12星座のたからもの

花咲 葉穏

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第4話 生存確認

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「おーい!みんな~!このみと花楓、連れてきたよ!」


 要は、私の手を引き、私は花楓の手を引いて船着場へ向かった。そして、数名の姿がハッキリと見えてきた。まだ到着していない人もいるようだけれど、既に到着しているメンバーの顔を見るだけでも感動で涙が出そうだ。五年という長い月日、メッセージや電話でのやり取りだけでは寂しい時もあった。女性陣は毎日のようにやり取りしていたが、男性陣とは用がない限り連絡は取っていなかった。それはもちろん、気遣いでもある。サークルの男性陣は、昔から女性に好意を抱かれやすいメンバーが多かった。そんな彼らは社会に出ても人気者だろう。万が一、彼女が出来ていた場合、彼女側に変な不安を抱かせたくないと考えていた。だからこそ、そんな気遣いのいらないこの集まりが、とても嬉しいと感じる。


「うわぁ~!部長!副部長!本物だ~!」


「誰が幽霊だ。亜月こそ、大学の頃と全然変わってないな~」


「誰がチビだ!」


「あははっ!亜月~、だれもチビなんて言ってないって~!」


 真っ先にこちらに駆け寄ってきた彼。大学の中でも、要と並ぶ程の明るさの持ち主。亜月と要は、誰とでも仲良くなれる所謂『陽キャ』という部類だ。亜月から、からかわれると花楓がニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべて反撃した。すかさず亜月はツッコミを入れたが、どうやらコンプレックスを馬鹿にされたと勘違いしたらしい。要がそれにケラケラとした笑い声を上げると、それに釣られて他のメンバーが笑い始める。


「ふふっ、この賑やかな感じとても懐かしいわね」


「あはは~、あつきちも副部長くんも仲良しだね~」


「うんうん、2人とも仲良しでいいね。みんな変わってないみたいで、僕も安心したよ」


 ゆるい雰囲気の三人組が、ゆっくりとした動きでこちらに向かってくる。大人の女性という雰囲気が似合う彼女は、蠍琴乃さそりことの。艶やかな黒髪はセミロングの長さで、ゆるくウェーブになるように巻かれている。前髪は分けられており、黒曜石のような瞳がしっかりと見える。
 そして、その次に要に負けない程の笑顔を浮かべ、二人をあだ名で呼んでいる彼は射手駒はやていてごまはやて。明るい茶髪は肩につかないように切りそろえられているが、前髪は長く片目が隠れている。彼はとても笑いのツボが浅く、一度笑うとずっと笑っている。
 もう一人、穏やかで優しい笑みを浮かべて近づいてきた彼は魚野拓海うおのたくみ。はやてよりは明るくなく、焦げ茶色の髪はくせっ毛のようでぴょこぴょこ髪が跳ねている。慈愛の見えるオブシディアンの瞳は、どことなく優しい兄のような雰囲気を醸し出している。


「きゃーっ!ほんとにこのみさんと花楓さんが!この世に存在してるなんて夢みたいです!」


「はわっ!ほんとに会えるなんて……。感極まってこのまま海に飛び込んじゃいそう……。」



 そして、愉快なメンバーその二弾。テンションが犬のように高い。きゃっきゃっしながら私と花楓の姿を、その目に焼き付けようとぐるぐる周りを回られる。少し癖のある彼女は、山羊谷美織やぎたにみおり。メッセージで、画像を作ってくれ、この企画を要と考えてくれた人物の一人。耳より少し長めの髪は少しオシャレなおかっぱヘア。淡く柔らかな色味の金髪で、前髪が短く整えられた眉毛がよく見える。
 さらに、もう一人。癖の強いメンバーがいる。それは、水瓶花霞みずがめかすみ。とても人見知りでやや天然まじりのある彼女。みんなの後ろにいたが、そのまま海にふらっと行きそうな所を拓海に止められていた。アッシュグレーの髪は、頭の上でお団子にまとめられている。ムーンストーンのような瞳は、拓海に止められながらも未だに海を見続けている。


「みんな元気そうでよかった。今来てないメンバーは相変わらず遅刻?」


「えぇ、そうね。あぁ、でも、秤也しょうやくんはきっと彼らの案内係になってるはずよ」


「いつも通りだな。秤也は、あの双子の子守り役って感じ」


「あとは、彩芽あやめさんも多分その辺りの人につかまってるんじゃないでしょうか!」


「確かに!彩芽って何故か人を惹きつけて、なにかと捕まりがちだしなあ」


 いま話題に出ている人物は、残りのサークルメンバーだ。双子の彼らは、遅刻魔。そんな彼らを上手く制御する役目の彼。そして、もう一人の女性は雰囲気のせいか、見知らぬ誰かに常に囲まれている。そのせいで、待ち合わせにはいつも遅刻しがち。どれだけ家を早く出ても、その分だけ人に捕まるようだ。


「遅刻メンバーも相変わらずでなによりだね」


「ほんとにな。いつも賑やかで、飽きないよな」


 私と花楓はそう呟いて笑い合う。サークル時代から常に愉快で楽しいメンバーだった。それは、五年経っても変わらない。その懐かしさに、社会で揉まれた心が癒されていく。学生時代がどれだけ楽で、何も考えず仲間と笑いあえていたのか実感する。社会に出てから、なにかと気にすることが増えた。花楓と何も気にせずに笑い合えたことも、いつぶりだろうか。このメンバーといることで、普段の私たちらしくいられることがとても嬉しかった、
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