俺の魔力は悠々自適 〜精霊達と気ままな旅路〜

かなちょろ

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第25話 アイゼスト王国と老兵

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 アイゼススタッドの港街に降りた俺はとりあえず大精霊について知っている人がいないか聞いて回る事にした。

「大精霊? 知らんな」
「精霊とは違うのかい?」
「そう言うのはギルドに聞いてくれ」
 
 そんな返事ばかりだった。

 やはりレリアさんに聞くしか無いか。 確かアイゼストの城にとか言っていたな、行ってみるか。
 食事をし、アイゼスト城まで行く準備を済ませ街を出る時、1人の老人に声をかけられる。

「あんたが大精霊を探しとる人かい?」
「そうです……、もしかして何か知っているんですか!?」

 何か情報が手に入るかも! と興奮してお爺さんの肩をガクガクと揺さぶってしまった。

「まぁ、まぁ、慌てなさんな。 まずは自己紹介しておこうかの。 わしの名前は【マリウ】じゃ。 昔は冒険者をしておってな、聞いた事があるのじゃよ」
「どんな事でもも良いんです! 教えて下さい!!」
「わしも城に用事があるでな、向かいながら話そうかの」
 
 ボロいフードを被り、杖をついて話しかけて来たマリウと言う老人の話しを聞く為、一緒にアイゼスト城まで相乗り馬車で一緒に行くこととなった。
 馬車には俺とマリウさん以外に2人、新婚さんだろうか? 手を繋ぎ仲良く乗っている。

「それで、大精霊について教えてください」
「慌てなさんな。 話にも順序と言うものがある」
「は、はい。 お願いします」
「おぬし、邪竜の話しを知っておるか?」
「邪竜ですか……?」
 
 邪竜? 聞いた事がないな。
 馬車の心地よいとは言えない振動が全身に伝わり、酔いそうなのを我慢して話の続きを聞く。

「誰でも知っている昔話しじゃが、話してやろう。」
 
 マリウさんは顔を上げながら話し始めた。

「むかしむかし、平和だったこの世界に何処からか現れた邪竜によって魔物がはびこる世界となった。 だが、女神と精霊が邪竜と魔物に立ち向かい邪竜を倒した」
「その話しと大精霊に関係が?」
「ここまでは誰でも知っている話しじゃて。 ここからは知る人ぞ知る話しじゃぞ」
 
 マリウさんは俺の顔をチラッとみるとまた天井を見上げて話し始めた。

「じつはの……、邪竜と女神の戦いは永きに渡った。 女神と精霊達はなんとか邪竜を追い込んだんじゃが、邪竜を倒す事は出来なんだ」
「何故です?」
「邪竜には8つの魂があったのじゃ! その魂が1つでも残っている限り邪竜は復活した。 そのため戦いは長引き、女神の軍はどんどん減っていった」
「不死身と言う事ですか?」
「不死身では無いが、8つの魂を復活するより早くどうにかしないといかんかった。 そこで女神は持てる力を使って邪竜を封印したと言うわけじゃ」
「倒せなかったので封印したって事ですか?」
「そうじゃな。 そしてその封印を守護しておるのが女神と共に戦ったとされる大精霊と言う話しじゃよ」
「それで大精霊はどこに?」
「それは知らん」
「……え? 知ってるんじゃ無いんですか!?」
「わしは大精霊の話しは知っておると言うたのじゃ」

 ……マジか……。

「大丈夫じゃよ、城に着いたらなんとかしてやるわい」
 
 大精霊の場所はわからなかったが、精霊の話しは聞けた。
 皆んなも邪竜と戦ったのだろうか?
 とにかく城に着いたらレリアを探してみよう。

 アイゼスト城まで馬車で2日かかる。 着くのは明日の夜頃か。
 街から城までの道には泊まるための小屋があるそうで、今日はそこに泊まり、明日出発となる。
 護衛も無く城まで安全に行く事が出来るのは城の兵士や冒険者がこの街道を見回ってくれているかららしい。

 一夜明け、また馬車に揺られ出発する。
 しばらく街道を進むと急に馬車が止まった。

「ま……魔物だ! な、なんでこの街道に!?」

 御者が叫ぶ!
 見た目は前に戦った狼の魔物【ルヴォル】に近い姿で群れをなしている様子。

「とばすのじゃ!!」

 マリウさんが御者に叫ぶと馬に鞭を走らせとばす。
 だが魔物の群れも早い。
 一緒に乗っていた新婚さんはお互い抱き合い女神に祈っている。
 ダメだ! 追いつかれる!!
 魔物は馬車のすぐ後ろまで迫っている。

「止めてください!」
 
 俺は御者の人に叫ぶ!

「冗談じゃない! 今止めたら魔物の餌食になるだけだ!」
「俺は冒険者です! 俺が降りて戦いますから、俺が降りたらまた馬車を走らせてください!」
「それは出来ない! いくら冒険者でも降ろして戦わせるなんて!」
「大丈夫です!」
 
 俺が叫んだ時、魔物の1匹が馬車に噛み付いた。

「きゃあ!!」
「ひぃ!!」
 
 新婚さんの近くに魔物が噛みつき、上って来ようとしている。

「このっ!!」

 俺は持っている剣で魔物の頭を殴り引き離す。

「俺が戦っている間に援軍を呼んできてください!」
「わ、わかった」

 馬車を一旦止めてもらい、直ぐに降り立つ。
 馬車が走って行くのを見て、ルヴォルに剣を構える。

「どれ、わしも力を貸すぞい」
 
 マリウさんが走り出した馬車からピョンと飛び降りて来た。

「なにしてるんですか! 早く馬車に戻って下さい!」
「もう無理じゃろ」
 
 馬車は既に走って行ってしまっている。
 魔物は馬車を諦めたのか、俺とマリウさんを囲み出す。

 くそっ!! ラジュナ! 返事をしてくれ!
『……は……い……』
 良かった、返事をしてくれた。
 前みたいに力を貸してくれ!
『……わ……かり……ました……』
 返事が辿々しいがとりあえず力は貸してもらえそうだ。

「全てを貫き黄色に輝く一筋の光よ 盟約に基づきその力を示せ!」

 刃が輝き出す。
 俺は魔物に切り掛かるが、動きが素早い。
 剣は空を切ってばかりで一向に当たらない。

「このっ!!」

 渾身の力で振った剣は紙一重で魔物に躱されてしまう。
 俺の攻撃を躱した魔物がカウンターで俺の頭を大きな口と鋭い牙で噛み付く……、寸前、魔物の頭が宙を舞った。
 首の無くなった魔物に目をやった間に魔物の群れから血飛沫が舞う。

 マリウさんがいつの間にか俺の隣にいる。

「ふ~……、やれやれ……」

 む……群れが……、魔物の群れが全滅している!?
 マリウさんが俺の肩を叩くと「おぬし弱いのぉ」と一言言うと、腰をトントンと叩いて杖をついている、いつものマリウさんだった。
 これを、マリウさんが……。
 腰を叩いているマリウさんを見ると魔物を全滅させた様にはとても思えないが実際に魔物は全滅している。
 凄い! 達人だ!

「マリウさん! 是非、剣技のご教授をお願い出来ませんか!?」
「わしゃもう歳じゃて、人に教えるほどの体力は残っとらんよ」
「そこをお願いします!!」
「まぁまぁ、今はアイゼストに急ぐのが先じゃよ」
 
 そして少し先で待っていてくれたボロボロの馬車でアイゼスト城まで行く道のりを進んでいると、10人程の兵士の死体が転がっていた。

 さっきの魔物にやられたのか……。

 馬車はとにかく先を急ぐと、前からアイゼストの兵士が馬に乗ってやって来る。

「止まりなさい。 ここに魔物が出たと言う事らしいが君達は無事か?」
「ええ、でもこの先に兵士の死骸が……」
 
 御者の人が隊長らしき人に話している。

「そちらの皆も無事か?」

 隊長さんが覗き込むと、驚いた顔をしてマリウさんを見た。

「あ、貴方は……、そうでしたか、いゃあ貴方達は運が良い。 この方が一緒だったとは」

 マリウさんを見て興奮気味に喋る。
 マリウさんを知っているのか?

「とにかく、城まで護衛を頼むぞい」
「はっ!! 私が護衛に着く。 他の者達はこの先を調べてきてくれ。 対処出来ない場合は直ぐに戻るように!」

 隊長に護衛をされ無事にアイゼスト城までたどり着いた。
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