俺の魔力は悠々自適 〜精霊達と気ままな旅路〜

かなちょろ

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第52話 探し者の果てに

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 カケルが居なくなった事に気がついたのは昼を過ぎてからだ。

 私も精霊様達もカケルが出て行った事に気が付かなかった。

「なんで誰も翔が出て行くの気がつかないんだよ!!」
「あなたも気がつかなかったでしょ!」
「兄ちゃ~ん……、ぐす……」
「まずは何処に行ったのか、探しましょう」

 精霊様達ならカケルがベッドから出たら直ぐわかるはず……それが今回は分からなかった……。

「アミルさんは何か知りませんの?」
「ごめんなさい。 私もさっき起きたばっかりで……」

 そう、今回は何故か皆んなぐっすりとお昼まで寝てしまった。
 私も少し頭がクラクラする。

「これです」

 シャルさんが昨日の食事で使った食器を見て気がついたようだ。

「何かわかったのか?」
「この食器から微かに眠り草の香りがします」
「眠り草? 人間や妖精なら効くかも知れませんが、わたくし達、精霊には効果ありませんわよ」
「そうですね……」
「でも、少し魔力の残留を感じるよ」
「魔力で眠り草の効果を高めたのかも知れません」
「それを翔がやったってのか?」
「それはわかりませんけど……」

 確かにそれなら精霊様達にも効くのかも知れない。

「あの、それより、カケルさんは何処に行かれたのでしょう?」
「確かにそうですわ」
「もしかして1人で八首斬影やしゅざんえいを倒しに行ったとか!?」
「カケルは置いて行ったりしない!」
「そうだよ。 兄ちゃんが僕達を置いて行ったりしないよ」
「でも、何か変なんです。 さっきからラジュナの魔力を感じようとしているのですが、全く感じなくて」

 精霊様達は離れていても他の精霊様の居場所を感じ取れるらしい。

「確かに……」
「とにかく、まだそんなに遠くには行って無いはずだ! 今から手分けして探すぞ!」
「ええ、そうね」
「わかった」
「そうしましょう」
「私も探しに行きます」
「アミルさんはここでお待ちください。 探している間、魔物に襲われるかも知れませんし、翔様も戻ってくるかも知れませんから」
「……わかりました。 くれぐれもお気をつけて。 カケルさんをお願いします」
「当然! 言われなくても!」

 精霊様達は手分けして探しに家を出る。

「私も探しに行って来ます」
「ルマさん危なく無いですか?」
「大丈夫、大丈夫。 カケルと旅して慣れてるから」
 
 私は空から探しに向かった。


 森を抜け、草原を空から眺めるように見るが、人影は全く無い。

 飛び続けていると、村が見えて来た。
 あそこなら何か手がかりが見つかるかも。
 その村にそーっと行ってみるが、殆ど人はいない。
 代わりに冒険者をチラホラ見かける。
 もしかしてここがパラキ村? でもここにはいなさそうね。
 私は体力の続く限り飛び続けた。

「きょ、今日はもう無理~」
 
 一日中飛び続けて体力の限界だわ。
 
 近くの木の枝に座って休む。
 昔のように木の枝で寝るの久しぶりかも知れない。
 最近はずっとカケルと一緒にベッドの布団だったからな。
 カケル……、何処に行ったのよ……。


 一夜明け、疲れた体を起こして飛び続ける。

 疲れと、お腹が空いているのと、カケルが見当たらない事にちょっとイライラ。
 見つけたら絶対アイスクリーム買わせるんだから。

 精霊様達は見つけたかしら?
 カケルの歩く速度じゃ、これ以上先までは来てないかも。
 別の所を探しながら戻ってみよ。

 休憩しながら山の方まで飛んで見る。
 しばらく山道を進むと上の方から音と声が聞こえる。
 1人はエルザ様、そしてカケル!? もう1人は……。
 あれは……。
 手と足がガクガクと震え出す。
 傷は癒えても体は覚えている。
 これ以上怖くて近寄れない。

「翔! 目を覚ませ! あたしだ! あたし!」
「ふふ、無理に決まってるじゃ無い」
「ルーギィ! カケルに何をした!!」
「簡単なことよ。 私は八首斬影やしゅざんえいの一人、魅了のルーギィよ。 だ・か・ら、前にあった時にちょっと魅了してあげただけよ」
「ふざけるな! 翔を元に戻せ!」
「勿論戻してあげるわよ。 貴方達、精霊を皆殺しにした後にね」

 カケルはエルザ様に攻撃を続けている。
 魅了? カケルがルーギィに魅了されたってこと?
 操られてエルザ様に攻撃を?
 私もカケルに飛びついて、ルーギィの魅了なんて解いてやりたい。

 でも……、体が動かない……。

 あ! マリス! それにシャル様、シルク様!
 皆んなが集まったならカケルも元に戻せるかも!

「翔様! シルクです!」
「翔さん! ルーギィの魅了なんかに負けないでください!」
「兄ちゃん!」

 カケルは他の精霊様にも攻撃を始めた。

 何やってるのよ! 相手が違うじゃない!

 精霊様達はカケルに傷を負わせないように軽い魔法だけで応戦している。
 でも、誰の問いかけにも答えずカケルは剣を振るう。

 あ、エルザ様がバランスを崩してしまった!
 その隙を見逃さず、カケルの剣はエルザ様に振り下ろされる。

 私の体は勝手に動いていた。
 カケルに精霊様達を傷つけさせてはダメだ!
 そう思ったのかどうか、自分でもわからない。
 考えるより先に体が動いてしまった。

「カケル!! だめーーーー!!」

 私はエルザ様とカケルの間に入り、体を大きく広げてカケルを止めに入った。


 でもちょっと遅かったかな……。

 私は地面に倒れた。
 何が起きたのかよくわからない。
 でも、指一本も動かなければ、羽も動かない。

 ゆっくり目を開くと、カケルは動かなくなり、立ったまま、ボーッとしてる。
 エルザ様が私の心配をしているみたい。

 マリスやシャル様は涙を流して私に何か言ってる。
 シルク様の泡で包まれるけど、すぐに消えてしまう。
 カケルが私の体を持ち上げる。

「良かった……、カケル……、元に戻ったのね……」
 
 何泣いてるのよ。
 それより皆んなに心配かけて、本当にしょうがないんだから……。

「……何?……言ってる声が聞こえない……」
 
 早くルーギィを倒して、アイスクリーム食べに行きましょ!
 そんな事を考えていると、私の体の一部が光りの粒となって空に登っているのがみえた。

 そっか……、私……。
 だからカケルも精霊様も泣いてるんだ。

「カケル……、ごめん……、アイスクリーム食べに行けなくなっちゃった……よ……」
 
 カケルの頬に手を伸ばすが、その手が光りの粒となり消えて行く。

 もう、カケルの顔もボヤけて見えなくなってきてる。

「カケル、今まで楽しかったよ。 ありがとう」
 
 バイバイ……。

 この言葉、カケルに聞こえたかな?
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