俺の魔力は悠々自適 〜精霊達と気ままな旅路〜

かなちょろ

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第14話 ゴブリンキング討伐!

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 ディメールの近くで大量に発生したゴブリンの群れ、その中でもゴブリンキングを討伐するべく、俺達ギルドの冒険者はギルマスの説明を聞く為に、ギルド【ミョンミョン】に集まっていた。

「皆も既に知っている者もいると思うが、北東の森にゴブリンの大群が現れた。 このディメールに少しずつ近づいていると情報が入っている。 そこで皆にはゴブリンの討伐をお願いしたい。 もちろんギルドからの依頼となる為、報酬は出るぞ」
「ゴブリンだけなら余裕だろ」
「狩まくって少し懐を潤すか」

 冒険者達からはそんな言葉が飛び交う。

「今回はホブゴブリンやメイジゴブリン、もいると言われておるが討伐した者には報酬をはずむ」
「ホブゴブリンやメイジゴブリンもいるのかよ」
「ちょっと厄介だな……」
 
 普通のゴブリンに比べランクが高いホブゴブリンやメイジゴブリンはディメールにいる冒険者のランクと同じくらいだ。

「部隊を3つに分け、3方向から責めてもらう。 詳しい部隊の編成は受付のサヨくんに聞いてくれ」
 
 ギルマスのミルヒさんは俺をチラッと見ると、顔をくいっと軽く曲げ、俺に合図を送ってくる。
 どうやら部屋に来て欲しいようだ。
 ギルマスの部屋に向かうとノックする前に「入ってくれ」と声がかかった。

「失礼します」

 部屋に入るとギルマスのミルヒさんと冒険者であり、お孫さんのリアスちゃんがいた。

「なんでリアスちゃんまで?」
「ギルマスに呼ばれたからに決まってるでしょ。 あと、リアスって呼びなさいよ」
「わかったわかった」
 
 リアスは腕を組んで頬を膨らませている。

「話してもよろしいか?」
「あ、はい。 お願いします」
「ふむ、君達2人には部隊に加わらず2人で行動をお願いしたい」
「2人でですか!?」
「なによ! 私とじゃ嫌だって言うの?」
「そうじゃなくて、いくら精霊達やリアスちゃ……が強くても危険では?」

 リアスがジッと睨んでくる。

「他の冒険者を3つの部隊に分け敵を誘い出し、手薄になった巣に向かってゴブリンキングを倒して欲しいのですよ」
「そう上手くいきますかね?」
「君達なら大丈夫でしょう」

 ギルマスの厚い信頼? を受け部屋を後にし、リアスと作戦について話す。

「他の冒険者は森に対して左右と真ん中の3方向から攻めるって訳でしょ? 私達は右から攻めるの部隊に加わり、そこから更に森の奥を目指すのよ」
「ホブゴブリンとメイジゴブリンはどうする?」
「3つの部隊の方に行ってくれれば良いけど、もし出くわしたら私が相手をするわ」
「一人でか!?」
「悔しいけど、今の私じゃゴブリンキングには勝てそうも無いもの。 だからカケル、必ずゴブリンキングを倒すのよ!」
「任せとけ。 精霊達だけでなく、俺も精一杯頑張るよ。 リアスの弟子だからな」
「当然よ」

 俺とリアスの作戦も決まった所で、俺は精霊の皆んなに聞いてみる。
 なあ、皆んなならゴブリンキングは倒せるのか?
『勿論だぜ』
『簡単ですわね』
『僕も出来るよ~』
『私もやれると思います』

 う~ん、流石精霊達だ。 このディメールの冒険者達でも手に負えないゴブリンキングを簡単とか……。

 出発は明朝、今日はしっかり寝て魔力を温存しておこう。
 だから今日は誰も召喚無しだからな。
『『え~!!』』
『ちょっとくらい良いじゃんか!』
『少しくらいなら直ぐに回復いたしますわよ』
『兄ちゃんちょっとだけ、ちょっとだけだから~』
『私はご飯の時だけで構いませんよ』
 
 各々が口にする。

 ダメ、ダメ。 今日はしっかり食べて早めに寝ないと明日辛いから。 ついでに皆んなに食べさせる金はもう無い。
 金が無いと言う俺の考えを読み取ったのか、皆んなは『仕方ない』として今日は諦めてくれるようだ。
 ゴブリンキングを倒した報酬でご馳走するから。

 そして早朝、リアスと一緒に部隊に加わり討伐へと向かった。
 森をしばらく進むと前方から声が響く。

「ゴブリンだー!!」
 
 前の方が騒がしい。
 どうやらゴブリンとの戦いになったようだな。

「カケル、こっちへ」
 
 リアスに案内され、部隊より離脱する。
 2人で迂回するように森の中を進み、茂みからゴブリンの本部隊を発見する。

「メイジゴブリンが3人と……なによ、オークもいるじゃない」
「あの豚顔のやつか」
「そうよ。 ランクDとされている魔物よ」
「リアス1人でいけるのか?」
「ちょっと厳しいかも知れないわね。 でもやるだけやるわ」
 
 少し不安そうな顔をするリアス。

『翔様、わたくしがリアスさんと一緒にいますわ』
 シルクがリアスに着いていてくれると言ってくれた。
 シルクなら回復も出来るし、何かあっても大丈夫だろう。
『翔さん、私もここでゴブリン達が他の冒険者の所へ行かないように致します』
 頼めるか?
『勿論ですわ』
『任せてください』
 リアスの事をシルクとシャルに頼み、俺と2人でゴブリンキングを相手にする事となった。
 ま、皆んな強いし大丈夫だろう。

 俺は手を前に出し、詠唱を始める。

「赤き紅より真紅に燃えし心なる火種 盟約に基づきその姿を見せよ!」
「青く澄んだ清流の流れよ 盟約に基づきその姿を見せよ!」
「白く空に揺蕩いし柔らかな風よ 盟約に基づきその姿を見せよ!」
「緑の優しき土の恵みよ 盟約に基づきその姿を見せよ!」

 赤、青、白、緑の魔法陣が展開され、皆んなが現れる。

 リアスにはシルクが着くことを説明し、いざゴブリンキングの元へ。

「翔様を頼みましたわよ」
「カケル、後は頼んだわよ」
 
 シャルは俺の隣から石飛礫を放ち、ゴブリン達を倒していく。
 そのままシルク、シャルとリアスは敵陣に向かって行った。
 よし、俺達も頑張ろう。
 シルク、シャルとリアスが作ってくれた隙に敵陣を突破する。

「オラオラ! 邪魔だ!」
 
 エルザの火球がゴブリンを吹っ飛ばし、更にマリスの風の刃が切り裂いて行く。
 
 突然ゴブリン達の群れが道を開けると、俺よりも二回り程大きいゴブリンが身長程もある剣を担いで現れた。
 あれがゴブリンキングか。

「あたしがやる」
 
 エルザは拳に火を纏ってゴブリンキングに突撃していく。

「やっちゃえ! エルザ!」

 マリスは楽しそうに応援を始めた。
 
 皆んなが余裕と言っていただけあって、エルザはゴブリンキングを押している。
 これなら勝てそうだ。

「兄ちゃん、洞窟の奥に何かいるよ」

 マリスが何か感じとったのか、森の奥を気にしている。
 ズシンと音が響き渡るとゴブリンキングがエルザに倒されていた。

「ギ、ギギ……、ヨクモ……」

 話せるのか……しかし……。
 ゴブリンキングの大きな剣はへし折られ、顔と体はボコボコになっている。

「案外大したことねーな」

 エルザは余裕を見せ、不満そうにしている。

「ナラバ、コレナラドウダ」

 ゴブリンキングは起き上がると腰布からイカツイ笛を取り出した。

「ギギ……ミ゛ン゛ナ゛ジネ゛」

 ゴブリンキングが笛をひと吹きすると、洞窟の奥から地響きを上げて何かが来る。
 洞窟から出て来た巨大な何かが周りにいたゴブリン、ホブゴブリン達を吹き飛ばす。
 それは5、6メートルはある猪の魔物だ。

「今度は僕がやるよ!」

 マリスは風の刃を飛ばすが猪の皮膚が硬すぎて切れていない。

「えー! なんだよぅ! このこの!!」

 マリスは何度も飛ばすが弾かれてしまい、猪はマリス目掛けて突進してきた。

「マリス! 危ない!」
 
 風の刃を飛ばす事に夢中になり過ぎている!
 俺はマリスを間一髪抱き締めると、その勢いで転がる。

「お前の相手はあたしだ!」
 
 エルザが火を纏った拳で殴りに行くが、跳ね飛ばされた。

「エルザ!!」
「大丈夫だ! オラオラ!!」

 跳ね飛ばされた空中から火球を猪に向かって打ち込んでいる。

 猪は攻撃してくるエルザに狙いを定めたのか向きを変えエルザに突進して行く。
 着地を狙われたエルザは猪の突進に直撃する……かと思ったが、猪の牙を掴み押されているが踏ん張って耐えている。

「エルザ!」

 俺はナイフを構え、猪に体ごと体当たりする。

 猪の皮膚はマリスやエルザの攻撃すら効いてない、俺のナイフなんて軽く折れてしまった。

「翔! 無理すんな! どおりゃーー!!」

 エルザは体長5、6メートルはある猪を持ち上げ、後ろに投げ飛ばした。

「どおだぁー!」
「エルザすごぉい!」

 ズシンっ! と鈍い音を立てて倒したが、猪はまだ立ち上がってくる。

「しつけぇな。 ……翔! こうなったら森を焼いちまうが我慢しろよ!」
「お、おい、エルザ!」

 立ち上がり突進して来た猪、エルザは俺達の前に立つと猪目掛けて巨大な火球を放った。

「やっと追いついたわ……」
「翔様~」
 
 リアスとシルク、シャルは雑魚ゴブリンを退治して来たようだ。

「ちょっとカケル、この精霊達ったら……え……ちょっと! これなんなのよ!」
 
 リアスが見た光景は黒焦げになったゴブリンキングと猪、その猪より後ろ……燃え尽きてしまった森だ。

「いや、この猪がさ……」
「ちょっとこれ、タイラントボアじゃない!」
「タイラントボア?」
「Cランク冒険者でも苦戦するので、ランクBに近い魔物よ……。 これをカケル達が?」
「俺は何にもしてないな。 エルザがやったよ」
「カケルの精霊達は無茶苦茶ね。 このシルクさんとシャルさんが2人でゴブリン達を圧倒して倒しちゃったから私の出番がなかったわよ」
「やり過ぎましたかしら?」
「頑張りました!」

 シルクとシャルは大した事はしていないと言う顔をしている。

 エルザとマリスは俺の魔力を気にして魔法陣へ戻っているが、エルザは『あたしの武勇伝をそこのお子ちゃまにちゃんと話しときな』と頭の中で豪語する。

「なにわともあれひとまずゴブリン退治も完了だな」
 
 他のゴブリン達も冒険者達に討伐されたようで、俺達がゴブリンキングを倒したと伝えた所、盛大に盛り上がった。
 そして傷ついた人はシルクが治しているが、シルクの前には想定以上の長蛇の列が出来、治療後に俺達はディメールへ帰還した。
 この治療待ちの冒険者、シルクに治療して欲しくて絶対自分で傷をつけた者もいそうだな……。
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