俺の魔力は悠々自適 〜精霊達と気ままな旅路〜

かなちょろ

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第42話 ルマの苦手な物

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 コンデルミから船で揺られる事、5日目。
 来た時と船の航路が違い、穏やかな船旅が続いていた。

「飽きたわ……」

 見渡す限りの海、今回は旅船な為にちゃんとした個室があるので、部屋でくつろいでいた。

「カケル~! 飽きた~! 船の中を見て回ろうよ~!」
 
 ルマはジッとしている事が苦手なため、袖を引っ張って誘う。

「まったく……、しょうがないな」

 旅船と言っても、海賊退治をした時に乗った船より小さい帆船だ。
 見る所なんて殆ど無いが、ルマに付き合ってやるか。

 この帆船は3階構造のようで、俺達がいる部屋があるのは上から数えると、1階部分。 2階は乗務員クルーの部屋、食堂、3階の船底は食糧庫となっている。
 なので、直ぐに回りきってしまうのだ。
 部屋に戻ると、ルマは布団に突っ伏して手足をバタバタさせている。
 子供か!

「あ~あ、何か面白い事起きないかしら」
「このまま平和にアイゼストに着いた方がいいじゃ無いか」
「えー……」
 
 不満げなルマは布団の上でゴロゴロし始めた。
 ルマには悪いが何事も無いのが1番だ。

 その夜、穏やかな波と綺麗な月明かりを窓から見ていると、急に霧が立ち込めてきた。
 それと同時に、乗務員クルーがバタバタと慌て出し始めた。

「なんだか慌ただしいな」
「何かしら?」
 
 好奇心で部屋から出て甲板へ向かう。

「危険です。 部屋から出ないでください」
「何かあったんですか?」
「恐らく……、いや、とにかく部屋に戻って下さい」
 
 そしてクルーは甲板へ走って行った。

「行ってみましょ」
「そうだな」
 
 また海賊だったり、魔物だったら力になれるかも知れないと、俺達は甲板へ出た。
 甲板ではクルーの人達が同じ方向を見つめている。

 なんだろうかと、その方向を見てみると……。
 こちらの船より遥かに大きな船がゆっくりと近づいて来ている。
 この霧の中、風も殆ど吹いていないためにこっちの船は殆ど進んでいないにもかかわらず、向こうの船は他に動力でもあるかのように、こちらに近づいてくる。
 ただその帆船はマストも折れ、帆もボロボロ、船体に穴も空いている。

「あ、あれは……、幽霊船が出たぞーー!!」
 
 クルーの1人が叫ぶ。
 クルー達は更に慌ただしくなった。

「カケル! どうしよう! 幽霊船だって!」
 
 話には良く聞くけど、本物を見るのは初めてだ……魔法もある世界だし幽霊船がいてもおかしくない。

「カケル! ねぇ! カケルってば!」
 
 ルマは俺の袖をグイグイ引っ張り、船内へ戻ろうとする。

「早く隠れましょ!」
「隠れても相手は幽霊だぞ」
「そんな事わかってるわよー!! カケル、絶対に見つからないでよ!」
 
 ルマは直ぐに首飾りへ入って行った。

 幽霊には妖精の剣は効くのだろうか?
 ラジュナ、今良いか?
『…………』
 う~ん……、返事無しか。

 幽霊船が船の横に寄ると、幽霊船からフック付きのロープや縄梯子が飛んでくる。
 その上をゆっくりと幽霊船のクルーが渡ってくる。
 骸骨、ゾンビ、体を持たない死霊達だ!

「奴らをこちらの船に入れるなーー!!」
「「おお!!」」
 
 船のクルーは一丸となって幽霊船の魔物へ向かって行く。

 隠れて! と言っていたルマには悪いが、魔物が相手なら手助け出来るはず!

 ラジュナ!!
『……、は……い……』
 良かった。 ラジュナの力が借りられるなら心強い。

 クルー達も戦っているが、元々が非戦闘員の為に、骸骨やゾンビ達の方が強い。
 ゾンビや骸骨はバラバラにしないと倒せず、死霊は普通の剣では効果が無いようだ。

 俺の妖精の剣とラジュナの力で死霊にも効果があるので割と楽に倒せている。

 こちらの船に乗って来た魔物を全て倒すと、幽霊船からのロープや縄梯子は消え、離れ、霧の中へ消えて行った。

「あんた凄いな!」
「命拾いしたぜ」
「助かりました」

 霧も晴れ、船もゆっくりと動き出したその夜、幽霊退治のお祝いとしてパーっと宴会が開かれた。

 ルマは首飾りの中でずっと目を閉じて耳を塞いでいたようで、宴会が始まった頃に、幽霊船がもういなくなった事に気がついた。
 宴会中にルマにどんな魔物だったかを話そうとしたが、直ぐに首飾りへ入っていったけど。

 宴会も終わり、軽く酔って部屋に戻るとそのままベッドへ。
 すると、ルマは首飾りから出て来て、仰向けに寝ている俺の上に座り、「今日は怖い話し禁止、絶対禁止だから」 と釘を刺し、モソモソと腕にしがみついて来た。
 やっぱり幽霊とか苦手なタイプか……。
 今日の話しは……、やめておこう。

 そのまま俺も寝て、また長い船旅が始まる。
 アイゼスト王国に着くまでルマは毎日つまらないと叫んでいるが、夜は必ず腕にしがみついて寝るようになった。
 よっぽど幽霊船が怖かったのだろう。

 アイゼスト王国へは後3日も有れば着くそうだ。
 あと少し……、あと少しだ。
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