俺の魔力は悠々自適 〜精霊達と気ままな旅路〜

かなちょろ

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第24話 新たな大陸

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 …………………………………………………。
 ………………………………………………。
 ……………………………………。
 エルザ、シルク、マリス、シャル。 皆んなが話しかけてくる。

「何してんだ翔? 酒場に行って酒飲もうぜ!」
「あら、ダメですわよ。 翔様はわたくしと買い物に行くのですから」
「違うよ、兄ちゃんは僕と遊ぶんだよ!」
「この世界の知識をもう少し知っておいた方が良いと思います。 なので翔さん、私と本屋に行きませんか?」
 
 また皆んなの掛け合いが始まった。
 どこでも付き合うから待ってくれよ。 でも皆んなは暗闇を歩いて行ってしまう。
 先に行かないでくれ! 
 ……皆んながどんどん先に歩いて行ってしまう……。

 お、おい! 皆んな!!
 先に進んでいる皆んなに叫ぶが誰もこちらを振り向かない。
 そして俺の前に、ルーギィが現れた。

「どこに行くのかしら? 邪魔なあなた達はここで死んでもらわなきゃね♡」
「……そうだな」
 
 ヴァティントも現れ、皆んなに向けて魔法陣を出す。

「炎蛇」
 
 黒い炎が皆んなを包むと辺りは闇に覆われた。
 皆んな!!
 手を伸ばすが何も掴めず、俺は暗い闇にどんどん落ちて行く。 いや、落ちているのかすら分からない。

 その時、1つの小さい光が人の形となり俺の手を取る。
 そして光に包まれ声が聞こえた。

『……早く……、起きて……』
 誰? 誰なんだ!?
『……早く……』
 …………………………。
 …………………。

「うっ……」
 
 窓から日の光が差し込んでいる。 眩しい。
 目を慣らして天井を見ると知っている天井だ。
 ベッドから体を起こすとパジャマの様な薄着を着せられ、所々包帯が巻かれていた。
 起きあがると部屋のドアがガチャリと開く。

「カケルさん!! 目が覚めたのかい!?」
 
 部屋に入って来たのはケリーさんだ。

「ケリーさん……? じゃあここは?」
「私の家よ。 カケルさん発見されてから3日も目を覚さないから私はもうダメかと思ったよ」
「俺はどうやってここに?」
「カケルさんは海に浮いていたそうだよ。 たまたま運良く漁師が発見して、このストークレイルを救った英雄様が浮かんでるって大騒ぎになったんだから。 顔を見て酒場で女性と一緒に飲んでいた男性って事ですぐわかったから、私の家まで運んでもらったんだよ」
「そうですか……、助かりました」
 
 酒場でか……、エルザのおかげだな……。
 ……エルザ……。

「それで、何があったんだい? シャルさんや他の方も見えないようだけど?」
「それは……」
 
 俺は言葉に詰まってしまった。
 俺のせいで皆んなを無くしたなんてどう言えば良いんだ!

 そんな俺を見てケリーさんは「何があったか知らないが、ゆっくりしていって良いからね」と返事を聞かずそっと部屋から出て行った。
 俺はただただ黙って包帯の巻かれた手を眺めていた。

 夜、ケリーさんは夕食を持って来てくれたが喉を通らない。
「精をつけなよ」と肉料理を出してくれた。
 パン、サラダ、肉、スープとかなり良いメニューだ。 でも、このサラダはシルクが好きだったな、マリスだったら肉はおかわりしていたかもしれない、パンにスープを付けて食べるのをシャルも好きだったな……。
 これにお酒が有ればエルザも満足しただろうな……。
 しばらくご飯をに手をつける事なく眺めていた……。

 皆んなの事を思い出すとシャルの言葉を思い出す。
 そうだ、大精霊に合わなくては。

 その夜、俺は冷めてしまった食事をとり、痛む体を起こし服を着替え剣を取る。 ケリーさんに手紙と持っていたお金の半分を置いて静かにランダさんの家を出た。

 そして酒場に行き、助けてもらった漁師達に酒を振る舞い、大精霊について話を聞く。

「お、兄ちゃん元気になったか」
「赤髪の子はどうした?」
「他の子達も見えねぇけどしたい?」

 色々聞かれた。
 皆んなの事は誤魔化し誤魔化しで大精霊について聞く。
 漁師達は聞いたことも無いと言う。
 その中で1人、聞いた事がある漁師に会えた。

「大精霊は知らんが、不思議な森の話しは俺のじっさまから聞いた事があるぜ。 ここから海を渡って西の大陸に大森林がある。 そこに入った者は二度と出て来られないって話だ」
 
 そこに大精霊がいるかはわからないし、話の信憑性は無いが……今はこの情報すら大事だ。

「ありがとうございます。 それで西の大陸に行く船はありますか?」
「西の大陸か……、あの海域は海賊が出るってんで行くやつはいねぇなぁ」
「そうですか……」
 
 西に行く船が無いのなら船を調達して自分で行くしか無いか。
 なんとか行けるようにと悩んでいると酒場の隅に座って酒を飲んでいた男が近寄って来た。

「俺の船なら行けるぜ」
「本当か!?」
「条件次第だがな」
「条件とは?」
「なに、簡単な事さ。 海賊に襲われたら戦って欲しいってだけだ。 あんたあのシーブルウィードを倒したんだろ? しかもCランクの冒険者なら歓迎するぜ」
 
 黒いラインに赤い羽付帽子を被り、赤いコートを翻した二十代の男は「着いてきな」と俺に合図を送る。

 着いて行くとそこは街から少し離れた海岸に小さいボートが置かれている。

「でん……、お頭、行きやすかい?」
「ああ、こいつも連れて行く」
「へい」
 
 俺はボートに乗り、海を揺られて行くと日が昇り始め、崖の裏側から日の光を浴びて大きく綺麗な白い船が現れた。

「俺の名は【レリア】だ。 そしてこいつが俺の船【リューゲイル】だ!」
 
 それは大きく白を強調したガレオン船で船首には女神を模した像が付けられている。

「海賊が出るまで部屋で待機していてくれ。 彼を部屋まで案内しろ」
「へい」
 
 ボートで待っていた男に部屋まで案内された。

「ここがあんたの部屋になりますぜ」

 部屋は2段になったハンモックが2つあるだけ、これは部屋なのか?と疑いたくなる。
 部屋の中には既に男が2人ほどハンモックに座ってこちらを見ている。

「あの、はじめまして……」
 
 俺は簡単に挨拶をするが、2人の男は黙ってハンモックに寝てしまった。
 その2人の男とは特に会話もなく、(話しかけても無言だし)3日が過ぎた。
 その間に海賊が出た時の持ち場を案内されたりしたが、基本的に食事、トイレ以外は部屋の外には出してもらえなかった。

 この船本当に西に向かっているのか?
 人身売買の船とかじゃ無いだろうな……。
 そんな事を考えている4日目の昼頃、船内がバタバタと慌ただしくなり出した。
 突然部屋のドアが開き、「海賊が出たぞ! 持ち場に着け!」
とこの間の部屋に案内した男が息を切らせながら言いに来た。

 左舷の持ち場に着くと甲板から見えたのは大型一隻、小型が4隻の計5隻の船。
 あれが海賊船か!?

 リューゲイルが大きな海賊船に向かって斜めに進む。
 大きな海賊船は真っ直ぐにこちらに向かって来ると、左右に扇状に展開した小型の海賊船から火や風の魔法が飛んでくる。

 リューゲイルの船体に直撃するかと思ったが、見えないシールドで魔法を防いだ。

 小型の海賊船はリューゲイルを囲むように徐々に距離を詰め、大型の海賊船はリューゲイルにぶつかるのではと思う程接近して来る。
 すぐ隣まで距離を詰めると海賊達が声を振り立てながら梯子やローブを使って乗り込んでくる。

「乗り込めーー!!
「宝を奪えー!!」
「皆殺しだ!!」

 海賊達は各々剣を振るい威勢よく乗り込んでくる。 だが、リューゲイルの乗組員は海賊共を蹴散らしている。
 めちゃくちゃに攻めて来る海賊に対してリューゲイルの乗組員は隊ごとに動いている感じだ。

 俺の方にも海賊が3人程向かって来る。
 海賊はただ剣を振り回してるだけ、俺の敵じゃない。
 俺は剣を抜き、海賊を切り倒す。

「邪魔だ! 邪魔だあ!!」
 
 そんな中、勢いよく船に乗り込んできたデカいハンマーを担いだ全身鎧の大男が叫ぶ。

「死にてぇ奴からかかって来いやあ!!」

 大男はハンマー振り回し、乗組員を薙ぎ払って行く。
 つ、強い……。

 その大男に羽付の帽子を被った【レリア】が現れた。

「俺の船を襲うなんて運の無い海賊だな」

 上から指示を出していたレリアは大男の前に立ち塞がる。

「なんだてめぇは?」
「海賊に名乗る名は無い」
「そうか…、よお!!」
 
 大男がハンマーを振り下ろす。
 レリアは上手く避けると剣を大男に突き刺す。
 が……、鎧で剣が通らない。

「へぇ、私の剣を防ぐとは中々良い鎧を持っているな」
「おめぇじゃ俺様は倒せねぇよ!!」
 
 大男はハンマーを振り回すが、レリアは身を翻し剣で応戦するが、やはり剣は鎧に阻まれる。
 レリアは少し距離を取ると手をかざし魔法陣を展開、火炎球を連発し打ち出す。
 直撃だ!!
 もうもうと煙が立ち込める中、レリアに向かってハンマーが振り下ろされる。

「くっ!」

 すかさず距離を取り躱すが、魔法が全く効いてない。
「ガハハ! この鎧には半端な魔法は通用しねぇ! どうした? それで終わりか?」
「ちょっと厄介だね」
 
 2人は大立ち回りをしている間、俺は海賊をなんとか倒している。

 その時、俺の横をレリアが壁を壊す勢いで吹き飛ばされてきた。
 そして俺の前に大男がハンマーを振り下ろしてくる。 だが、リアスとラビの動きに比べたら遅い。
 俺も躱しながら剣で攻撃するが、鎧に防がれる。

「なんて硬さだ」
 
 大男は自分が優位な立場と感じた様で、鎧について話し始めた。

「この鎧はなぁ、防御力も完璧だが、魔法も効かなぇ優れものなんだよ!!」

 大男のハンマーは船を所々破壊しながら向かって来る。
 このままだと船が危ない。
 なんとか出来ないか……?
 昔見た漫画とかだと金属の鎧には電撃が有効だったはず。 でも今日は海も穏やかな快晴で雷所か雨の一滴降る気配は無い。
 俺に使えれば……。

『使えますよ』
 突如頭の中で声が聞こえた。
 な、なんだ?
『電撃が使いたいんですよね?』
 そうだけど、君はもしかして……、精霊!?
『そうですよ』
 今まで反応も無かったのに……?
『私達精霊は本当に必要とされないと出られませんから』
 そうだったな、なら一緒に戦ってくれるのか?
『私は事情があって召喚で出て行く事は出来ません。 ですがお力になる事はできますわ』
 どうすれば良い?
『召喚魔法の一節を変えて唱えてください。 良いですか?』
 わかった。 頼む。

『全てを貫き黄色に輝く一筋の光よ 盟約に基づきその力を示せ! です』
「全てを貫き黄色に輝く一筋の光よ 盟約に基づきその力を示せ!」
 呪文を唱えると持っていた剣の刀身がバチバチと音と共に輝き出した。

「何ごちゃごちゃ言ってやがる!」
 
 俺はハンマーの一撃を躱すと剣を振るい体に当てる。

「無駄だ! 無だ……ぐわあああ!!」

 大男の体に雷の電撃が走り、大男はその場に崩れ落ちた。
 それを見た海賊達は一目散に自分の船に戻って行く。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 大男と他の海賊達は捕らえられ、船で逃げた海賊達は船ごと沈められた。

「よくやってくれた! こいつはこの辺りの海を荒らし回っていた海賊の頭領でな、捕らえる事に成功したのは君のおかげだ。 礼を言う」
「いえ、そんな」
「約束通り西の大陸まで連れて行こう」
「お願いします」
 
 船長室から部屋に戻るとあの無口だった2人が話しかけてきた。

「あんた強いな」
「気に入ったぜ」
 
 この2人も冒険者で、海賊退治の報酬が良いから引き受けたらしい。
 その夜、部屋では酒を飲みながら2人のの昔話を聞きながら夜を越した。

 海賊の戦いから5日後、西の大陸にある港町が見えてきた。
 やっと着いたか、これで皆んなを蘇らせる事が出来るかも知れない。 頑張らないと。
 新しく現れた精霊は【ラジュナ】と言い、雷の精霊らしい。
 あれから声をかけたが、一向に返事が無い。
 外に出る事が出来ないとも言ってな?

 港に入り、船から降りるとこの街は他の街とはまた違った雰囲気があり、パステルカラーの家々が並ぶなんとも可愛い街だ。
 皆んなと来たら楽しいだろうな……。 いや、絶対に来るぞ。
 大精霊について情報を聞こうと街に入ろうとした時、レリアさんに引き止められた。
「ちょっと待ってくれ、海賊退治の礼がしたい。 だが今はあいにく手持ちが無いのでな、これを渡しておく」
 レリアさんから渡されたのは紋章の入った小さいレリーフだ。

「今度【アイゼスト王国】へ来た時に城の兵士にそれを見せてくれ。 ではまたな」
 
 レリアさんはそれだけ言うとさっさと港に戻ってしまった。
 あの人何者なんだ?
 まぁいいや、兎に角情報を集めないと。

 俺はこの港町【アイゼススタッド】の街中へ向かった。
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