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HERO異世界へ
運命の出逢い?
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王都到着まで、半分と来た所でバイザーに赤いマーカーが点滅し、警告音が鳴り響いた。
「……敵勢か?」
ゲールランナーを走らせながら、メタルバトラーは点滅が示す方向に頭を向けた。
すると、月明かりでも暗い闇の中、真っ赤に染まる場所が目についた。
「……仕方が無い。行くか。」
ブォン!
ヒュイーーン!
道無き道をゲールランナーは突き進む。
倒木をも粉砕し、其所に何も無かったかのように。
「さてさて近いな。………ん?」
間も無く到着と言う時に、巨大な影が見える。
そして、それと対峙するかのように、白い鎧の騎士らしい姿がバイザーのモニターにズームアップで表示される。
「……影の正体は……竜?まっ、仕方が無い。突るぜ!ゲールランナー、マキシマムパワー!!」
ギュオオオオーーっ!
ゲールランナーは疾風の如く森の木々を駆け抜け、或は薙ぎ倒し竜に突撃を開始した。
「ウォオォオォーーーッ!」
メタルバトラーは雄叫びを上げながら、ゲールランナーと共にジャンプする。
目指すは、竜の土手腹!
竜は眼前の騎士にファイアブレスを浴びせようとしていた。
騎士の方は観念したのか、丸まりブレスに備え身構える。
そんな瞬間。
どっごーーーーーぉおぉん!!
派手な音と共に、竜の腹にゲールランナーと共にメタルバトラーはめり込む。
突っ込みを食らった地竜の腹は歪曲し、捻り込まれた形になっていた。
吐こうとしていたブレスは狙いが大きく外れ、炎は空に巻き上がり、騎士を黒焦げにする事は無かった。
人間にしたら、鳩尾に強烈なボディーブロウをかまされた様なもの。
竜は手足をジタバタさせ、悶絶していた。
騎士は、その光景を唖然として丸まった姿勢のまま眺めていた。
アレは一体何だ?
あの人は一体誰なんだ?
そんな事は構わないかの様に
メタルバトラーは車輛から降り、腰から何かを引き抜いた。
「レーザーセイバー。」
ブォン。
不気味な音と共に、光の刃が現れた。
メタルバトラーは、必殺の一撃の為に剣を構える。
竜はダメージが半端無い様で、まだヨロヨロしながら四足で立ち直ろうとしていた。
『地竜。中型竜。レーザーセイバーでの切断可能。』
モニターにアドバイスが表示される。
地竜が回復する前にケリを着ける。
メタルバトラーが、ダッと前に駆けながら、必殺の剣を繰り出した。
「バトルプロミネンススラッシュ!!」
光の剣の輝きが一層増し、竜へと剣圧を加えながら斬り伏せる。
その威力は竜の背後の木々をも粉砕しながら薙ぎ倒し、大気をも切り裂いた。
「ぎゃあぁあぁっ!」
竜は断末魔を上げ、その後は爆散した。
茫然している騎士にメタルバトラーは近付き話し掛ける。
「おい。無事か?」
えっ?と惚けた様に見返す騎士。
「無事か、と訊いている。」
「えっ?あっ、は、はい!
わたくしは、大丈夫です。…ですが…」
ん?やけに声の高い騎士だな。とメタルバトラーは思いながら、言葉の続きに耳を傾ける。
「……竜討伐の仲間が……」
騎士が向いた方向にメタルバトラーも視線を移す。
竜により、焼け焦がれた者。
食い散らかされた手足。
散々な爪痕であった。
「竜討伐か?君は一体?」
メタルバトラーが尋ねると、
「申し遅れました。わたくしは、サラ・アーシュリー・ヴェルナントと申します。」
兜を脱ぐと、綺麗な長いプラチナブロンドが流水の如く現れた。
鼻立ちはハッキリしており、目は切れ長で、やや吊り上がり。
唇は薄く小さい。
俺のいた世界では、絶世の美女とはこう言う人間を差すのだろうな。
と、メタルバトラーは簡単な感想を思うに留めた。
「俺は、メタルバトラー。ある者から、この世界に送られた者だ。」
「この世界?」
「あぁ。この世界、だ。」
「…………わかりました。それ以上の事は尋ねるのは野暮みたいのようですね。」
「しかし何故、竜討伐に?」
レーザーセイバーを解除しながら、メタルバトラーはサラに質問した。
「わたくしの住む国は、現在、山の様に問題が出現しております。その一つとして、この地竜の様なモンスターの出現が多数。そして、故郷を焼かれたり無くした者達が野盗に成り果て、善良なる人々を襲う出来事。国難に継ぐ国難が、この世界で起きているんです。そして、わたくしは、王都に近付いて来ていた地竜討伐を冒険者に依頼して、わたくしも参戦したのですが…………結果は………」
何かを堪える様に、言葉を詰まらせるサラ。
気の利いた言葉は見つかり辛いが、月並みのセリフしか、今の俺には言えなかった。
「………何も君のせいではないだろう?君も戦い死した者達も、この国……いや、世界の為に逃げずに戦ったんだ。称賛に値するにしても、卑下するものじゃあ無い。卑下するならば、死んだ者が浮かばれん。顔を上げろ。胸を張れ。」
「……ありがとう。」
「別にいいさ。ところで
向かう場所と持って行く物はあるか?」
必要なものは、竜を倒した証として、地竜の双角を切り取り持ち帰りする事であった。
冒険者の亡骸は簡易ではあるが合葬し、その場にて埋めた。
(さぞや、無念だったろう。死ぬのは怖かっただろう。残される者を思えば辛かっただろう。やり残した事があって悔しいかっただろう。俺がお前達の無念を背負って戦ってやる。顔も知らぬ冒険者と言う勇者達よ。)
メタルバトラーはゲールランナーわ呼び、サイドカー装着し、サイドカーには角を。サラはタンデムに乗せ出発した。
目指すは、グラード王国の王都「ヴェーテル」
「……敵勢か?」
ゲールランナーを走らせながら、メタルバトラーは点滅が示す方向に頭を向けた。
すると、月明かりでも暗い闇の中、真っ赤に染まる場所が目についた。
「……仕方が無い。行くか。」
ブォン!
ヒュイーーン!
道無き道をゲールランナーは突き進む。
倒木をも粉砕し、其所に何も無かったかのように。
「さてさて近いな。………ん?」
間も無く到着と言う時に、巨大な影が見える。
そして、それと対峙するかのように、白い鎧の騎士らしい姿がバイザーのモニターにズームアップで表示される。
「……影の正体は……竜?まっ、仕方が無い。突るぜ!ゲールランナー、マキシマムパワー!!」
ギュオオオオーーっ!
ゲールランナーは疾風の如く森の木々を駆け抜け、或は薙ぎ倒し竜に突撃を開始した。
「ウォオォオォーーーッ!」
メタルバトラーは雄叫びを上げながら、ゲールランナーと共にジャンプする。
目指すは、竜の土手腹!
竜は眼前の騎士にファイアブレスを浴びせようとしていた。
騎士の方は観念したのか、丸まりブレスに備え身構える。
そんな瞬間。
どっごーーーーーぉおぉん!!
派手な音と共に、竜の腹にゲールランナーと共にメタルバトラーはめり込む。
突っ込みを食らった地竜の腹は歪曲し、捻り込まれた形になっていた。
吐こうとしていたブレスは狙いが大きく外れ、炎は空に巻き上がり、騎士を黒焦げにする事は無かった。
人間にしたら、鳩尾に強烈なボディーブロウをかまされた様なもの。
竜は手足をジタバタさせ、悶絶していた。
騎士は、その光景を唖然として丸まった姿勢のまま眺めていた。
アレは一体何だ?
あの人は一体誰なんだ?
そんな事は構わないかの様に
メタルバトラーは車輛から降り、腰から何かを引き抜いた。
「レーザーセイバー。」
ブォン。
不気味な音と共に、光の刃が現れた。
メタルバトラーは、必殺の一撃の為に剣を構える。
竜はダメージが半端無い様で、まだヨロヨロしながら四足で立ち直ろうとしていた。
『地竜。中型竜。レーザーセイバーでの切断可能。』
モニターにアドバイスが表示される。
地竜が回復する前にケリを着ける。
メタルバトラーが、ダッと前に駆けながら、必殺の剣を繰り出した。
「バトルプロミネンススラッシュ!!」
光の剣の輝きが一層増し、竜へと剣圧を加えながら斬り伏せる。
その威力は竜の背後の木々をも粉砕しながら薙ぎ倒し、大気をも切り裂いた。
「ぎゃあぁあぁっ!」
竜は断末魔を上げ、その後は爆散した。
茫然している騎士にメタルバトラーは近付き話し掛ける。
「おい。無事か?」
えっ?と惚けた様に見返す騎士。
「無事か、と訊いている。」
「えっ?あっ、は、はい!
わたくしは、大丈夫です。…ですが…」
ん?やけに声の高い騎士だな。とメタルバトラーは思いながら、言葉の続きに耳を傾ける。
「……竜討伐の仲間が……」
騎士が向いた方向にメタルバトラーも視線を移す。
竜により、焼け焦がれた者。
食い散らかされた手足。
散々な爪痕であった。
「竜討伐か?君は一体?」
メタルバトラーが尋ねると、
「申し遅れました。わたくしは、サラ・アーシュリー・ヴェルナントと申します。」
兜を脱ぐと、綺麗な長いプラチナブロンドが流水の如く現れた。
鼻立ちはハッキリしており、目は切れ長で、やや吊り上がり。
唇は薄く小さい。
俺のいた世界では、絶世の美女とはこう言う人間を差すのだろうな。
と、メタルバトラーは簡単な感想を思うに留めた。
「俺は、メタルバトラー。ある者から、この世界に送られた者だ。」
「この世界?」
「あぁ。この世界、だ。」
「…………わかりました。それ以上の事は尋ねるのは野暮みたいのようですね。」
「しかし何故、竜討伐に?」
レーザーセイバーを解除しながら、メタルバトラーはサラに質問した。
「わたくしの住む国は、現在、山の様に問題が出現しております。その一つとして、この地竜の様なモンスターの出現が多数。そして、故郷を焼かれたり無くした者達が野盗に成り果て、善良なる人々を襲う出来事。国難に継ぐ国難が、この世界で起きているんです。そして、わたくしは、王都に近付いて来ていた地竜討伐を冒険者に依頼して、わたくしも参戦したのですが…………結果は………」
何かを堪える様に、言葉を詰まらせるサラ。
気の利いた言葉は見つかり辛いが、月並みのセリフしか、今の俺には言えなかった。
「………何も君のせいではないだろう?君も戦い死した者達も、この国……いや、世界の為に逃げずに戦ったんだ。称賛に値するにしても、卑下するものじゃあ無い。卑下するならば、死んだ者が浮かばれん。顔を上げろ。胸を張れ。」
「……ありがとう。」
「別にいいさ。ところで
向かう場所と持って行く物はあるか?」
必要なものは、竜を倒した証として、地竜の双角を切り取り持ち帰りする事であった。
冒険者の亡骸は簡易ではあるが合葬し、その場にて埋めた。
(さぞや、無念だったろう。死ぬのは怖かっただろう。残される者を思えば辛かっただろう。やり残した事があって悔しいかっただろう。俺がお前達の無念を背負って戦ってやる。顔も知らぬ冒険者と言う勇者達よ。)
メタルバトラーはゲールランナーわ呼び、サイドカー装着し、サイドカーには角を。サラはタンデムに乗せ出発した。
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