。遅い時は、全員揃うまで長くて三時間程かかってしまう。今日はどうやら一時間で済んだらしい。
「おーい!こっちだぞー!」
亜月が真っ先に四人へ手を振る。待機していたメンバーも、四人が近づいていることに気付いて騒ぎ始める。わちゃわちゃとした様子を見ても、マイペースにゆっくり近づいてくる四人。段々とその姿が見えてくる。
「遅くなってごめんね。どうにか三人をまとめて連れてくることが出来たよ」
真っ先に謝ってきた彼は、天原秤也。彼はとても真面目で優しく、遅刻魔メンバーのお世話係と言ったところだ。アクアマリンのような髪に、ペリドットの瞳。優しさが見た目から伝わるような雰囲気。
「まるでお荷物みてぇな言い方。別に悪気があって遅刻なんてしてないっつーの」
秤也の言い方が気に食わなかったのか、スモーキークォーツのような透明感のある髪をかきあげながら悪態つく彼は、双葉夕日。本物の夕日を詰め込んだような赤い瞳。そして、瞳の色と似たメッシュを入れている。きつい顔立ちとその言葉遣いで誤解されやすいが、心はとてもあたたかい。
「まあまあ、秤也が来てくれたから早く送り届けてあげることが出来たんだし、無事到着できたからいいんじゃない~?」
ゆっくりもした口調で、場を和ませるように間に入る彼は、双葉朝日。彼は、夕日の双子の兄だ。見た目は夕日と似ているが、朝日の方が柔らかな顔立ちで、夕日と同じ髪色。瞳はべキリーガーネットのように、薄らと青い。朝日も、瞳の色と似た色のメッシュを入れている。
「みんな、ごめん。観光に来たと勘違いされて、観光案内されてた」
淡々と、しかし申し訳なさそうに呟く彼女は、蟹里彩芽。表情の変化はあまり読み取れないが、しゅんとした子猫のような雰囲気が可愛らしい。ローズクォーツの髪に、エメラルドの瞳。ゆるく編まれたみつあみと、左右に分けられた前髪は少し長く右目のみ見え隠れするようになっている。
「みんな無事に到着したようでなによりだわ」
「うんうん、事故も何も起きなくてよかったね」
落ち着いたお姉さんとお兄さんの雰囲気を醸し出す、琴乃と拓海。昔から落ち着いていた二人だが、五年も経つと余裕も出てきてかっこいい大人な雰囲気がある。四人無事にたどり着いたことに、みんなで安堵していた。遅刻を責める人は誰一人いない。それは、彼らのことをよく知っているからだ。何も理由がなく遅刻している訳では無い。朝日と夕日はどこか子供らしい雰囲気から、お年寄りに好かれる。そして、特に夕日はお年寄りに優しく困っている人を放っておけない。人助けのためについ時間を忘れてしまいがちなのた。兄の朝日も、夕日がしたいことはしてあげたいタイプ。遅刻している事は理解しているが、夕日のことになると周りが見えなくなりやすい。
そんな二人を、うまくこちらに戻してくれる秤也。彼は、仲裁にはいる役が上手だ。優しく真面目な性格から、その場の最善策を考えて提案してくれる。もしも夕日が人助けをしていたなら、自分たちが関わらない方法でカバーをする。待っているこちらの身を考えて行動してくれ、頼りになる存在だ。
そして、彩芽は先程告げられた通り。観光と間違われて、何故か観光案内をされてしまうほど雰囲気で人が寄ってくる。当の本人は、やや人見知りで断るにも断れない性格だ。普通に歩いているだけで、何かしら声をかけられそのままフラフラと連れ去られる。今まで事件に合わなかった事だけが救いだ。
四人の性格を知った上で、メンバーは遅刻を黙認しているのだ。まあ、初めのうちはよく揉めていたのだけれど。
「よーし!じゃあみんな揃ったね!こんな事もあろうかと、船に乗る時間は遅めに伝えておいたんだよね」
四人が遅刻することを想定していた要は、得意げな顔で船着場の船を指さした。それに純粋なメンバーである花霞がぱちぱちと拍手をしていた。その素直な反応を楽しむようにけらけら笑い声をあげるはやて。
「じゃあ、みんな荷物持って、そろそろ行くか」
「部長!いつも通り引率おねがいしまーす!」
その場をまとめるように声をあげる花楓。そして、その引き継ぎをさせるように亜月がにこにこしながらこちらを見てきた。
「よーし!宝探しツアー、出発進行!」
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