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16話
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佐紅が離れようと抵抗する。それを感じ、真尋は更に強く抱きしめた。佐紅が離れないように、そして離さないように、ぎゅっと抱きしめる。
「さく。好きだけじゃなんで駄目なんだ?」
静かに聞くも、佐紅は「まひろ……っ」とどうにかして真尋から離れようとする。
「まひろ……、……俺、……俺もお前のこと、好きだよ」
佐紅は確かにそう言った。もちろんその後にも言葉は続いていたが、聞かなくともわかった。
好きだけれども、駄目だ。
それを言おうとしたのだろうと。
佐紅に話を聞かなくてはと思っていたし今自分で聞いておきながら、先ほど佐紅が言おうとしていた言葉を聞こうともしなかったのは何故なのかは自分でわかっている。嬉しさのあまりではあるが、それだけではない。
真尋はあまり難しいことはわからない。物事もなんでも簡単に捉える。佐紅はそんな真尋のことをわかってくれていて、いつもは真尋でもわかるように話をしてくれる。しかし「好き」ということに関してだけは何故か難しいことばかり言う。おまけに理由やわけを聞いてもちゃんと教えてくれない。
そんな佐紅の「好きだ、けれども」に続く言葉はあまり聞きたくない。どうせ聞いても真尋はわからない気がする。
だが真尋から聞けばまた違ってくる。佐紅は真尋の言葉に対してはいつも真っ直ぐに対応してくれる。だからこそ今まではむしろ返事も答えもくれなかったんだと思う。
俺には嘘を言わない人だから……。
真尋は抱きしめたままベッドに押し倒す。そこでようやくきつい抱擁を解いたが、押し倒している状態のため佐紅は簡単に逃げられない。その状態で真尋は佐紅をじっと見つめた。
「何故さくは好きなのに駄目なの。俺はさくが好きだから、さくじゃないと駄目だ」
「まひろ……」
「さくが他の誰かと付き合うことを考えるだけで俺は許せない。さくが他の誰かと楽しそうに喋ってるのを見るだけでも、凄くモヤモヤする」
見つめたまま言うと、佐紅が辛そうな顔をする。何故そんな顔をするのだろうと真尋は思った。
決して佐紅を困らせたい訳ではないのだ。本当ならいつだって佐紅の望むことならなんだってしたい。だがこれだけは譲れなかった。他に欲しいものなんてない。最近ずっと大切に付けているピアスだって佐紅との繋がりを思えたからこそ開けたし付けている。
昔からそばには佐紅がいて、それが当たり前のように思いながらも自然ともっと深い繋がりを求めて触れ合うといった関係を、佐紅が止めたがっているのを知りながら続けてきた。その上自分が佐紅を好きなのだと自覚したらもう譲れない。
佐紅は辛そうな顔をした後でまたなんとか逃れようと抵抗してきた。いつもなら佐紅の嫌がることはしたくないというのに、今はどれだけ嫌がっても放したくなかった。自分の中にこんな強い思いと身勝手さが佐紅に対してあるなんて思ってもみなかった。
真尋は抵抗する佐紅にキスをした。だがすぐに顔を逸らされてしまう。
「さく……さくは今俺を好きって言ってくれた。俺もさくが好き。さくも俺が好き。なのになんで駄目なんだ」
「っ男同士だろ……!」
一瞬大きな声になりそうだったがハッとなったように佐紅は小声で続けた。
「うん」
「うん、じゃねーよ……。それが駄目な理由。わかったらどけよ……っ」
「わからないからどかない」
「なんで……なんでわからねーんだよ……。お前は勉強しないだけで頭は悪くねーだろ……理解しろよ……」
佐紅はますます辛そうな表情になる。こんな顔をさせたくない。でも無理だと真尋は思った。
佐紅が自分を本気で嫌いだと言っていたなら多分ここまで強引なことはしていない。大好きな佐紅に嫌いだと言われる場合のことは考えたくないが、とりあえず嫌いだと思われているなら佐紅にこんな辛そうな顔をさせるくらいなら真尋は無理強いをしていないだろうと思われた。諦めるとは言わない。嫌われていても真尋との歴史はそう簡単になかったことにはできないため諦められないだろうが、強引なことは止めるだろう。
とりあえず嫌いと本当に思われているのなら、だ。しかし佐紅は好きだと言ってくれた。だから強引だろうが無理やりだろうが止めない。理解しろというのなら、真尋にもわかるように言って欲しい。
「さくはいつも俺にわかりやすく言ってくれるのに……」
「……」
「好きってことに関しては難しいことしか言わない。そんなじゃ俺はわからない」
「さっきは言おうとしてたのにお前が遮ったんだろ」
「じゃあ今聞く。俺のわかるように言ってくれるなら」
じっと真尋が佐紅を見ると、佐紅は目を逸らしてきた。
「さく」
「だから男同士……」
「そんなのは理由にならない。俺はさくが男だろうが女だろうがさくだとしか思ってない」
「そういう問題じゃないだろ……!」
「だからどういう問題? さくはじゃあなんで俺が好きなの? 男同士が駄目ならなんで俺を好きになったの?」
「っ、もう、やめてくれ……」
佐紅が今まで抵抗しようと躍起になっていた自分の腕で顔を覆ってきた。苛めたい訳ではないのに、と真尋は少し悲しくなる。
「さくは、じゃあいいのか? 俺が好きなのに、俺が他の誰かを好きになったり付き合っても」
少しだけ体を離して言うと、少し体を震わせていた佐紅が腕の間から唇を噛みしめてきた。そして深いため息を吐く。ため息は震えていた。
「……その質問は卑怯だ。……俺がお前に嘘が言えないのわかってて……」
「さく」
「……嫌に決まってる」
腕を離すと、佐紅は少し潤んだ目で、しかし思い切り真尋を睨みつけてきた。
「さく。好きだけじゃなんで駄目なんだ?」
静かに聞くも、佐紅は「まひろ……っ」とどうにかして真尋から離れようとする。
「まひろ……、……俺、……俺もお前のこと、好きだよ」
佐紅は確かにそう言った。もちろんその後にも言葉は続いていたが、聞かなくともわかった。
好きだけれども、駄目だ。
それを言おうとしたのだろうと。
佐紅に話を聞かなくてはと思っていたし今自分で聞いておきながら、先ほど佐紅が言おうとしていた言葉を聞こうともしなかったのは何故なのかは自分でわかっている。嬉しさのあまりではあるが、それだけではない。
真尋はあまり難しいことはわからない。物事もなんでも簡単に捉える。佐紅はそんな真尋のことをわかってくれていて、いつもは真尋でもわかるように話をしてくれる。しかし「好き」ということに関してだけは何故か難しいことばかり言う。おまけに理由やわけを聞いてもちゃんと教えてくれない。
そんな佐紅の「好きだ、けれども」に続く言葉はあまり聞きたくない。どうせ聞いても真尋はわからない気がする。
だが真尋から聞けばまた違ってくる。佐紅は真尋の言葉に対してはいつも真っ直ぐに対応してくれる。だからこそ今まではむしろ返事も答えもくれなかったんだと思う。
俺には嘘を言わない人だから……。
真尋は抱きしめたままベッドに押し倒す。そこでようやくきつい抱擁を解いたが、押し倒している状態のため佐紅は簡単に逃げられない。その状態で真尋は佐紅をじっと見つめた。
「何故さくは好きなのに駄目なの。俺はさくが好きだから、さくじゃないと駄目だ」
「まひろ……」
「さくが他の誰かと付き合うことを考えるだけで俺は許せない。さくが他の誰かと楽しそうに喋ってるのを見るだけでも、凄くモヤモヤする」
見つめたまま言うと、佐紅が辛そうな顔をする。何故そんな顔をするのだろうと真尋は思った。
決して佐紅を困らせたい訳ではないのだ。本当ならいつだって佐紅の望むことならなんだってしたい。だがこれだけは譲れなかった。他に欲しいものなんてない。最近ずっと大切に付けているピアスだって佐紅との繋がりを思えたからこそ開けたし付けている。
昔からそばには佐紅がいて、それが当たり前のように思いながらも自然ともっと深い繋がりを求めて触れ合うといった関係を、佐紅が止めたがっているのを知りながら続けてきた。その上自分が佐紅を好きなのだと自覚したらもう譲れない。
佐紅は辛そうな顔をした後でまたなんとか逃れようと抵抗してきた。いつもなら佐紅の嫌がることはしたくないというのに、今はどれだけ嫌がっても放したくなかった。自分の中にこんな強い思いと身勝手さが佐紅に対してあるなんて思ってもみなかった。
真尋は抵抗する佐紅にキスをした。だがすぐに顔を逸らされてしまう。
「さく……さくは今俺を好きって言ってくれた。俺もさくが好き。さくも俺が好き。なのになんで駄目なんだ」
「っ男同士だろ……!」
一瞬大きな声になりそうだったがハッとなったように佐紅は小声で続けた。
「うん」
「うん、じゃねーよ……。それが駄目な理由。わかったらどけよ……っ」
「わからないからどかない」
「なんで……なんでわからねーんだよ……。お前は勉強しないだけで頭は悪くねーだろ……理解しろよ……」
佐紅はますます辛そうな表情になる。こんな顔をさせたくない。でも無理だと真尋は思った。
佐紅が自分を本気で嫌いだと言っていたなら多分ここまで強引なことはしていない。大好きな佐紅に嫌いだと言われる場合のことは考えたくないが、とりあえず嫌いだと思われているなら佐紅にこんな辛そうな顔をさせるくらいなら真尋は無理強いをしていないだろうと思われた。諦めるとは言わない。嫌われていても真尋との歴史はそう簡単になかったことにはできないため諦められないだろうが、強引なことは止めるだろう。
とりあえず嫌いと本当に思われているのなら、だ。しかし佐紅は好きだと言ってくれた。だから強引だろうが無理やりだろうが止めない。理解しろというのなら、真尋にもわかるように言って欲しい。
「さくはいつも俺にわかりやすく言ってくれるのに……」
「……」
「好きってことに関しては難しいことしか言わない。そんなじゃ俺はわからない」
「さっきは言おうとしてたのにお前が遮ったんだろ」
「じゃあ今聞く。俺のわかるように言ってくれるなら」
じっと真尋が佐紅を見ると、佐紅は目を逸らしてきた。
「さく」
「だから男同士……」
「そんなのは理由にならない。俺はさくが男だろうが女だろうがさくだとしか思ってない」
「そういう問題じゃないだろ……!」
「だからどういう問題? さくはじゃあなんで俺が好きなの? 男同士が駄目ならなんで俺を好きになったの?」
「っ、もう、やめてくれ……」
佐紅が今まで抵抗しようと躍起になっていた自分の腕で顔を覆ってきた。苛めたい訳ではないのに、と真尋は少し悲しくなる。
「さくは、じゃあいいのか? 俺が好きなのに、俺が他の誰かを好きになったり付き合っても」
少しだけ体を離して言うと、少し体を震わせていた佐紅が腕の間から唇を噛みしめてきた。そして深いため息を吐く。ため息は震えていた。
「……その質問は卑怯だ。……俺がお前に嘘が言えないのわかってて……」
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「……嫌に決まってる」
腕を離すと、佐紅は少し潤んだ目で、しかし思い切り真尋を睨みつけてきた。
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