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第39話 新しき女王
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3つ目の精霊命珠を手に入れ、アイジャを女王にし、ルマを助ける為にコンデルミの城に向かう。
「まずは我々とアイジャ様が城に向かいます。 アイジャ様には申し訳ないですが、手枷をはめさせて頂きます。 そしてキュリス王子にはニセの腕輪を渡し、民達の前で演説をして頂きます。 その間に本物の腕輪を持ってアイジャ様は儀式を終えて、演説中のキュリス王子の前で民達に本当の事を話し、女王になったと宣言して頂きます」
「それで俺はどうすれば良い?」
「そうだな。 アイジャ様の護衛についてもらいたい」
「儀式さえ終えてしまえばこちらの勝ちだ」
「わかったが、儀式って何をするんだ?」
「それは我が儀式の間で神に祈りを捧げ、聖印を授かるんだ」
「その護衛をしろと言う事だな」
「流れは以上だ。 カケルはアイジャ様が聖印を授かるまで何が何でも守れ」
「まかせろ!」
こうして儀式の為に盗賊団と共に城に向かうこととなった。
「アイジャ様、よろしいですか?」
「うむ、宜しく頼む」
トーマさんはアイジャに手枷をはめ、鎖で繋ぎ、城の裏口から入る。
俺もトーマさんの仲間でアイジャが逃亡しないようにするための者として一緒に中に入る。
城の兵士に案内されたのは地下にある牢屋。
トーマさんはニセの腕輪を王子に渡すよう配下の元へ向かった。
「ここで大人しくしていろ」
アイジャは城の兵士に牢屋の中へ、俺は用が済んだから帰れと地下の牢獄から追い出された。
さて、そろそろ始めるか。
ラジュナ、頼む。
『はい』
ラジュナの電撃を刀身にまとわせ、軽くタッチで牢獄にいた兵士を気絶させ、牢屋の鍵を奪い、アイジャの牢屋を開ける。
「さぁ、儀式の間へ急ごう」
アイジャの手枷はすぐ外れるようになっている為、外してアイジャの後を走る。
「ここじゃ」
トーマさんからは本物の腕輪と王族の服を預かっていた俺はアイジャに渡す。
部屋の前にいる所を見つかると厄介な為、アイジャと共に部屋に入る。
儀式の間にはプールのように水が張ってある。 奥には大きな女神像がある。
「すげぇ」
「カケル、後ろを向いて絶対振り向くんじゃ無いぞ!」
「わ、わかった……?」
俺は扉の方を向き、アイジャの儀式が終わるのを待つ。
ファサ……。
カチャ……。
ペタペタ……。
チャプン……、チャプン……。
後ろから気になる音がしてくる……でも後ろを見るなと言われているからな、我慢だ。
しばらくすると後ろが突然光り輝く。
「アイジャ!」
何かあったかと思わず振り向いてしまった……。
それはアイジャか聖印を授かった証のようで、女神像からの光に照らされているアイジャに見惚れてしまった。
「ふ~……、終わったぞ、カ……ケ……」
儀式を終えたアイジャが振り向くと、目が合ってしまった。
「な! なにを見とるうぅぅーー!!」
し、しまった!
アイジャは水にその裸体を沈め、こっちに水を飛ばしてくる。
「ご、ごめん、急に光ったから何かあったのかと……」
「いいから早く向こう向け!!」
「わ、悪い」
俺は急いで振り返り、アイジャから目を逸らす。
「もう良いぞ……、まったく……」
「ぎ、儀式は上手くいったのか?」
「ほれ」
アイジャは服を引っ張り肩甲骨の下辺りにある聖印を見せてきた。
「そ、そうか、成功か」
「そう言うことじゃ、さて、兄様の所に行ってみるか」
俺とアイジャはキュリス王子が演説している場所に向かった。
「━━と、ここに王位継承の証である腕輪がある! 我が妹は国を捨て、民を捨て、母を殺害し、逃げたのだ! だが安心せよ! 私が王となり皆を導こうではないか!!」
段々と近づくにつれて王子の好き勝手な演説が聞こえる。
アイジャは下を向いたまま階段を上がる。
「! ア、アイジャ様! なぜここに!」
「お待ちください!」
「ここからは通せません!!」
兵士に見つかるとゾロゾロと邪魔をしてくる。
「アイジャ! 先に行ってくれ! ここは俺が守る!」
「カケル! ……頼む!」
アイジャはどんどん階段を登り、演説している場所よりも高い場所まで駆け上がって行った。
「━━皆にはより良い国の為に頑張ってもらいたい! 今日よりこの腕輪を着け、私が王となろうぞ!!」
集まっている人の半分くらいの歓声が聞こえる。
恐らく王子の息がかかっている者達だろう。
「コンデルミの民よ!!」
城の屋根に近い窓から身を乗り出し、バルコニーからアイジャが叫ぶ。
「我はアイジャ・アアック・コンデルミ! 今は亡き女王の娘にして、次期女王となる者! 今ここに女神より聖印を賜り、女王の資格を得た!」
「おお! アイジャ様だ!」
「アイジャ様!」
「アイジャ様!」
集まっている人達からアイジャに向けて歓声が上がる。
「(何故あいつがここに!? くそっ!) 妹よ! いや、母を亡き者にした犯罪者アイジャよ! 貴様には女王になる資格は無い! この腕輪が無いのだからな!」
「腕輪ならある!」
アイジャは腕に着けた腕輪を皆に見えるよう高く掲げた。
「に、偽物だ! 私のこの腕輪こそが本物なのだ!」
キュリス王子もまた腕輪を高く掲げた。
腕輪は陽の光を反射させ、広場に集まった皆を王族の紋章の影で包む。
それはアイジャが身につけた腕輪。
「馬鹿な……」
「アイジャ様の腕輪が本物だ……」
「アイジャ様こそ本物だ!」
「アイジャ様!」
皆がアイジャに歓声を送る。
どうやら皆んなはアイジャを次期女王と認めたようだ。
トーマさんの仲間はキュリス王子に味方していた者達を捕らえ、キュリス王子も捉えられ、玉座に座るアイジャの前に通された。
「兄様、いや、キュリス第一王子! 貴方は我の母を亡き者とし、我の命も狙った。 そして民には重い税をかけ私腹を肥やした。 我ら王族は民を守る事が使命。 何故このような事を……?」
「……ふっ……、この国は代々女王が治めてきた。 第一王子であっても王にはなれん。 ならば、アイジャ、お前がいなくなれば私が王になれたのだ! この砂漠を支配し、いずれは世界をも支配するはずだったのだ!」
「そんな事をしてどうなる」
アイジャの横にいたトーマさんがキュリス王子の前に立つ。
「貴様……、裏切り者め!」
「お前も民があっての国と前女王様より教えを受けただろう」
「教えなどくだらん! 民は私の為に死ぬ道具よ!!」
「兄様……、そうですか……、では、この者の王族の権限を剥奪ののち、追放の刑に処す」
「それでよろしいのですか?」
「刑が軽すぎませんか?」
「女王様の命を狙った者ですぞ! 極刑が妥当かと」
周りにいる人達が口々に言う。
どうせこの中にいる何人かは手のひらクルックルーなんだろうな。
長い物には巻かれろ精神なのだろう。
「他に、キュリスに加担し、民を苦しめた者も追放の刑とする」
アイジャの言葉に何人かからどよめきがする。
「わ、わしは悪くなど無い! 全部こいつが悪いのだ!」
「そ、そうだ! 我々は悪くない!」
何人かからキュリスが悪いと声が飛ぶが、自分がやりましたと自白してるよな。
そして、自白した者は兵士に連れられていく。
「ではキュリス、貴方もです」
「ふ、ふふふ……、フハハハハ!!」
キュリスが急に笑い出した。
「何が可笑しいのです!?」
「この俺を追放だと。 笑わせてくれる。 追放されるのはアイジャ、お前だ! ニグレイス!」
「はいはい、ただいま……」
黒いローブを着た老人が急に姿を現した。
「何者だ!」
トーマさんも俺も、その男に剣を向ける。
「おやおや……、私に剣を向けるとは……」
「ニグレイス! なにをやってる! 早くしろ!」
ニグレイスと言う老人が懐から黒い鳥籠のような檻を出す。
「!!」
「ルマ!!」
老人が出してきたのは閉じ込められているルマだった。
「カケル!! キャッ!」
ルマが檻の格子に手をかけるとバチッと弾かれた。
「くくく……、この妖精を返して欲しいならアイジャ、王の座から降りて私に譲ると宣言するのだ!」
「なんて事を……」
「早くしろ!」
俺とトーマさんは老人からルマを取り戻そうと考えるが、近づけない。
体が近づこうとしないのだ。
この老人……、強い……。
「……わかりました……」
「いけません! アイジャ様!」
「アイジャ、ダメだ!!」
「1人の友人を助けられずに、民を助けるなんて出来ません。 王座は譲ります。 ……でもタダで譲るつもりはありません!」
アイジャは懐からナイフを取り出すと、キュリスに向かって駆け出した。
「兄様と我も死ねば、新たな王が誕生します! その者に国を委ねます!」
キュリスに駆け寄ったアイジャのナイフはトーマさんによって叩き落とされた。
「何を言われてるんですか! こんな事で命を落とすおつもりですか!」
「こんな事ではありません! 大事な友人だからこそです!」
「なら大丈夫よ、アイジャちゃん! カケルが何とかしてくれるわ!」
ルマは籠の中きらアイジャに向かって叫ぶ!
「当たり前だ! ルマはなんとしても助ける。 アイジャ様もな!」
「カケル……」
「ニグレイス! その妖精の腕の一本や二本、切り落とせ!」
「させるか!」
俺は無理やり体を動かし、ニグレイスに向かう。
「まあまあ、待ちなさい」
ニグレイスは籠を床に置くと、籠の扉を開けた。
「さ、好きに行きなさい」
籠の扉が開かれた事でルマは勢いよく飛び出し、俺に向かって突進してくる。
「カケル!!」
「ルマ!!」
俺はルマを抱きしめた。
「ニグレイス! なにをやっている!」
「残念ですが、貴方にはもう利用価値が無くなりましたので、私はこれで失礼させて頂きますよ」
そう言ってニグレイスは消えていった。
「ニグレイス! 貴様ああああ!!」
「カケル、色々ありがとう」
「世話になった」
アイジャとトーマさんとは、ここでお別れだ。
わざわざ2人共、城の門の所まで見送りに来てくれた。
「こちらこそ、色々あったけど、楽しかったよ」
「アイジャちゃん……」
ルマも名残惜しそうにアイジャを見つめている。
「ルマ、ちゃんとアイジャ様って言わないとだろ?」
「かまわないわ。 我……、私の事はアイジャちゃんって呼んでくれると嬉しい」
アイジャとルマはお互い手を繋いで話し合っている。
「カケル、探している物だが、運河を下った先に【天の雫】と言う湖がある。 そこを目指してみてはどうだ?」
「【天の雫】ですか?」
「ああ、天から落ちた雫で出来た湖らしい」
それって水溜り……。
せっかくの情報だ。 とりあえず行ってみる価値はあるかも知れない。
「わかりました。 行ってみます」
「2人共、また来るのだぞ!」
「「もちろん!!」」
俺とルマは運河を下った先にある【天の雫】と言う湖を目指して歩き出した。
「アイジャ様、カケル殿よりこれを預かっております」
「カケルから?」
城に戻ったアイジャは大臣から布で包んだ小さな物を受け取る。
ゆっくり布を開くと、中にはコンデルミの町の屋台で見つけたブローチが入っていた。
「これは……」
アイジャは胸にブローチを着けながら呟く。
「絶対また来なかったら極刑じゃからな……、……さて大臣、今日の公務を始めよう」
「はい」
歩きながら闇市で捕まった事をルマに尋ねた。
「なぁルマ、あの男にどうやって捕まったんだ?」
「え!? ……、え~と……、ほら、カケル精霊命珠のありがわからなくて困ってたじゃない。 でもあの男は知ってそうだったから、こっそり首飾りから抜け出して、あの男に交渉しにいったのよ……」
「え!? 自分から行ったのか!?」
「だ、だって私があの男の所にいれば情報を教えてくれるって言うから……、ちゃんと教えてくれたでしょ?」
「そうだが、ルマの事は一言も言わなかったぞ!」
「それは私が口止めしたからに決まってるじゃない!」
おいおい……。
「取引の契約は絶対だって言ってたし、私があの男から上手く逃げ出しちゃえば良いかな~って……」
「バカ!! 無茶しやがって……、何処かに売られてたらどうするつもりだったんだ! もうこんな事は絶対にするなよ!」
「わかったわよ……。 心配かけてごめんなさい」
「わかれば良いけど……」
ルマは俺や精霊皆んなの為にしてくれたんだろうけど、こんな危ない事は二度とごめんだ。
「それで何でニグレイスの所に?」
「う、売られちゃった……、ははは……」
「やっぱ売られてんじゃねーか!!」
「私がアイジャちゃんの仲間ってバレたみたいで……」
「まったく……」
それにしてもニグレイスは何者なんだ?
『翔さん、あの男からは凄く嫌な感じがしました。 まるであの2人のような』
ヴァティントとルーギィの2人か。
皆んなに酷い事をした2人、強さだけは精霊皆んなを超えていた。
あの2人と同格なら今の俺には倒せない。
皆んなを戻したらまた修行だな。
「ねぇ、カケル、次はどんな町がまってるかしら? 美味しい物あるかな~?」
ルマは楽しそうに俺の肩に乗って想像を膨らませているようだ。
俺も新しい場所にはワクワクする。
「楽しい場所だと良いな」
「そうね」
そんな会話をしながら、運河を下って行く。
「まずは我々とアイジャ様が城に向かいます。 アイジャ様には申し訳ないですが、手枷をはめさせて頂きます。 そしてキュリス王子にはニセの腕輪を渡し、民達の前で演説をして頂きます。 その間に本物の腕輪を持ってアイジャ様は儀式を終えて、演説中のキュリス王子の前で民達に本当の事を話し、女王になったと宣言して頂きます」
「それで俺はどうすれば良い?」
「そうだな。 アイジャ様の護衛についてもらいたい」
「儀式さえ終えてしまえばこちらの勝ちだ」
「わかったが、儀式って何をするんだ?」
「それは我が儀式の間で神に祈りを捧げ、聖印を授かるんだ」
「その護衛をしろと言う事だな」
「流れは以上だ。 カケルはアイジャ様が聖印を授かるまで何が何でも守れ」
「まかせろ!」
こうして儀式の為に盗賊団と共に城に向かうこととなった。
「アイジャ様、よろしいですか?」
「うむ、宜しく頼む」
トーマさんはアイジャに手枷をはめ、鎖で繋ぎ、城の裏口から入る。
俺もトーマさんの仲間でアイジャが逃亡しないようにするための者として一緒に中に入る。
城の兵士に案内されたのは地下にある牢屋。
トーマさんはニセの腕輪を王子に渡すよう配下の元へ向かった。
「ここで大人しくしていろ」
アイジャは城の兵士に牢屋の中へ、俺は用が済んだから帰れと地下の牢獄から追い出された。
さて、そろそろ始めるか。
ラジュナ、頼む。
『はい』
ラジュナの電撃を刀身にまとわせ、軽くタッチで牢獄にいた兵士を気絶させ、牢屋の鍵を奪い、アイジャの牢屋を開ける。
「さぁ、儀式の間へ急ごう」
アイジャの手枷はすぐ外れるようになっている為、外してアイジャの後を走る。
「ここじゃ」
トーマさんからは本物の腕輪と王族の服を預かっていた俺はアイジャに渡す。
部屋の前にいる所を見つかると厄介な為、アイジャと共に部屋に入る。
儀式の間にはプールのように水が張ってある。 奥には大きな女神像がある。
「すげぇ」
「カケル、後ろを向いて絶対振り向くんじゃ無いぞ!」
「わ、わかった……?」
俺は扉の方を向き、アイジャの儀式が終わるのを待つ。
ファサ……。
カチャ……。
ペタペタ……。
チャプン……、チャプン……。
後ろから気になる音がしてくる……でも後ろを見るなと言われているからな、我慢だ。
しばらくすると後ろが突然光り輝く。
「アイジャ!」
何かあったかと思わず振り向いてしまった……。
それはアイジャか聖印を授かった証のようで、女神像からの光に照らされているアイジャに見惚れてしまった。
「ふ~……、終わったぞ、カ……ケ……」
儀式を終えたアイジャが振り向くと、目が合ってしまった。
「な! なにを見とるうぅぅーー!!」
し、しまった!
アイジャは水にその裸体を沈め、こっちに水を飛ばしてくる。
「ご、ごめん、急に光ったから何かあったのかと……」
「いいから早く向こう向け!!」
「わ、悪い」
俺は急いで振り返り、アイジャから目を逸らす。
「もう良いぞ……、まったく……」
「ぎ、儀式は上手くいったのか?」
「ほれ」
アイジャは服を引っ張り肩甲骨の下辺りにある聖印を見せてきた。
「そ、そうか、成功か」
「そう言うことじゃ、さて、兄様の所に行ってみるか」
俺とアイジャはキュリス王子が演説している場所に向かった。
「━━と、ここに王位継承の証である腕輪がある! 我が妹は国を捨て、民を捨て、母を殺害し、逃げたのだ! だが安心せよ! 私が王となり皆を導こうではないか!!」
段々と近づくにつれて王子の好き勝手な演説が聞こえる。
アイジャは下を向いたまま階段を上がる。
「! ア、アイジャ様! なぜここに!」
「お待ちください!」
「ここからは通せません!!」
兵士に見つかるとゾロゾロと邪魔をしてくる。
「アイジャ! 先に行ってくれ! ここは俺が守る!」
「カケル! ……頼む!」
アイジャはどんどん階段を登り、演説している場所よりも高い場所まで駆け上がって行った。
「━━皆にはより良い国の為に頑張ってもらいたい! 今日よりこの腕輪を着け、私が王となろうぞ!!」
集まっている人の半分くらいの歓声が聞こえる。
恐らく王子の息がかかっている者達だろう。
「コンデルミの民よ!!」
城の屋根に近い窓から身を乗り出し、バルコニーからアイジャが叫ぶ。
「我はアイジャ・アアック・コンデルミ! 今は亡き女王の娘にして、次期女王となる者! 今ここに女神より聖印を賜り、女王の資格を得た!」
「おお! アイジャ様だ!」
「アイジャ様!」
「アイジャ様!」
集まっている人達からアイジャに向けて歓声が上がる。
「(何故あいつがここに!? くそっ!) 妹よ! いや、母を亡き者にした犯罪者アイジャよ! 貴様には女王になる資格は無い! この腕輪が無いのだからな!」
「腕輪ならある!」
アイジャは腕に着けた腕輪を皆に見えるよう高く掲げた。
「に、偽物だ! 私のこの腕輪こそが本物なのだ!」
キュリス王子もまた腕輪を高く掲げた。
腕輪は陽の光を反射させ、広場に集まった皆を王族の紋章の影で包む。
それはアイジャが身につけた腕輪。
「馬鹿な……」
「アイジャ様の腕輪が本物だ……」
「アイジャ様こそ本物だ!」
「アイジャ様!」
皆がアイジャに歓声を送る。
どうやら皆んなはアイジャを次期女王と認めたようだ。
トーマさんの仲間はキュリス王子に味方していた者達を捕らえ、キュリス王子も捉えられ、玉座に座るアイジャの前に通された。
「兄様、いや、キュリス第一王子! 貴方は我の母を亡き者とし、我の命も狙った。 そして民には重い税をかけ私腹を肥やした。 我ら王族は民を守る事が使命。 何故このような事を……?」
「……ふっ……、この国は代々女王が治めてきた。 第一王子であっても王にはなれん。 ならば、アイジャ、お前がいなくなれば私が王になれたのだ! この砂漠を支配し、いずれは世界をも支配するはずだったのだ!」
「そんな事をしてどうなる」
アイジャの横にいたトーマさんがキュリス王子の前に立つ。
「貴様……、裏切り者め!」
「お前も民があっての国と前女王様より教えを受けただろう」
「教えなどくだらん! 民は私の為に死ぬ道具よ!!」
「兄様……、そうですか……、では、この者の王族の権限を剥奪ののち、追放の刑に処す」
「それでよろしいのですか?」
「刑が軽すぎませんか?」
「女王様の命を狙った者ですぞ! 極刑が妥当かと」
周りにいる人達が口々に言う。
どうせこの中にいる何人かは手のひらクルックルーなんだろうな。
長い物には巻かれろ精神なのだろう。
「他に、キュリスに加担し、民を苦しめた者も追放の刑とする」
アイジャの言葉に何人かからどよめきがする。
「わ、わしは悪くなど無い! 全部こいつが悪いのだ!」
「そ、そうだ! 我々は悪くない!」
何人かからキュリスが悪いと声が飛ぶが、自分がやりましたと自白してるよな。
そして、自白した者は兵士に連れられていく。
「ではキュリス、貴方もです」
「ふ、ふふふ……、フハハハハ!!」
キュリスが急に笑い出した。
「何が可笑しいのです!?」
「この俺を追放だと。 笑わせてくれる。 追放されるのはアイジャ、お前だ! ニグレイス!」
「はいはい、ただいま……」
黒いローブを着た老人が急に姿を現した。
「何者だ!」
トーマさんも俺も、その男に剣を向ける。
「おやおや……、私に剣を向けるとは……」
「ニグレイス! なにをやってる! 早くしろ!」
ニグレイスと言う老人が懐から黒い鳥籠のような檻を出す。
「!!」
「ルマ!!」
老人が出してきたのは閉じ込められているルマだった。
「カケル!! キャッ!」
ルマが檻の格子に手をかけるとバチッと弾かれた。
「くくく……、この妖精を返して欲しいならアイジャ、王の座から降りて私に譲ると宣言するのだ!」
「なんて事を……」
「早くしろ!」
俺とトーマさんは老人からルマを取り戻そうと考えるが、近づけない。
体が近づこうとしないのだ。
この老人……、強い……。
「……わかりました……」
「いけません! アイジャ様!」
「アイジャ、ダメだ!!」
「1人の友人を助けられずに、民を助けるなんて出来ません。 王座は譲ります。 ……でもタダで譲るつもりはありません!」
アイジャは懐からナイフを取り出すと、キュリスに向かって駆け出した。
「兄様と我も死ねば、新たな王が誕生します! その者に国を委ねます!」
キュリスに駆け寄ったアイジャのナイフはトーマさんによって叩き落とされた。
「何を言われてるんですか! こんな事で命を落とすおつもりですか!」
「こんな事ではありません! 大事な友人だからこそです!」
「なら大丈夫よ、アイジャちゃん! カケルが何とかしてくれるわ!」
ルマは籠の中きらアイジャに向かって叫ぶ!
「当たり前だ! ルマはなんとしても助ける。 アイジャ様もな!」
「カケル……」
「ニグレイス! その妖精の腕の一本や二本、切り落とせ!」
「させるか!」
俺は無理やり体を動かし、ニグレイスに向かう。
「まあまあ、待ちなさい」
ニグレイスは籠を床に置くと、籠の扉を開けた。
「さ、好きに行きなさい」
籠の扉が開かれた事でルマは勢いよく飛び出し、俺に向かって突進してくる。
「カケル!!」
「ルマ!!」
俺はルマを抱きしめた。
「ニグレイス! なにをやっている!」
「残念ですが、貴方にはもう利用価値が無くなりましたので、私はこれで失礼させて頂きますよ」
そう言ってニグレイスは消えていった。
「ニグレイス! 貴様ああああ!!」
「カケル、色々ありがとう」
「世話になった」
アイジャとトーマさんとは、ここでお別れだ。
わざわざ2人共、城の門の所まで見送りに来てくれた。
「こちらこそ、色々あったけど、楽しかったよ」
「アイジャちゃん……」
ルマも名残惜しそうにアイジャを見つめている。
「ルマ、ちゃんとアイジャ様って言わないとだろ?」
「かまわないわ。 我……、私の事はアイジャちゃんって呼んでくれると嬉しい」
アイジャとルマはお互い手を繋いで話し合っている。
「カケル、探している物だが、運河を下った先に【天の雫】と言う湖がある。 そこを目指してみてはどうだ?」
「【天の雫】ですか?」
「ああ、天から落ちた雫で出来た湖らしい」
それって水溜り……。
せっかくの情報だ。 とりあえず行ってみる価値はあるかも知れない。
「わかりました。 行ってみます」
「2人共、また来るのだぞ!」
「「もちろん!!」」
俺とルマは運河を下った先にある【天の雫】と言う湖を目指して歩き出した。
「アイジャ様、カケル殿よりこれを預かっております」
「カケルから?」
城に戻ったアイジャは大臣から布で包んだ小さな物を受け取る。
ゆっくり布を開くと、中にはコンデルミの町の屋台で見つけたブローチが入っていた。
「これは……」
アイジャは胸にブローチを着けながら呟く。
「絶対また来なかったら極刑じゃからな……、……さて大臣、今日の公務を始めよう」
「はい」
歩きながら闇市で捕まった事をルマに尋ねた。
「なぁルマ、あの男にどうやって捕まったんだ?」
「え!? ……、え~と……、ほら、カケル精霊命珠のありがわからなくて困ってたじゃない。 でもあの男は知ってそうだったから、こっそり首飾りから抜け出して、あの男に交渉しにいったのよ……」
「え!? 自分から行ったのか!?」
「だ、だって私があの男の所にいれば情報を教えてくれるって言うから……、ちゃんと教えてくれたでしょ?」
「そうだが、ルマの事は一言も言わなかったぞ!」
「それは私が口止めしたからに決まってるじゃない!」
おいおい……。
「取引の契約は絶対だって言ってたし、私があの男から上手く逃げ出しちゃえば良いかな~って……」
「バカ!! 無茶しやがって……、何処かに売られてたらどうするつもりだったんだ! もうこんな事は絶対にするなよ!」
「わかったわよ……。 心配かけてごめんなさい」
「わかれば良いけど……」
ルマは俺や精霊皆んなの為にしてくれたんだろうけど、こんな危ない事は二度とごめんだ。
「それで何でニグレイスの所に?」
「う、売られちゃった……、ははは……」
「やっぱ売られてんじゃねーか!!」
「私がアイジャちゃんの仲間ってバレたみたいで……」
「まったく……」
それにしてもニグレイスは何者なんだ?
『翔さん、あの男からは凄く嫌な感じがしました。 まるであの2人のような』
ヴァティントとルーギィの2人か。
皆んなに酷い事をした2人、強さだけは精霊皆んなを超えていた。
あの2人と同格なら今の俺には倒せない。
皆んなを戻したらまた修行だな。
「ねぇ、カケル、次はどんな町がまってるかしら? 美味しい物あるかな~?」
ルマは楽しそうに俺の肩に乗って想像を膨らませているようだ。
俺も新しい場所にはワクワクする。
「楽しい場所だと良いな」
「そうね」
そんな会話をしながら、運河を下って行く。
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その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
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いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
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アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
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