俺の魔力は悠々自適 〜精霊達と気ままな旅路〜

かなちょろ

文字の大きさ
29 / 72

第29話 フラウド山

しおりを挟む
 マリウスさんに精霊命珠エレメンタルメージュの在処を聞いた俺は、居ても立っても居られなくアイゼスト城を飛び出した。
 目指すは【フラウド】の町。

「だいぶ歩いたけどまだまだ遠いな」
 
 アイゼスト城を出て5日、やっと山道の入口にたどり着いた。

「この山の麓がフラウドの町なんでしよ?」
「そうだな」
 
 ルマもずっと草原が続いていていまいちつまらないらしい。
 道中魔物はゴブリン位は出てきたが、数匹のゴブリンならもうなれたもので、結構楽に倒せるようになった。

「もーう飽きた! 早く美味しいご飯が食べたい~!」
 
 肩に座って文句を垂れている。
 城からは直ぐに出発してしまったので、町で美味しい食事はしていない。
 そりゃ文句のひとつも出るよな。

「町に着いたらまずは食事でもするか」
「本当! やった! そうと決まれば急ぎましょ!」
 
 ルマは袖を引っ張りせかす。

「わかった、わかったって」

 しばらく歩くとやっと町が見えてきた。

「ほら、もう少しよ! 早く早く!」
「ちょっと待って……」
 
 ルマに急かされ早めに歩いていたせいで、流石に疲れている。
 山道を息を切らしながら登ると町が見えてきた。
 町は思ったほど大きく無く、どちらかと言うと村だな。

「着いたー!」
 
 ルマは町の入口で伸びをした後、足を組んで肩に座る。

「あんまりはしゃぐなよ」
「はいはい」
 
 軽い返事をし、俺の話し聞いてないだろ。

「ねぇ、あれは何かしら? あ、そっちのお店は? あっちの方から良い匂いがしてくるわ!」

 うん、全然聞いてないはしゃぎっぷりだ。
 ま、腹も減ったし食事でもするか。
 ルマを肩に乗せたまま、食事処へ入る。

「いらっしゃい、おや? この辺じゃ見ない顔だね」
 
 店に入ると気の良さそうなおばちゃんが出迎えてくれる。

「はい、東の方から来ました」
「そりゃ遠い所からわざわざこんな田舎町までご苦労さまだね。 そっちの小さい子はあんたの連れかい?」
 
 最初人形か何かだと思っていたようで、生きているルマに少しおっかなびっくりで見ている。

「ええ、まぁ……」
 
 ルマは気にせずメニュー表をじっくり見て鼻歌を歌っている。

「カケル! 私これがいい!」
 
 ルマが示したたメニューはアイスクリームだった。

「アイスクリームがあるのか!」

 この世界ではアイスクリームのような冷凍は珍しい。
 冷気を使った魔法などで凍らせたりはしているようだがコスパが悪く値もはる。

「俺もアイスクリーム食べようかな? ゔ……」

 メニュー表を見るとやはり良い値はしてる。
 アイスクリーム一つで普通に食事が出来そうだ。
 仕方ない、俺は普通の食事にするか。

 ここフラウドの町では標高が高いので気温が常に低く、近くの氷穴で氷が取れるらしい。 そのおかげでアイスクリームも扱えるんだそうだ。

 運ばれてきた料理、ルマのアイスクリームと俺のシチュー、パン、そしてトロッと溶けたチーズだ!

「凄いいい匂いだ」

 まさかこっちでもこんなチーズが食べられるなんて。
 チーズをパンに乗せてかぶりつく。

「……! うますぎる……」

 マジで美味い! なんだこれ!?
 旅続きで質素な食事に慣れてしまっていたため、相乗効果で美味さ倍増だ。

「冷た~い、 甘~い! 美味しい~!!」
 
 小さなスプーンでアイスクリームを頬張っているルマ。

「カケルも一口どうぞ、ほら、あ~ん」
「ああ、ありがと……う」

 ルマからもらった一口はルマサイズの一口で、あ、なんか甘いな? 位しかわからない。
 もう少し欲しかったが、ルマが美味しそうに食べているので、まぁ良いかと。

「もう無理~! でも美味しかった~!」
 
 ルマはお腹を膨らませてアイスクリームを完食した。

 料理に気を取られていたが、俺達は精霊命珠エレメンタルメージュを探しにきたんだ。 少し話しでも聞いてみるか。

「すいません、この辺りでエレメンタルメージュって聞いた事無いですか?」
「エレメン……? なんだいそりゃ?」
 
 知らないか……。

「たしになるかわからんが……エレメンなんとかって名前かも知らないけどな、昔、私の祖母にこの町の向こうに見える山、【フラウド山】には何かあるって聞いた事あるね」
「それってどんな物です!?」
「あたしはそこまでは知らないよ」
 
 そうか、でも何かあるかも知れないなら行ってみるしか無いな。

「もしかしてその何かを探しに行く気かい? もしそうならやめておきな。 山には魔物も出るし、フラウド山は旧火山、何があっても知らないよ」
「お気遣いありがとうございます。 でも行ってみます」

 お礼を言って店を出た。

 町を探索するとこの町、フラウドにはギルドが無い。
 つまり、依頼を受ける事も出来ない。
 路銀を稼ぐのも難しいなら早くその何かを探してアイゼストに戻らないと。
 フラウドの町に一軒しか無い宿で明日に備えて休むのだった。

 朝、宿を出て昨日の食事処でパンとチーズを買い、フラウド山へ向かう。
 食事処ではルマに「アイスクリームも買ってよ~」と言われたが、スルー。 あんな高い物をポンポンと買ってはあげられない。

「アイスクリーム美味しかったな~」

 チラッ。

「また食べたいな~」

 チラッ。

「半分でも良いんだけどな~」

 チラッ。
 …………。

「わかった、わかった……、精霊命珠エレメンタルメージュを見つけたらな」
「やった~! やっぱり外の世界に出て正解だったわ」

 ルマはくるんくるんと飛び跳ねる。

 ルマと話しながらフラウド山の洞穴まで辿り着く。

「よし、絶対見つけてやる」

 俺は両頬を軽く叩いて気合いを入れた。
 洞窟の中は思ったより気温が低い。

「少し寒いな……」

 エルザがいたら「あたしの火で温めてやるよ」とか言いそうだ。

「寒いの? 私は平気だけど、早くエレメンタルメージュを見つけたいから、私に任せて」

 ルマは俺の頭に座ると真上に魔法陣を出した。
 魔法陣からは光の粒が降り注ぐ。

「これで寒くないでしょ?」

 確かに寒く無くなった。

「ルマ、これは?」
「妖精の魔法よ」
「虫避けだけじゃ無かったのか!?」
「当たり前でしょ! 失礼ね! 妖精には人間には使えない特別な魔法があるんだからね」
「なるほど、それは助かる」
 
 案外ルマと契約して良かったのかも知れない。

 洞窟を下に下に進むが魔物はまだ出てこない。
 もしかしたらこの洞窟には魔物はいないのかも知れない。
 しばらく進むと、気温が上がって汗が滲む。

「なんだか暑くなってきたな」
「そうね、さっきまであんなに涼しかったのに」
 
 暑さに耐えながら進むと洞窟の奥が明るく光っている。

「出口か?」

 洞窟の奥は広い空間となっているが、崖になって下には溶岩がゴボゴボとしている。

「溶岩! 暑いわけだ」

 その溶岩の池の真ん中辺りに何か光る物がある。
 もしかしてあれが精霊命珠エレメンタルメージュか!?
『そうかも知れません。 何か力を感じます』
 ラジュナが話しかけてくる。
 ラジュナ久しぶり! あれがそうなのか!?
『力は感じますが、精霊命珠エレメンタルメージュかどうかはわかりません』
 そうか、でも手に入れれば何かわかるかも知れない。
 崖に気をつけながら下まで降りる。

 下にまで来るとルマの魔法もあまり効果が無いのか、溶岩の熱量が伝わってくる。

「あちぃ」
「この暑さ、私の魔法じゃ防げないわ」

 夏場にストーブの前に立っている感じだ。 これでもルマの魔法で軽減はされている。 だが目の前に精霊命珠エレメンタルメージュがあるならこの位なんでもない。 とは言え、溶岩の池の真ん中にあるんじゃどうやって取れば良いか……。

「なぁルマ、あそこまで飛んで行けないか?」
「え~、暑いよ~」
「帰ったらアイスクリーム買ってやるから」
「沢山買ってくれる?」
「わ、わかった……」
 
 精霊命珠《エレメンタルメージュ》の為なら……。

「なら行ってみる」

 ルマが溶岩の上を飛びながら進むと、溶岩が盛り上がり始めた。
 何かいる!

「ルマ! 溶岩の中に何かいる! 気をつけろ!」

 俺の声があんまり聞こえて無いのか、こちらを振り向いた時、溶岩から魔物が飛び出してきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです

桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

処理中です...