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17話
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人を好きなるのはもっとふわふわとして楽しくて幸せな気分になるものだと思っていた。
佐紅は真尋を見上げながら思った。真尋を好きだと自覚してからずっと、どこか後ろめたくて申し訳なくて、そして辛かった。
「だからどういう問題? さくはじゃあなんで俺が好きなの? 男同士が駄目ならなんで俺を好きになったの?」
あまりに率直な真尋の質問に、佐紅は苦しさが込み上げてくる。本当に何故自分は真尋を好きになったのだろうと思う。だがわかっている。
もちろん、これだという瞬間があったわけではない。真尋を小さな頃からずっとそばで見てきていて培っていった感情は何人にも侵すことのできない大切でかけがえのないもので、気づけば好きになるしかなかったんだと思う。真尋が男だからとか云々はもちろん関係のない、ただひたすら素直な気持ちだ。佐紅の中の本能ではもうずっと昔から真尋を求めている。
その気持ちのままに行動できればどんなにいいか。理性がしかしそれをよしとしない。どう考えても男同士でこんな気持ちを抱えていいわけがないと理性が言う。
誰にも言えないような恋を抱えてどうするんだ、と。
大切な相手だと思っているなら、その相手の将来すら駄目にするかもしれないくらいわかるだろう、と。
理性が言うことはいちいちもっともで、本能はいつだって隅で「ごめんなさい」と小さくなっている。
「さく」
なのに真尋はひたすら真っ直ぐに佐紅を見てきて、小さくなっている本能に呼びかけてくる。
「さく」
佐紅は息をするのも苦しくなってきた。
「俺も、嫌だ。さく、俺もさくが他の誰かと付き合ったら嫌だ。さくは俺だけのさくがいい。それだけで十分じゃないのか」
「ぁ……」
苦しい。どうしたらいいのかわからない。だってどう考えても間違っている。なのに何故真尋はそんなに真っ直ぐに向かってこられるのか。
――受け入れたらいい――
ふと、自分の中でそんな声がした。いつもひたすら駄目だ、無理だとしか言い聞かせてこなかった佐紅の中で、ぽつりと響いたその声が波紋のように広がっていく。
受け入れたらどうなる?
いつもならすぐにでもそういった否定的な考えが押し寄せてきた筈だというのに、今はただひたすら受け入れてみろという声が広がるだけだった。
佐紅は抵抗を止め、恐る恐る目を閉じた。それを同意と受け取ったのか、真尋が佐紅の体を弄りながらキスをしてくる。初めて真尋からされて以来、ずっと避けるかされてもひたすら逃れようとしていた。そのせいか、今されるがままのキスは、まるで初めてしているような気、さえした。
「さく……」
キスの合間に自分の名前を囁く真尋の声だけで佐紅は熱くなる。恐る恐るといった感じで絡めてきた真尋の舌を、佐紅も恐る恐る受け入れた。そのまま絡ませ合っていると息が上がってくる。時折変な鼻息や吐息が漏れるのも次第に気にならなくなっていく。夢中になってキスを交わしていたら真尋に上着をめくりあげられた。
「……っん、な、にすんだよ」
「触る」
「まんまだな……! 俺男なんだから胸ないぞ」
「……さくは男だの女だの煩い」
恥かしさもあったが微妙な顔で佐紅が言うと、真尋が無表情のままそんなことを言い返してきた。
「まひろのくせに煩いとか」
照れ隠しもありムッとして言うと、今度は無視をしてきた。そのまま少しだけ離れていた真尋の唇はもう一度佐紅の唇を塞いでから今度は耳元へ移動した。耳朶は一度舐められたことがあったが、今度は口に含まれた後噛みつかれた。
「っいた! お前」
「……さく……俺の……」
だがそんなことを耳元で呟かれ、佐紅は思いがけず顔が熱くなる。耳朶を今度は吸われてピクリと体が反応する。
「……触っていい?」
「駄目だっていってもお前、聞かないだろ……いつもはそんなじゃないくせに」
「うん、聞かない」
耳にキスを続けながら、真尋の手が佐紅の完全にはめくれていない服の中を弄ってくる。素肌に直に触れられたことは今までもあったはずなのに、それとなんだか全然違う。またもや時折変な息が漏れた。先ほどまでは夢中になってお互い味わいながら息を感じていたからもあって気にならなくなったが、今は自分一人だけが情けない声を上げている気がして羞恥を覚える。丁度持て余していた自分の手を、佐紅は口を塞ぐことに使った。
「ん、ん……っ、まひろ、そ、んなとこ触っても、俺、男だって、ば……っ」
口を塞いだ途端、真尋に乳首を弄られ結局喋る羽目になる。しかし真尋は構わず続けてきた。
めくりあげられた上着のせいで真尋がしていることがよく見えない。しかし余計にその分、真尋の指を感じた。
胸で感じる筈はないと佐紅は思う。それだというのに乳首から伝わる切なささえ覚える表現しがたい刺激に、結局また口を塞いで頭を逸らすしかできない。すると耳にキスをしていた真尋が今度は口を覆っている手にキスをしてきた。なんだと思っていると片方の手で無理やり手をつかまれ退けられた。
「なにすんだよ」
「塞がないで」
真尋は一言呟くと、つかんだ手を舐めてきた。
「ん、ぁ」
手の平すらもぞわりとした刺激が走る。おまけに指を咥えられたりしながらも相変わらず体も弄られ、佐紅の下肢が痛いほどに疼いてきた。それを察したのか、真尋が今度は躊躇いもなく一旦佐紅から少し離れてズボンを脱がし始めた。
確かに下はお互い抜き合っていて慣れているかもしれない。だがこの流れのせいだろうか、佐紅はとてつもなく躊躇し戸惑う。
「な、なぁ。お前、なにする気だ……? いつものように抜き合う、だけ、だよ、な……?」
恐る恐る聞いてみる。すると真尋がたまにお互い手っ取り早く抜くためたまに使っているローションを手にし、佐紅の昂ったそれに垂らしながらサラリと言った。
「入れたい」
佐紅は真尋を見上げながら思った。真尋を好きだと自覚してからずっと、どこか後ろめたくて申し訳なくて、そして辛かった。
「だからどういう問題? さくはじゃあなんで俺が好きなの? 男同士が駄目ならなんで俺を好きになったの?」
あまりに率直な真尋の質問に、佐紅は苦しさが込み上げてくる。本当に何故自分は真尋を好きになったのだろうと思う。だがわかっている。
もちろん、これだという瞬間があったわけではない。真尋を小さな頃からずっとそばで見てきていて培っていった感情は何人にも侵すことのできない大切でかけがえのないもので、気づけば好きになるしかなかったんだと思う。真尋が男だからとか云々はもちろん関係のない、ただひたすら素直な気持ちだ。佐紅の中の本能ではもうずっと昔から真尋を求めている。
その気持ちのままに行動できればどんなにいいか。理性がしかしそれをよしとしない。どう考えても男同士でこんな気持ちを抱えていいわけがないと理性が言う。
誰にも言えないような恋を抱えてどうするんだ、と。
大切な相手だと思っているなら、その相手の将来すら駄目にするかもしれないくらいわかるだろう、と。
理性が言うことはいちいちもっともで、本能はいつだって隅で「ごめんなさい」と小さくなっている。
「さく」
なのに真尋はひたすら真っ直ぐに佐紅を見てきて、小さくなっている本能に呼びかけてくる。
「さく」
佐紅は息をするのも苦しくなってきた。
「俺も、嫌だ。さく、俺もさくが他の誰かと付き合ったら嫌だ。さくは俺だけのさくがいい。それだけで十分じゃないのか」
「ぁ……」
苦しい。どうしたらいいのかわからない。だってどう考えても間違っている。なのに何故真尋はそんなに真っ直ぐに向かってこられるのか。
――受け入れたらいい――
ふと、自分の中でそんな声がした。いつもひたすら駄目だ、無理だとしか言い聞かせてこなかった佐紅の中で、ぽつりと響いたその声が波紋のように広がっていく。
受け入れたらどうなる?
いつもならすぐにでもそういった否定的な考えが押し寄せてきた筈だというのに、今はただひたすら受け入れてみろという声が広がるだけだった。
佐紅は抵抗を止め、恐る恐る目を閉じた。それを同意と受け取ったのか、真尋が佐紅の体を弄りながらキスをしてくる。初めて真尋からされて以来、ずっと避けるかされてもひたすら逃れようとしていた。そのせいか、今されるがままのキスは、まるで初めてしているような気、さえした。
「さく……」
キスの合間に自分の名前を囁く真尋の声だけで佐紅は熱くなる。恐る恐るといった感じで絡めてきた真尋の舌を、佐紅も恐る恐る受け入れた。そのまま絡ませ合っていると息が上がってくる。時折変な鼻息や吐息が漏れるのも次第に気にならなくなっていく。夢中になってキスを交わしていたら真尋に上着をめくりあげられた。
「……っん、な、にすんだよ」
「触る」
「まんまだな……! 俺男なんだから胸ないぞ」
「……さくは男だの女だの煩い」
恥かしさもあったが微妙な顔で佐紅が言うと、真尋が無表情のままそんなことを言い返してきた。
「まひろのくせに煩いとか」
照れ隠しもありムッとして言うと、今度は無視をしてきた。そのまま少しだけ離れていた真尋の唇はもう一度佐紅の唇を塞いでから今度は耳元へ移動した。耳朶は一度舐められたことがあったが、今度は口に含まれた後噛みつかれた。
「っいた! お前」
「……さく……俺の……」
だがそんなことを耳元で呟かれ、佐紅は思いがけず顔が熱くなる。耳朶を今度は吸われてピクリと体が反応する。
「……触っていい?」
「駄目だっていってもお前、聞かないだろ……いつもはそんなじゃないくせに」
「うん、聞かない」
耳にキスを続けながら、真尋の手が佐紅の完全にはめくれていない服の中を弄ってくる。素肌に直に触れられたことは今までもあったはずなのに、それとなんだか全然違う。またもや時折変な息が漏れた。先ほどまでは夢中になってお互い味わいながら息を感じていたからもあって気にならなくなったが、今は自分一人だけが情けない声を上げている気がして羞恥を覚える。丁度持て余していた自分の手を、佐紅は口を塞ぐことに使った。
「ん、ん……っ、まひろ、そ、んなとこ触っても、俺、男だって、ば……っ」
口を塞いだ途端、真尋に乳首を弄られ結局喋る羽目になる。しかし真尋は構わず続けてきた。
めくりあげられた上着のせいで真尋がしていることがよく見えない。しかし余計にその分、真尋の指を感じた。
胸で感じる筈はないと佐紅は思う。それだというのに乳首から伝わる切なささえ覚える表現しがたい刺激に、結局また口を塞いで頭を逸らすしかできない。すると耳にキスをしていた真尋が今度は口を覆っている手にキスをしてきた。なんだと思っていると片方の手で無理やり手をつかまれ退けられた。
「なにすんだよ」
「塞がないで」
真尋は一言呟くと、つかんだ手を舐めてきた。
「ん、ぁ」
手の平すらもぞわりとした刺激が走る。おまけに指を咥えられたりしながらも相変わらず体も弄られ、佐紅の下肢が痛いほどに疼いてきた。それを察したのか、真尋が今度は躊躇いもなく一旦佐紅から少し離れてズボンを脱がし始めた。
確かに下はお互い抜き合っていて慣れているかもしれない。だがこの流れのせいだろうか、佐紅はとてつもなく躊躇し戸惑う。
「な、なぁ。お前、なにする気だ……? いつものように抜き合う、だけ、だよ、な……?」
恐る恐る聞いてみる。すると真尋がたまにお互い手っ取り早く抜くためたまに使っているローションを手にし、佐紅の昂ったそれに垂らしながらサラリと言った。
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