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Re:FAN つくられた熱狂 その2
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今シーズンも9月が過ぎた。
地区優勝争いのチーム、プレイオフ進出の可能性あるチームなどあるが俺の所属するフユーチャーテックスはどちらにも該当しない。下位を低迷しているチームだ。
しかし、観客の動員は相変わらず衰えず、スタンドは熱狂の渦に包まれている。おかしなものだ。この時期に取り立て見る動機のないチームの試合でなぜこんなに熱狂しているのだ。
これが最初に気が付いた違和感だった。最初は気のせいかと思った。
人気のある選手がいるわけでもない。勝敗が注目されているわけでもない。なのに、スタンドはいつも満員だ。
しかも、歓声の質が妙に均質だ。打者が凡退しても、外野フライでも、ナックルで空振りを取っても、反応がほとんど同じように聞こえる。
ある日、ふと過去の登板記録を見返した。俺のようなフルタイムナックルボーラーは、通常なら流れを止めたい場面、あるいは試合が決まった後の消化登板で使われることが多い。
だが、今季の俺の登板タイミングは違う。点差が開いていない場面、試合の中盤、観客が最も集中している時間帯に、なぜか俺が呼ばれる。
そしてもう一つ。アウトを取った瞬間の歓声が他の投手の時と微妙に違う。テンポがずれている。まるで、観客が「揺らぎ」に対してどう反応すべきか迷っているような、そんな間がある。
俺のナックルボールはどうも試合にとってノイズのようだ。予測不能で、「演出」しづらい。だが、最近はそのノイズすら「演出の一部」として扱われているように感じる。
Re:FANシステム、あのシステムが野球機構に導入されて以降、違和感は募るばかりだ。。だれもその全容を知らない。それでも俺は確信している。俺の投球は、システムが意図的に試合にノイズを入れるため使われている。
そして今日も俺は呼ばれた。点差は開いている。試合の流れは緩やかだ。だが、スタンドは熱狂している。
俺はブルペンで肩を軽くほぐしながら、あの違和感の正体を探っている。
はたしてその正体を知っていいものなのだろうか。
答えはわからない。まるでナックルボールの行き先のように。
地区優勝争いのチーム、プレイオフ進出の可能性あるチームなどあるが俺の所属するフユーチャーテックスはどちらにも該当しない。下位を低迷しているチームだ。
しかし、観客の動員は相変わらず衰えず、スタンドは熱狂の渦に包まれている。おかしなものだ。この時期に取り立て見る動機のないチームの試合でなぜこんなに熱狂しているのだ。
これが最初に気が付いた違和感だった。最初は気のせいかと思った。
人気のある選手がいるわけでもない。勝敗が注目されているわけでもない。なのに、スタンドはいつも満員だ。
しかも、歓声の質が妙に均質だ。打者が凡退しても、外野フライでも、ナックルで空振りを取っても、反応がほとんど同じように聞こえる。
ある日、ふと過去の登板記録を見返した。俺のようなフルタイムナックルボーラーは、通常なら流れを止めたい場面、あるいは試合が決まった後の消化登板で使われることが多い。
だが、今季の俺の登板タイミングは違う。点差が開いていない場面、試合の中盤、観客が最も集中している時間帯に、なぜか俺が呼ばれる。
そしてもう一つ。アウトを取った瞬間の歓声が他の投手の時と微妙に違う。テンポがずれている。まるで、観客が「揺らぎ」に対してどう反応すべきか迷っているような、そんな間がある。
俺のナックルボールはどうも試合にとってノイズのようだ。予測不能で、「演出」しづらい。だが、最近はそのノイズすら「演出の一部」として扱われているように感じる。
Re:FANシステム、あのシステムが野球機構に導入されて以降、違和感は募るばかりだ。。だれもその全容を知らない。それでも俺は確信している。俺の投球は、システムが意図的に試合にノイズを入れるため使われている。
そして今日も俺は呼ばれた。点差は開いている。試合の流れは緩やかだ。だが、スタンドは熱狂している。
俺はブルペンで肩を軽くほぐしながら、あの違和感の正体を探っている。
はたしてその正体を知っていいものなのだろうか。
答えはわからない。まるでナックルボールの行き先のように。
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