俺の魔力は悠々自適 〜精霊達と気ままな旅路〜

かなちょろ

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第54話 決意

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 目を覚ますと、見た事の無い部屋。
 いや、ここは、大精霊様がいる場所。
 俺は飛び起きて、大精霊様の元へ駆け寄る。
 扉を勢いよく開けると、大精霊様の前に皆んなが座っている。

「翔さん、もう体はの方は大丈夫ですか?」
 
 大精霊様はゆっくりとした口調で聞いてくる。

「俺の体なんてどうでもいいんです! 何故あの時、ルマを助けてくれなかったらんですか!!」
 
 大精霊様なら前みたいに転移で助けられたはずだ!

「あの時はルーギィの結界で私の魔力も遮られていたのです」
「遮られてたって……、大精霊でしょ! なんで!!」
 
 大精霊様に詰め寄ろうとすると、シルクとシャルに止められた。

「翔様、おやめください」
「大精霊様にだって出来ない事はあります」

 くそっ!

 俺は踵を返し、直ぐに部屋を出ようとするが大精霊様に止められた。

「待ちなさい。 どこに行くつもりですか!?」
「そんなの決まってるじゃないか! ルーギィを倒しに行く!」
 
 扉を開けようとするが、鍵がかかったように開かない。

 この!

 俺は殴って壊してでも行こうかとした時、近寄って来たエルザに殴られた。

「なにやってんだ!」
「エルザ……」
「兄ちゃん……、落ちついてよ……」
 
 マリスは俺の袖を掴んで下を向いている。
 マリスにまで心配をかけてしまったか……。

「落ち着きましたか?」
 
 大精霊様に言われ、少し反省する。

「さて翔さん、少しよろしいですか?」
「……はい」
「まずは、翔さんがあの時に起こった事をお話ししましょう」
 
 大精霊様は俺がルーギィの腕を切り落とした時の力の話を始めた。

「簡単に言いますと、邪竜の魂と翔さんの魂が完全に融合してしまったと言う事です」
「そうにゃ! 私の声は届かないし、オロチの魂から凄い魔力が放出されて、もう翔の中でぐるんぐるんになって目が回ったにゃ」
 
 ラジュナは、この場所なら俺の力を押さえておく必要が無いので、俺がここに運ばれた時に出てきたのだろう。

「魂が融合? でも俺はなんとも無いですよ」
 
 そう、前のような頭がクラクラするとかが無く、普通だ。

「前は邪竜の魂の方が表に出ようとしていましたからね。 表に出ていたら、恐らく八首斬影やしゅざんえいの仲間となっていたでしょう」
「それを抑えていたにゃ」
 
 そうか……。

「邪竜の魂と融合した今の翔さんは人間のG級と呼ばれる人と同じ位の強さになっているはずです」
「ならルーギィを倒せますか?」
「わかりません。 八首斬影やしゅざんえいの強さはG級5人がかりでやっと倒せるくらいですから」
 
 そうだった、G級が5人でやっとか。
 俺だけじゃ難しいか……。

「でも、私達と融合すれば何とかなると思います」
 
 確かに精霊と融合した時のパワーアップは凄かった。
 俺の体がボロボロになったけど。 でもボロボロになる位がなんだと言うんだ。
 ルマの仇をとるためなら、体の一つや二つ……。

「恐らく、精霊と融合しても、翔さんの体は前のようにはならないはずです」
「それはどう言う……」
「説明するにゃ。 前は私達、精霊の力が強すぎて翔の魔力じゃ支えきれなかったにゃ。 でも、今はオロチの魂と融合して、膨大な魔力が加わったから翔の負担になら無くなったにゃ」
「この前は融合したばかりで、オロチの力が暴走して、翔さんがおかしくなったんですね」
「そのせいで皆んなに迷惑を……」
「その力に早く慣れて下さいね」
「わかりました」
 
 この力を使いこなせば、八首斬影やしゅざんえいなんて俺達でなんとかなるかも知れない。
 これ以上、誰も傷つけさせない!
 大精霊から北の地に異変が起きている事を聞き、向かう事にした。
 部屋を出ると、今まで喋らなかったシルクが口を開く。

「翔様……。 ごめんなさい!」
 
 シルクが涙声で謝ってくる。

「ど、どうしたんだ?」
「わたくしが、ルマさんを回復出来ていれば……」
「シルクのせいじゃ無い。 ルマに手をかけたのは俺だ。 俺の責任だ」
 
 操られていたとは言え……な。
 そして皆んなが魔法陣へ戻る。
 妖精の森に戻ると、ンパとピピが俺達が出てくるのを待っていたようだ。

「あ、出てきたよ」
「なぁ、なぁ、ルマはどうしたんだ?」
「ここに来た時もいなかったよね?」
 
 妖精の仲間からの質問責めにあう……ここは仕方ないだろう。 俺が説明しないとな。

『翔、あたしを召喚してくれ』
 どうしたんだ?
『いいから』
 わかった。

 エルザを召喚すると、エルザはンパとピピに向かって頭を下げた。

「「精霊様!! 頭を上げて下さい!!」」
「すまねぇ、あたしが弱かったから……、ルマを……」
「い、いや、違う。 エルザのせいじゃ無い。 俺が弱かったからだ!!」
 
 俺も頭を下げる。

「ルマが……」
「そんな……」

 ンパとピピはすぐに悟ったようだ。

「精霊様が5人もいて、ルマ1人守れなかったのかよ!」
「ひぐ……、やめなよ、ンパ……グス……」
 
 ンパは怒りを露わにし、ピピは友達がいなくなった事に涙を流しているようだ。

「そうじゃ」
「長老!」
「ルマは全て覚悟の上でこの森を出た。 彼らを責めるのはすじ違いじゃ」

 ピピは長老に泣きすがっている。
 ンパは萎え切らない顔で、頭を下げて何処かに行ってしまった。

「すまんかったのう。 辛いのはそちらも同じだろうに。 ンパも頭ではわかっているはずじゃ……許してやってくれ」
「それはもちろんです。 ……そうだ、これはルマが使っていた首飾りです」
 
 長老に首飾りを返そうと、取り出し渡す。

「それはカケル殿が持っていなさい」
「ありがとうございます」
 
 ルマの形見でもある首飾りを大事に首にかける。
 エルザに魔法陣へ戻ってもらい、妖精の森を抜ける。

 そういえばなんで大精霊様の元に?
『翔さんの膨大な魔力と私達の魔力を使って、大精霊様が転移させました』
 皆んなの魔力と俺の魔力と大精霊様の力で大陸を飛んで転移出来るとは。
 
 このまま北に行きたい所だが、防寒具なども必要だろう。
 一度アイゼススタッドに戻ろう。

 待ってろよ。
 絶対に俺達が勝つ!
 首飾りを握りしめ、新たに決意をした。
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