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ハンサーラ公国と亡国の思惑

リックとアンジュ

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数日後、リックとアンジュは、公国首都グレーダーに到着した。

表向きは、新婚旅行と言う名目で潜入。

宿屋に入り、何気無い会話を堪能する。
かの様に見えた。

2人は日常的な会話や仕草をしながらソファーに座り、筆談・・で本題を会話していた。

『で?例の施設は、いつ潜入する?』

アンジュは口では、全く関係の無い事を言いながら、メモに相談を記入する。

『まずは施設の下調べだ。記念館の内部を調査し、それから情報の入り口から潜入する。』

『わかったわ。そうしましょうか。』

「ビンゴ!ヒントが、これだけで当てる私って天才?ねぇ?」

「あぁ、敗けだ敗け!良く当てたなぁ。アンジュ、君は強いよ。」

端から見れば、連想ゲームをメモを通してやっている様だ。
新婚夫婦が、じゃれあっている様にしか見えない。

エージェントと呼ばれるだけはあり、周囲に対する警戒心は強い。

どこから視られてるのか?

どこで聞き耳をたてているのか?

そう。
ここは、もう『敵地アウェイ』なのだから。

翌朝、2人は観光地巡りと称して、様々な建物等渡り歩いた。
ただ、この2人にかかれば、『ただの』では済まない。

任務とは関係ないが、調査をし情報収集。

サラ達が集めた情報とたがわないかの為のリサーチである。

(ふむ。先の戦いのせいか、兵士の数が少ないな。例の研究を公国連中は、焦ってモノにしようとするかもな。)

内心、リックは事の危うさを、この平穏に見える景色から感じ取っていた。

(現状、帝国や王国の侵攻を防ぐ為に、軍を多数出払いしてるわね。状況を反すには、研究を急ぐかも。)

アンジュも同様な危険性を観ていた。

2人は腕を組みながら、イチャイチャと歩く。

そして、一軒のレストランで昼食を済ませ、問題の記念館へと脚を運ばせた。

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